日本の右翼勢力、「NHKを揺るがす」
「台湾植民統治ドキュメンタリーで精神的苦痛」損害賠償訴訟
日本の右翼勢力が、公営放送の『NHK』を揺るがしている。
NHKが4月5日に放送したドキュメンタリーシリーズ『
JAPANデビュー-アジアの一等国 』に対して、右翼が中心となった日本人8400人が25日、NHKが放送法に違反して偏向した事実を放送したことで精神的苦痛を被ったとして、8400万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。このドキュメンタリーが、日本の台湾植民統治の問題点を指摘したというのがその理由だ。
『NHK』は「近代国家を志向し、世界にデビューした日本がなぜ国際社会から孤立し、敗戦を迎えたのかを考え、未来への示唆点を模索する」という企画趣旨の下、「アジア」、「天皇と憲法」、「貿易」、「軍事」など4つのテーマのドキュメンタリーシリーズを4月から4回に渡って放送した。最初の『アジアの一等国』は、「日本の植民統治は過酷ではなく、むしろ台湾の近代化を先に進めた」という右翼勢力の植民統治善政論について正面から検証を試みたものだった。当事、日帝がつくった名門高等学校を卒業したエリート台湾人でさえも、この番組で「日本の植民統治は台湾人を差別した」と涙ながらに怒りをあらわにした。
右翼性向の『産経新聞』は、放送直後から「台湾統治証言の歪曲」、「責務を忘れた公共放送」などの題目で記事を載せ、この番組に対する非難を主導した。訴訟を起こした原告は、訴状でこのドキュメンタリーが「台湾統治当事の暴動を『日台戦争』という誤った表現で描写し、1910年の博覧会の際に日本政府が台湾原住民たちの生活を紹介した企画を『人間動物園』と表現するなど、放送法に違反した」と主張した。右翼勢力は「日本による台湾統治の悪い面ばかりを強調している」、「制作者側の明白な悪意が感じられる」と、組織的に反発の動きを見せてきた。
2001年にも日本軍慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー『裁かれた戦時性暴力』に対し、安倍晋三官房長官(当事)などの有力右派政治家たちが圧力を行使したという疑惑が提起され、波紋を起こした。一方、『NHK』側は訴訟提起に対して「番組内容に問題はないと思う」と明らかにした。
東京/キム・ドヒョン特派員
『ハンギョレ』 2009年06月26日
黒い制服・軍服、大漢門の盧前大統領焼香所を破壊し、逃亡
»黒い制服を着た保守団体の構成員が24日朝、大漢門にある盧武鉉前大統領の焼香所を破壊する場面をある市民が撮影し、動画サイトYouTubeにアップした。
ソウル徳寿宮大漢門前に設けられた故盧武鉉前大統領の焼香所が24日、身元不明の何者かによって破壊された。
焼香所を運営する市民たちは、「午前5時30分頃、保守団体の構成員と思われる黒い征服や軍服を着た80人余りが近づき、焼香所のテント8個と内部の什器などを2~3分間めちゃくちゃにした後、逃走した」と話した。市民は「周辺で警備をしていた警官60人余りは、これを傍観していた」と主張した。焼香所の破損当事、焼香所の運営陣は大多数が寝ており、物理的な衝突は特になかった。
警察は大漢門周辺のCC(閉鎖回路)TVなどを分析し、焼香所を破壊した者たちの身元を確認したうえで、器物損壊容疑で立件する方針だ。警察関係者は焼香所破損のときに警察が傍観したという市民側の主張に対し、「早朝に突然起きたことであり、警備にあたる人材が行動に混乱をきたしていた可能性がある。その部分も調査し、経緯を明らかにする予定だ」と話した。
[あるネチズンがYouTubeにアップした大漢門の盧前大統領焼香所、奇襲撤去場面]
この焼香所は盧前大統領が逝去した先月23日から運営されているが、保守団体は撤去を求めつづけてきた。
焼香所の運営陣は、焼香所の施設を修理し、盧前大統領の49日の供養が行われる来月10日まで弔問客を受け入れる計画だと明らかにした。
キム・テギュン記者【ソウル=聯合ニュース】
朝・中・東、人権侵害では物足りず、理念攻勢まで
