人畜無害の大人しい碧猫さんから、またしてもおねだりされてしまいました。ぐはっ、マジかよ。
出典は1月29日の東亜日報です。(日本語版出してるうえに、元記事は日本人が書いてるのに、なんで日本語版にはないんだ~!←あ、いや、人畜無害の大人しい碧猫さんに怒りを向けてるわけじゃありませんよ~)
脚注とか入れたいんですが、とりあえず今は訳しっぱなしで。どうぞ。
[歴史は生きている]
アジア太平洋戦争、各国の教科書比較
日本軍のハワイ・真珠湾攻撃により炎上している米軍艦。日本の東京書籍、中国の人民教育出版社の中学生用教科書に掲載されている(PPS通信社提供)
《アジア太平洋戦争は、広島と長崎に原爆を投下したことで人類を‘核の時代’に追い込んだ。同時に帝国日本の敗北は、アジアに大変動をもたらした。東アジアの中学生用歴史教科書が、どこに力点を置いて説明しているのかを調べてみた。》
●日本 – 国民とアジアでの犠牲は簡略に
日本の中学校でもっとも多く使われている『新しい社会歴史』(東京書籍)では、「第二次世界大戦とアジア」という題で6ページが割かれている。ヨーロッパでの戦争を説明した後、「アジア・太平洋での戦争」と「戦争の終結」についてそれぞれ2ページ使われていた。
「アジア・太平洋での戦争」では学徒兵動員や空襲、避難などを扱い、アジア各国での被害状況についても記述しているが、合わせて1ページ程度の簡略な内容だ。
《日本が侵略した東アジアや東南アジアでは、戦場で死んだり、労働にかり出されるなど、女性や子供を含む多くの一般人が犠牲になりました。一方、日本に連れてこられ、自分の意思に反して労役に動員された朝鮮人や中国人などもおり、過酷な労働条件や低賃金などで非常に苦しい生活をしていました。》
同出版社の10年前の教科書には、空襲に苦しめられた日本国民の戦時下での生活について2ページ程度記述されており、強制労働や強制連行、日本軍慰安婦などアジアでの加害行為を約3ページにわたって具体的に説明していたが、そのような詳しい記述は現在のものには見当たらない。
また、沖縄戦についても10年前の教科書では「スパイ容疑という理由で日本軍に殺害された」、「集団自決をした」などの住民被害に関して具体的な記述があったが、現在は「多くの犠牲者を出した」などの表現に変わった。
渡辺能理夫・社会編集部長は「学習指導要領が変わり、授業時間が減った関係で内容を厳選したことと、左右両ページの分量を1時間授業の分量として構成したためだ。しかし、時代的な背景も否定することはできない」と語った。
1997年に改定された7社の教科書は、すべて‘慰安婦’問題を扱っていた。その後、その記述を削除するように求める「あたらしい歴史教科書をつくる会」が発足した。そしてその団体などで主張される「記述があまりに自虐的だ」という批判の影響を受け、教科書の内容が今日のようになった。
大久保真紀
●韓国 – 光復軍(中国に亡命した大韓民国臨時政府の抗日独立軍)の奮闘する姿を2ページに
アジア・太平洋戦争については世界史分野に属する『社会2』と、韓国史を扱う国定教科書『国史』の両方で教えている。
広く使われている金星出版の『社会2』では、第二次世界大戦の経過をドイツのポーランド侵攻から原爆投下に至るまで、2ページにわたって絵や写真付きで説明している。「日本軍、インドネシア侵攻」や「日本の真珠湾攻撃」などの項目を設け、事実関係を記している。
執筆者が取材に応じてくれた図書出版ディディムドル(DIDIMDOL PUBLISHINGCO., LTD.)の『社会2』では、広島で被爆した中学生の手記を紹介している。泰陵(テルン)高校の教師である金陸勲(キム・ユクフン)氏は、「核兵器がどれだけ恐ろしいのか韓国人はよくわかっていない。侵略した国でも、侵略された国でも、戦争が民衆に多大な苦痛をもたらしたという事実を教えようと思う」と執筆意図を語った。
国史教科書では、中国にあった大韓民国臨時政府により組織された韓国光復軍の奮闘について2ページにわたって記述している。
《日帝が太平洋戦争を起こすと、大韓民国臨時政府は日本に宣戦布告をし、連合軍と共に独立戦争を展開した。このとき、韓国光復軍は中国各地で中国軍と協力して日本軍と戦い、遠くインドやミャンマー(ビルマ)戦線まで進出して英国軍と共に対日戦に参加した。》
