韓国での米国産牛肉輸入再開に関して、「日本の報道では『国民の為に輸入再開見直し』を主張する大統領の映像ばかり流れているので私の印象が輸入規制再開になるんだろう、となっている」という内容のメールの日本のある方からいただきました。
そうですよね。日本の大手メディアは韓国のこのニュースに関してあまり報道しませんし、しても李明博(イ・ミョンバク)大統領の謝罪シーンとか、ばっかりですもんね。
それに「朝・中・東」と韓国で一括りにして呼ばれている保守系三大紙(朝鮮日報・中央日報・東亜日報)しかネットで日本語版を出していないのですが、それがまた米国産牛肉に関して歪曲報道や李明博政権の受け売り報道ばっかりしてますしね。
んで、それに激怒した市民たちが、この三紙に広告掲載した企業に対して「不買運動をするぞ」などと電話をかけたり、ネット上にこの三紙に対する批判の書き込みしたりしているそうです。それをまた検察が取り締まろうとしたり。
ん~?検察ぅ~?取り締まりぃ~?でもこれって、一種の“消費者運動”じゃねえの?と個人的には思っております。
んで、それに対してまた韓国市民はやってくれます。「私はこんなヒドイことをした。私を逮捕しろ」と逆脅迫(?)をネット上で展開しているのです。ちょっと前のなんですが、6月23日のハンギョレ新聞の社説がおもしろかったので訳してみました。それではどうぞ。
[社説]「広告妨害をした。私も捕まえろ!」
‘朝・中・東’に対するネチズンたちの広告阻止運動を「企業活動の妨害」と規定し、特別捜査に踏み出た検察は、仕事が実に楽になった。検察の捜査を市民たちが物証を提示しながら手伝っているからだ。
今月20日に検察が特別捜査の方針を明らかにした後、対検察庁ヌリチブ自由掲示板では、「私は犯人だから、私を捕まえろ」というネチズンたちの‘自首’ブームが起きている。昨日までで数千人が、自分が広告妨害をしたと自白したり、あるいはこれからそうするつもりだと同調意志を明らかにした。これらの書き込みの90%以上が実名で書かれており、一部は電話番号など自分の連絡先まで書き残していた。HNもたまにはあるが、これも最高検察庁検事たちの卓越した実力で追跡すれば、容易に身元が判明するだろう。だから誰がどのような会社に電話をしたのか、インターネットで朝鮮・中央・東亜日報に広告を載せるなと圧力をかけたのかを検察が調べるために捜査力をあえて行使する必要もなくなった。正義の味方ではなく、‘権力の手先’に再び変わりつつある大韓民国検察にとっては、あまりにも大きな‘祝福’だ。
掲示板の書き込みを一つ一つ読まなければならない検察の手間を減らすために、市民たちの自首内容をいくつか挙げてみよう。「朝・中・東に広告を出した企業に電話して、お前ら企業の商品を買うもんかと暴言を吐いて脅迫しました。召喚をお望みならいつでも出頭いたします」、「自分でも気づかない間に朝・中・東の悪口を書きましたが、許してはもらえないでしょう?早く捕まえてください」、「うちの家族は全員、毎日宿題でもするかのように脅迫(?)電話をしたので、家族全員を捕まえてください」
ロウソク集会を不法と規定し、参加者たちを拘束すると警察が脅しをかけたとき、「私も捕まえろ」と自ら戦闘警察バスに乗り込んだ堂々たる姿そのままだ。世界の歴史上、市民の不服従運動はこれまで何度もあったが、このように多くの市民が自発的に抵抗した事例はなかった。
「すべての権力は国民から出る」という憲法1条を生活から具現する大韓民国の国民に対して、「公権力ならば何でも解決できる」という独裁時代の旧態依然とした思考はもう通じない。「私を捕まえろ」という市民の孤高な叫びを聞いても理解ができない政権に、未来はない。李明博大統領が本当に「ロウソクの行列を見ながら心の底から反省をした」のなら、法を乱用して市民の正当な消費者運動を弾圧するキム・ギョンハン法務部長官やイム・チェジン検察総長からまず解任すべきだ。