『PD手帳』起訴の後爆風
作家の電子メール公開報道、「世論裁判」露骨化
「意図的公開に無差別書き取り」批判大勢
盧武鉉前大統領の逝去後、強い反発を買っている「検察の言論プレイ→メディアの書き写し→世論裁判」という「検・言合作世論操作」の公式が、『文化放送』(MBC)の『PD手帳』制作陣の電子メール公開報道からさらに露骨に再現されている。「政府転覆番組」の容疑を上乗せしようとしている検察の意図を、朝鮮と中央、東亜が先頭に立ち、私生活および「思想と良心の自由」を侵害してまで拡大再生産しているという批判が大勢だ。
朝・中・東は19日付の紙面で、前日、検察が公開した作家キム・ウンヒ氏の電子メールを『PD手帳=反政府番組』と烙印を押す有力な根拠として積極的に活用した。『朝鮮日報』は、1面のトップ記事「100日が過ぎた政権の命綱を切って-李明博に対する敵愾心、空を突く」で「まるで過去の軍事政権時代の政治殺人灯を連想させる薄気味悪い内容」と表現した。『東亜日報』の社説も「選挙で発足して間もない李明博政権を倒すため、大統領選挙への不服運動の次元で作った露骨な政治番組だったこと」を立証する証拠として指摘した。
チェ・ギョンジン大邱カトリック大教授は、「朝・中・東のメール内容詳細報道は、『PD手帳』捜査とは別に『Eメール報道事件』とでも規定できるほど、私生活や思想・良心の自由を侵害する暴力的言論の問題を、余すところなく表わした」とし、「メディアが決して行ってはならないことをやらかした」と指摘した。
「色づけ」と、事件の本質を糊塗する記事も付け加えられた。東亜は「PD手帳、狂牛病編のメイン作家キム・ウンヒは何者」という記事で、一緒に働いたことのある作家の言葉を引用し、学生運動の前歴を挙げて「理念攻勢」をとった。また、「PD手帳、サムスン報道キム・ヨンチョル-正義具現司祭団の主張、集中浮上」という記事では2007年「サムスン非資金事件」当時、作家のキム氏が参加した3つの番組がサムスンに不利な偏向的報道をしたと叙述し、キム氏に「反企業的人物」というイメージまでかぶせた。朝鮮も「放送内容の構成・台本作成まで-影響力は屈強」という題の記事を載せ、劣悪な待遇やPD(プロデューサー)・記者との協力なしには番組の方向を決定できない構成作家たちの立場を膨らまし、「政権に敵対的な作家の影力」を浮上させた。
ユン・ヨジン言論人権センター事務署長は、「検察が“意図的に”公開する個人の私生活を、朝・中・東が無差別に書き写しながら、人権を踏みにじっている」「検察が必要によりメディアをどう利用し、またメディアはどう協力するかを集中モニタリングし、問題提起をする」と明らかにした。
イ・ムンヨン記者
『ハンギョレ』2009年06月19日
ロウソクは同じやり方で戻ってこない
『ハンギョレ21』[2009.06.12第764号]
[表紙物語]
沸き立っていた哀悼が静まりつつある街頭、強硬鎮圧への抵抗が難しくなった状況で、悲しみはさらに積もっていき
▣シン・ユンドンウク/イム・ジソン
あれから1週間が過ぎた。6月3日夜9時、弔問客が絶えることなく並んだソウル徳寿宮の石垣沿いの道は、再び恋人たちの路にもどった。数百人が並んで待っていた大漢門前の焼香所には、十数人の弔問客が菊の花を手に待っていた。彼らの背後には、100人余りの市民が小さな広場に散らばって、今でも「あの人」を称えていた。大漢門横の石垣には、「盧武鉉を生き返らせろ」と書かれた垂れ幕が風に揺られ、昔のままの懐かしさを訴えていた。ある男性は、遺影に一礼して振り向き、流れる涙を隠すことができなかった。新しい焼香所の横にある壊された焼香所、破れたテントは、警察が週末に通り過ぎた痕跡を示していた。それでも、ほのかな香りがさわやかな初夏の夕風に乗って漂っていた。説明のプレートをかけて焼香所を守っている市民がこう言った。「それでも弔問は終わりません」
»国民葬が終わっても、追悼は終わらなかった。6月4日、ソウル徳寿宮大漢門前で、今でも弔問客を待つ市民焼香所。その横には警察によって破壊された旧焼香所の残骸も見える。写真『ハンギョレ21』リュ・ウジョン記者