さらに、《わが民族の積極的な独立戦争は多くの国に伝わり、世界列強は韓国の独立問題に関心を持つようになった。》《連合国首脳が集まったカイロ会談とポツダム宣言で、韓国の独立を約束する踏み台となった。》と記述し、光復軍の闘争が独立に寄与した事実を強調している。
国史編纂委員会の許英蘭(ホ・ヨンラン)博士は、「大韓民国臨時政府の対日宣戦布告が、戦況にどの程度影響を与えたかはさておき、植民地だった朝鮮が戦勝国になったという点を強調した」と語った。「日本の右翼は『日本はアメリカに負けたのであり、植民地朝鮮に負けたのではない』という論理展開をしているが、これに対する批判の意味もある」と話した。
桜井泉
●中国 - ファシズム国家との戦いを強調
中国でもっとも多く使われている人民教育出版社の中学生用教科書では、日本の対米英戦争について『世界史』の教科書の「第二次世界大戦」で扱っている。この単元は「第二次世界大戦の勃発」と「世界反ファシズム戦争の勝利」という二つの課で構成されており、14ページに達する。この中で真珠湾攻撃など日本に関する部分は、合わせて2ページ半に及んでおり、次のような記述で始まる。
《1941年12月7日未明、日本軍は大量の飛行機を出動させ、宣戦布告もせずに米海軍の太平洋艦隊に攻撃を開始した。翌日、アメリカは日本に宣戦布告をした。これにより第二次世界大戦の規模がより一層拡大し、世界のほとんどの地域と人々は歴史上例のない悲惨な被害の中に巻き込まれていった。》
日本の教科書と比べて際立って異なるのは、第二次世界大戦をファシズム(全体主義)国家陣営と反ファシズム国家陣営の戦いと位置づけ、詳しく説明している点だ。
《ファシズム国家の野蛮な侵略は、世界人民の激しい怒りを巻き起こした。アメリカ、イギリス、ソ連などの国家が、共通の敵であるファシズムに抵抗するために手を組むことになった。》
《アジアと太平洋の戦場で、日本は降伏を拒否した。中国などアジア各国の人民たちは、日本の侵略者に対して猛烈な反撃をした。》
中国の歴史教科書に詳しい段瑞総・慶応大学准教授は、「中国政府は抗日戦争が反ファシズム戦争の勝利に貢献したという見解をとっている。国際社会での地位向上に繋がったという認識があるためだ」と語った。
また、教科書では次のような質問を掲載し、生徒たちが自ら考えるように導いている。
《世界唯一の被爆国である日本は第二次世界大戦の被害者だ、という見解が日本にはあります。これについてどのように思いますか?》
佐藤和雄
●台湾 - ヤルタ会談の重要性を指摘
台湾の教科書にはアジア太平洋戦争を中国史と世界史で扱っている。広く使われている南一書局の『国民中学社会』の中国史部分では、「日中戦争」の項目で1ページを使って真珠湾攻撃から原爆投下までを説明し、《(日中戦争の)第二段階は(中国が)連合軍と共に戦った。》と評価している。
中国にとって大きな意味を持つ事項として、カイロ会談とヤルタ会談について写真を添えて説明している。
《アメリカは中国が参加せずに事情を知らないなか、ソ連とのヤルタ秘密協定を締結し、中国の権益をむさぼることで中国に莫大な損害を与えた。》
世界史部門では2ページにわたる「第二次世界大戦」という項目の中で、真珠湾攻撃が《ヨーロッパとアジアの二大戦場を合流させた。》とし、世界地図の上にミッドウェー海戦などの重要な事件を載せて大戦の拡大状況を示している。ここでも《ヤルタ会談は戦後情勢に影響を与える重要な鍵となった。》と指摘した。大戦を総括し、《戦争規模は前例がないほど大きく、全世界が影響を受けた。数千万人が亡くなった以外にも、経済的な損失は推定できない。》と文章を締めくくっている。
国民党政権下の“歴史課程標準”に基づく教科書では、世界史で第二次世界大戦について約11ページを使っている。日本関連では真珠湾攻撃と広島の原爆投下、降伏文書調印式などの3枚の写真を載せて詳しく説明している。また、中国史では「太平洋戦争勃発後、中国の戦場で日本軍は100万の兵力を投入していたため、日本は戦力を尽くして対米作戦を行うことができない状況に置かれた。このような中国の貢献は、連合国が最後の勝利者になる要素として適用した」とし、抗日戦の意義を強調している。
南一書局の教科書編集指導委員である周恵民・政治大学歴史学部教授は、「授業時間とも関係があり、戦争の部分に関する記述は相当に少ない。多くの人々が台湾に捕虜収容所があり、オーストラリア人の捕虜がいたということなども知らない」と現在の状況を語った。
田村宏嗣