[時事ナンセンス]ロウソクなのか、タイマツなのか
▣チョン・ヒョクジュン記者
10兆ウォン。姜萬洙(カン・マンス)企画財政部長官とチェ・ジュンギョン次官は、最少100億ドル(約10兆ウォン=約1兆円)の外貨保有額を最近引き下げたとおっしゃった。外貨保有額が破綻したせいでもたらされたのは、(1997年の)IMFショックだった。しかし、過去は忘れよう。このお二人はただひたすらに「ビジネス・フレンドリー」な政策のため、高レート(ウォン安)政策を固守してきただけだ。レートが高ければ、大企業は安い価格で商品を輸出し、金儲けが出来る。大企業が輸出で儲けた資金を投資に回せば、7%成長を遂げられるという政策に忠実に従っただけだ。ところが原油価格が狂った牛のように跳ね上がり、国際原材料価格もロウソクのように燃えはじると、ひっそりと高レート政策をおたたみになっただけだ。お二人は立ち遅れて為替に介入すると言いながら韓国銀行ディーリングルームを通じてドルを売り、ウォンを急落させようとしただけだ。そうやって10億ドルが放出されると、為替投資家たちが為替差益を‘ごっくん’となさった。高レートのために原油価格や小麦価格の高騰が負担となっていた庶民にとって、いいことは何もない。だからと言って、お二人に対して『PD手帳』
*のように司法的定規を突きつけてはならない。『PD手帳』は政権の政策を批判した不敬罪を犯したが、政権の政策的判断は司法的判断の対象にならない。姜慶植(カン・ギョンシク)元経済副首相は、こうして裁判所で無罪となった。
70ウォン。バス料金が70ウォンだとおっしゃる方いらっしゃった。貴公子のようにステキなこの方は、7月3日の代表を選ぶ全党大会で2位になった鄭夢準(チョン・モンジュン)ハンナラ党議員であらせられる。チョン議員は、コン・ソンジン議員の「バス料金が今いくらか知っているのか?」との質問に、「70ウォン」
**とおっしゃり、庶民たちをいらつかせておしまいになった。もちろん、その質問をしたコン議員も米1升、練炭1個の値段がいくらか知らないはずだ。鬱憤をためていたチョン議員は、全党大会の政見発表で‘サッ’とバスカードの‘Tマネー’を取り出した。「マウルバス(近距離バス)に700ウォンで乗った記憶があるのに、口からはなぜか70ウォンと出てしまった」というご丁寧な説明までされた。しかし、チョン議員が取り出したグリーンとパープルのTマネーカードは、中高生用のものだった。
新3高。物価と為替、金利がブレーキもかからず上がり続けている。6月の消費者物価上昇率は5.5%を記録し、9年7ヶ月ぶりに最高値を記録した。7月4日、ウォン-ドルのレートは2日連続で高騰し、2年8ヶ月ぶりに1ドル1050ウォン代に突入した。4月末に5.47%だった銀行債金利は、6月末には6.49%まで上がった。7月4日、ソウルの平均軽油価格は1リットル当たり1961.04ウォンとなり、先週より7.92ウォン急騰した。物価は上がるばかりで、下がるものがない。政府・与党は原因を‘ロウソク集会’に定めた。政府は今の状況が‘第3のオイルショック’だとして、国民に‘痛みの負担’を求めた。ハンナラ党も同調して経済を脅かす‘ロウソク’を消さなければならないと主張した。ところで李明博(イ・ミョンバク)大統領は、経済を生かすためにタイマツを高く掲げようと訴えている。そんななか、下がるものも出てきた。7月4日、KOSPI(総合株価指数)は3カ月ぶりに1600のラインを下回る1577.94で終わった。これはロウソクのせいなのか?それともタイマツのせいなのか?
(『ハンギョレ21』 2008年07月09日 第718号)
* MBC文化放送の時事番組。狂牛病の危険性に関する番組を放送して政権のお怒りにふれたらしい。歪曲報道だ、謝罪放送しろだのなんだのと弾圧されている。あれれ?でも盧武鉉政権のときは、月齢20ヶ月以下の牛でも危険だ危険だと保守系メディアも報道していなかったっけ?それなのに李明博政権に代わったとたんに、月齢30ヶ月の米国牛でも安全になってしまうからフシギだ。
** 2008年7月現在のソウル市内の一般バス料金は、現金の場合1000ウォン、上記のTマネーカードの場合は900ウォンです。現代財閥の御曹司であらせられる鄭夢準(チョン・モンジュン)議員のおっしゃる70ウォン(約7円)では・・・・・・・残念ながら買えるものが思い当たりません。