遺憾な死があり、哀悼の波が起こり、怒りが湧き上がり、抗争の記念日も近づいている。再びロウソクが燃え上がるのではないか?ある者は憂慮し、ある者は期待した。しかし、比較的静かな1週間が過ぎた。5月の最後の夜の30日と31日のロウソク集会は、参加者よりも戦闘警察が多いという状態で終わった。チャン・ソクジュン進歩新党付属想像研究所の研究企画室長は、「逝去から1週間目は追慕の熱気が情緒的哀悼なのか、政治的怒りなのか曖昧だった」「告別式後は、政治的怒りがないわけではないが、情緒的哀悼に近づいたという印象」だと解釈した。
胸に刻んだ「死ぬまで必ず投票し続けます」
ハン・ホング聖公会大教授(歴史学)は、「まだ今は哀悼の時間」と言った。哀悼の行列が路上に現れ、怒りのスローガンを叫ぶよりも、各自が悲しみを癒しているということだ。これに茶山人権センターの活動家、パク・ジン氏が付け加えた。「しかし心にたまった怒りは消えない」と。さらにハン・ホング教授は、人々がロウソクの教訓を反芻していると語る。「弾劾阻止のロウソクは、民主勢力に多数党を作らせた。しかし、それが改革の成果には至らなかった。そして昨年のロウソクは、どんなに路上で叫んでも、李明博政府が聞く耳を持たないという事実を教えてくれた。そうしてロウソクは2回の失敗を通じて、教訓を得た。議会に任せていられないので路上に出たのに、路上に出てもダメだったから、再び議会に視線を戻しているのだ。ロウソクは同じやり方で戻ってこない」
やはり投票だ。数多くの弔問客は紙に、胸に、ぎっしりと刻み込んだ。「死ぬまで投票し続けます」と。ハン・ホング教授はそれを「有権者の意識と基準を一瞬にして変えた革命」だと評価した。チャン・ソクジュン室長も「民心が政治に染み込んだ」と分析した。去年のロウソクが、今年4月の国会議員補欠選挙の結果に影響を与えたように。「ロウソクの効果は2007年の大統領選挙、2008年の総選挙の保守的選択がしばらく続くだろうという展望を変えてしまった。李明博大統領当選に寄与した首都圏の中道層の民心を、2007年以前に戻したのだ。盧前大統領の逝去で、首都圏の変化が釜山・慶尚南道などの地方に拡散する可能性がある」このようなチャン室長の分析のように、実際6月3日に実施されたリアルメートル世論調査で、民主党の支持率は大邱・慶尚北道を除くすべての地域でハンナラ党を上回った。民主労働党、進歩新党のような進歩政党の支持率も一気に上昇した。今年の10月には国家議員の補欠選挙が行われ、2010年6月2日には地方自治選挙が予定されている。そのうえ自治体選挙は、5月23日に盧武鉉前大統領1周忌を迎えた追慕の熱気の中で行われる。
ロウソク政局のときでも30%を超えていた支持率が…
»告別式が終わるやいなや、警察はソウル市庁前のソウル広場を再び「掌握」した。5月30日、ソウル広場から引きずり出される市民。写真=ハンギョレ/キム・テヒョン記者
選挙は遠く、悲しみは深い。しかし目に見えないからと言って、抵抗しないわけではない。アン・ジンゴル参与連帯民生希望チーム長は「合法的な弔問ですでに人々はロウソクを手にした」「今も支持政党を変えることで、韓国放送の『ニュース9』を見る代わりに文化放送の『ニュースデスク』を見ることで、有形・無形の抵抗を行っている」と分析した。去年のロウソク政局でもなかなか30%以下に落ちなかったハンナラ党の支持率は、ついに30%以下に落ち、告別式が行われた当日の『ニュースデスク』の視聴率は、数年ぶりに『ニュース9』を上回った。アン・ジンゴル・チーム長は「大規模なデモで現れなくても、反李明博ムードがさらに深まり、広まったという傍証」だと語った。
もちろん、強硬鎮圧の沈黙効果もある。活動家のパク・ジン氏は「数多くの戦闘警察に先端装備を動員し、法律の条項まで活用して単純集会参加者も法律違反者とする物理力の脅迫効果が明らかにある」と語った。このように強力な物理力動員の裏側から、自信の欠如を読み取ることもできる。パク・ジン氏は「焼香所が設けられたソウル駅広場のあちこちに隠れている警察官を見ながら、同意を得られない権力の自信喪失が哀れだった」と話した。しかし、このような反感がすぐに政権の危機につながるわけではない。民主化の逆説的恵沢を、保守勢力が享受しているためだ。チャン・ソクジュン室長は「牛肉政局のロウソクも、政権を変えようとする要求ではなかった」とし、「1987年の民主化以降に形式的民主主義に対する同意に至り、政権が反民主的手段を動員しても、最小限の民主的原則を壊さない限りは政権交代の要求までには行かない」と分析した。ホン・ソンテ尚志大教授(文化コンテンツ学)は、また別の側面を指摘した。彼は「韓国の守旧勢力は、国民が言葉ではあのように言うが、実際の選挙では別の行動に出ると判断している」と話した。
光州よりも深い「生き残った者の悲しみ」
一方、ロウソク集会の成果と共に、限界を指摘する見解もある。イ・テクグァン慶煕大教授(英文学)は「今、喪失の対象は単純に盧武鉉個人を越えて、盧武鉉を死に追いやった何か」、「だが代議制民主主義の枠を超えることをはばかる韓国の中間層は、不満の原因である李明博政府という票を除去する方法もない」と述べた。彼は去年のロウソクを、民主化以降、求めてきた正常国家から脱却した李明博政府に対する抗議と見なした。しかし中間層のこのような熱望は、新たに登場した既得権政権の前で挫折した。イ教授は「韓国の既得権層は、私益追求をすぐに公共性と錯覚する集団」だとし、「87年以降、民主主義のルールを作ってきた中間層の自負心は、既得権政府の壁の前で崩れた」と指摘した。そうしてロウソクは中間層に挫折の経験として残った。そのため、代議制の中で挫折した欲望を慰めるクッ(巫女が歌舞を演じて神に願う儀式)のようなロウソクを再び手にすることは難しいということだ。これに加え、チャン・ソクジュン室長は、ロウソクのやり方の限界も指摘した。「ロウソクは誰でも参加可能なレベルの抵抗だから大衆の同意を得られた。ところが政権に強硬鎮圧され、このようなやり方の抵抗を維持することは難しいというジレンマに行き当たった。だから集会を維持するには他のやり方が必要だが、それは大衆の同意を得ることは難しい」
しかし潜んでいた悲しみは、今すぐの行動を超えて人々の胸に旗を立てている。ハン・ホング教授は盧武鉉前大統領の逝去を、80年の光州に当てはめた。彼は「光州の悲しみが積もりに積もって民主化運動をもたらしたように、彼の死もすぐには現れなくても必ず戻ってくる」と展望した。韓民族の歴史で、このような死をただ流したことはないということだ。彼は「柳寛順(ユ・グァンスン)の死が3・1運動を、純宗の死が6・10万歳運動を、キム・ジュヨルの死が4・19を、パク・ジョンチョルの死が6月抗争をもたらした」「彼の逝去もすぐではなくても、いつかは大きな変化となって現れるだろう」と展望した。そのうえ盧武鉉前大統領は、高宗や純宗のような朝鮮時代の王よりもはるかに親しみやすい存在で、人々が感じる一体感が加わった分、その悲しみも深い。ここに彼を守れなかったという罪責感まで加わり、光州よりもさらに「生き残った者の悲しみ」を弔問客が感じていると指摘した。だから彼は4~5時間も待って弔問したという人々を「弔問客ではなく、喪主」だと表現した。他人のことならば、そんな長い時間を待って弔問する理由がないということだ。彼は「五千年の歴史で、民衆が一人に向かってこのように集団的に罪責感を感じたことはない」、「彼の死は公の憤りを超えて、各自の個人的怨恨になった」と語った。そして最後にこう付け加えた。「ついに光州の時代は終わった。今はミミズクの時代だ。これから数千、数万のミミズクが飛んでくるだろう」
このように徹底した悲しみは、どのような怪物になって漢江の奇跡を飲み込み、汝矣島を揺るがすのか。キム・ミンヨン参与連帯事務署長は「今年の6・10は結果ではなく始まり」だと語った。
大漢門前の風景
特別講義、労働者集会、民労党断食…
5月の大漢門は悲壮でありながら熱かった。盧武鉉前大統領の告別式の前日である5月28日までに、101万人がここの焼香所で弔問し、ボランティアも2000人以上が集まった。告別式以降の大漢門前は、人数こそ減ったが、追慕の熱気は続いていた。
6月2日夜から大漢門前では新しい風が吹いた。言論改革市民連帯と人権実践市民連帯が「故盧武鉉大統領追悼街頭特別講座」を始めたからだ。毎晩7時30分から開かれる特別講座には教授、法曹人、社会団体活動家など、多様な人材が講義に立った。退社時間になると、ロウソクを手にした人々が集まりはじめた。6月4日にはチェ・ガンウク弁護士が「国防部選定不穏書籍と軍法武官罷免」に関する講義を開いたところ、400人以上の市民が参加した。
聴講していたキム・サンギ(40)さんは、「インターネットでここで講義があるということを知り、会社が近くなので、今日初めて来た」「告別式の前は人の列が長くてできなかった焼香もして、特別講義で知らなかったことも学べるので、これから毎日参加するつもり」だと語った。講演を終えたチェ弁護士も「ここまで人々がたくさんくるとは思わなかったが、みんな集中して共感してくれたので良かった」と話した。市民たちは彼のところに来て握手を求めた。『朝鮮日報』に広告を出す企業に対する不買運動をして訴えられたというある市民は、握手をしながら「私たちは『朝鮮日報』に勝ちます」と叫んだ。
そして闘争する労働者が残った。6月3日から貨物連帯の労働者は、毎晩7~9時に大漢門前で集会を開く。彼らは6月4日にソウル市庁前広場が開放されたため、進入を試みたが、10分も経たないうちに戦闘警察により追い出された。貨物連帯のパク・サンヒョン法規部長は「今みなさんは不法集会をしています」という放送を聞きながら「明日も、明後日も目標は市庁前」であることを誓ったそうだ。
6月4日からは、民主労働党のイ・ジョンヒ議員が大漢門横でハンガーストライキに突入した。「強圧統治を中断し、国政基調を転換せよ」というスローガンを打ち出した。内閣総辞職と国政基調の転換、李明博大統領の謝罪、労働生存権の保障などが要求事項だった。この日の夜、イ・ジョンヒ議員は「街頭特別講義」と「貨物連帯特別講義」の両方から招請された。この様子を見ていたある市民は、大漢門前に置かれた大型芳名録に「民主党議員は断食しないのか」と書いた。
イム・ジソン記者
シン・ユンドンウク記者、イム・ジソン記者
「プロテスタントの創造科学・インテリジェントデザインはカルト」
「進化論に対する恐れから出発
歴史と神との関係を断絶させよ」
科学と宗教の重畳地帯などを模索
»キム・ユンソン(上)韓神大教授、シン・ジェシク(写真中央)教授、チャン・デイク(下)同徳女子大教授
『宗教戦争』
シン・ジェシク、キム・ユンソン、チャン・デイク著/サイエンスボックス・22,000ウォン
宗教の賞味期限はもう切れてしまったのではないか?
三人の若い学者が一堂に会した。湖南神学大で組織神学、宗教と科学などを教え、教会の合同牧師としても働いているシン・ジェシク(写真中央)教授。現代宗教理論と文化理論を土台に韓国宗教史、世界神話、両性平等と宗教、科学と宗教などを教えるキム・ユンソン(上)韓神大教授。そして進化生物学と科学哲学、認知科学を学んできた科学哲学者として、科学と人文学透徹の道を求めているチャン・デイク(下)同徳女子大教授。
彼らは皆、科学書籍を熱心に読む。2003年に結成された「科学と宗教研究会」のメンバーだ。チャン教授は当然だが、二人の神学大教授の最新科学の知識もやはり水準が高い。そして皆、篤実なプロテスタント信者だ。キム教授とチャン教授は、韓国の主流保守キリスト教が信奉する
創造科学 を先頭に立って伝播していた熱血信徒だった。ところが今、信徒として残ったのはシン教授だけだ。キム教授は、聖書の内容を文字通り信じる文字主義保守プロテスタント信徒だったが、年を重ねるにつれて自由主義的プロテスタントへ変わっていき、再び個別の宗教を超えて宗教の普遍性を求める宗教学者となり、ついには無神論に近い不可知論者に変わった。チャン教授はKAIST(韓国国立科学院)学部と大学院時代、創造科学信者だったが、今彼は代表的な進化論的無神論者になった。これに比べると、シン教授は進化論的有神論者だ。人類の歴史において疑う余地がなかった絶対的超越者、すなわち神の存立根拠を崩すことで、キリスト教を存亡の危機に追い立てたダーウィンの進化論と有神論の結合は、何か奇妙ではないか?
»『宗教戦争』
『宗教戦争』。この三人がやりとりした電子メールや座談などを集めたこの本は、進化生物学を土台に、宗教はもはや退場させるべき時が来たのではないかと問うチャン教授と、進化論をはじめとした現代科学の驚異的な成果を受容しながらも、科学の成果こそ実は宗教をより高い水準に引き上げるのに必須不可欠な要素だという有神論のシン教授の攻防が主要な柱になっている。
宗教のない世の中を想像してごらん/自爆テロ、911テロ、ロンドン爆破テロ/十字軍、魔女狩り、火薬陰謀事件/インディオ分離区域、イスラエル-パレスチナ戦争/セルビア・クロアチア・モスリム大虐殺…/などのない世の中を想像してごらん。
チャン教授が引用した
リチャード・ドーキンス の著書『神は妄想である-宗教との決別』の序文にあるジョン・レノンの『Imagine』のパロディだ。宗教に対する彼の信条を代弁している。
シン教授は「生命の多元主義」によってダーウィン以降の現代科学の成果を受容するジョン・ホート(John F. Haught)の「進化論的進学」、科学の相対的自律性を認めたキリスト教中心主義者ヴォルフハルト・パネンベルク(Wolfhart Pannenberg)などの考えを説破しながら、無神論的進化生物学という「宇宙的文字主義」や、聖書無誤謬を主張する創造科学・知的設計という「聖書的文字主義」の両極端な両方を排撃している。彼は、社会生物学の創始者
エドワード・ウィルソン が地球生態系を救うために保守的南浸礼教会側に協力を訴えた著書『The Creation』で一方的な生物学中心主義を読み取り、ドーキンスについても19世紀的パラダイムから抜け出せていないと批判した。キム教授も「科学こそは現代の絶対基準であり、価値であるため、どのような方式であれ、これに合わせなければ宗教が生き残れないという強迫的思考」に陥っているとして、「科学のイデオロギー化」を警戒している。彼は科学と宗教の間には無数の重畳地帯があると見ている。
「科学は宗教をどう見ているのか?」「宗教は科学をどう見ているのか?」をめぐって長大に繰り広げられた彼らの攻防は、ある地点で全員が合一した。アメリカ根本主義=福音主義保守教派が1920年代に創案した創造科学、そしてそれが挫折すると1990年代に出てきた類似版の
インテリジェントデザイン に対する彼らの批判は辛らつだ。キム教授は韓国プロテスタントのほぼ全体が受け入れている創造科学とインテリジェントデザインは、科学ではなく信仰運動に過ぎないとし、シン教授はこれをカルト宗教運動、チャン教授は正否を問うことさえ不可能なカルト科学だと断定した。
彼らの意見では、創造科学は科学、特に進化論に対する被害者意識と恐れがその出発点となっている。進化論自体を拒否し、「創世記」の記録を無誤謬の科学だと主張することが創造科学論であり、それが敗退した後、進化論のみを除く現代科学の研究結果を受容し、神がそのあらゆるものを設計して一回性創造で終わったというのがインテリジェントデザインだ。シン教授は当初から完成した状態であり、時間が過ぎても変わるところがないというこのモデルに対して「キリスト教の神は時間の中で世界と関係をもつ力動的な神」という言葉で一蹴した。このモデルを受け入れた瞬間、神は歴史に加入できなくなり、キリスト教神学は終わりを迎える。これをアメリカから直輸入した韓国保守教会は、まだインテリジェントデザインさえ心穏やかに受け入れられずに創造科学を主張している段階だ。三人は、コミュニケーション不在と大金を呼んだ肥満症にあえぎ、無菌室で延命している韓国保守教会が、荒野に出て行かない限り、滅びるしかないと話した。
ハン・スンドン専任記者
『ハンギョレ』2009年06月22日