
今年観た映画の中で一番衝撃を受けたのは、"관타나모로 가는 길 (The Road To Guantanamo / イギリス / 2006 / 邦題『
グアンタナモ、僕達が見た真実』)"でした(韓国では今年の夏に公開されましたが、日本では2006年に公開されています)。
この映画ではイギリスに住むパキスタン系の青年が結婚式のために友人たちとパキスタンを訪れるのですが、時は2001年の秋。ボランティアのためにアフガニスタンに入国した彼らは当初、物見遊山気分でしたが、アメリカの空爆や北部同盟の攻撃に遭い、ついにはテロ容疑者としてキューバのグアンタナモに収容されます。
そこで彼らは精神的・肉体的な拷問を受けながら尋問されます。もともと政治やテロや宗教とは何の関わりも持たなかった、ごくフツーの青年だったにもかかわらず、です。彼らが尋問(拷問)を受けるシーンの合間に、イギリスで気楽に過ごしていた彼らの映像が映し出され、そのギャップが浮き彫りにされます。
映画の後半部分は、実際にグアンタナモに収容されていた本人たちのインタビューも交えながらクライマックスに進みます。彼らは2年もの間、グアンタナモに拘束されていたわけですが、そのことに対するアメリカ側の謝罪があるわけでもなく、また、グアンタナモ収容所の状況というのは、未だにまったく改善もされていない模様です。
そのグアンタナモに関するニュースを2つ訳しました。それではどうぞ。
米、グアンタナモ“収監者の扱い”指針初公開
抵抗の意志を挫いて順応に-“人権侵害”非難高まる
»2002年、キューバのグアンタナモ湾にあるアメリカ海軍基地内のキャンプ・エックスレイで米軍の警備兵が収監者を連行している。AP・聯合
新規の収監者を隔離し、不安感を高める
コショウ・スプレーで目・鼻・口を狙う
収容者を怯えさせるために軍用犬を散歩させる
「新規の収監者は最初の2週間は事実上隔離し、心理的な不安感や混乱を助長する」「一部の収監者には国際赤十字との面談を許可しない」
拷問など深刻な人権侵害に対する批判にもかかわらず、アメリカがアルカイダやタリバンのテロ容疑者とみなして約300人を拘禁しているキューバのグアンタナモ収容所の“管理運用規定”が初めて外部に公開された。良心的告発サイト(www.wikileaks.org)に挙げられている239ページにおよぶこの規定は、収監者たちの“抵抗意志”を挫き、順応させることに焦点が当てられている。
この規定は△収容者たちが見て怯えるように軍用犬を散歩させる△コショウ・スプレーは目、鼻、口を狙い、0.5~1秒間9~18㎝の近さから噴出する△収監者に報償として追加のトイレットペーパーを支給することができるなど、非常に具体的な管理指針が記載されている。特に、一部の収監者の国際赤十字との面談を許可しないという内容は、米軍が一貫して否定してきたことだ。
この規定は“機密”ではないが、一般に公開しない“官用”に分類されたもので、2003年3月当時、収容所の責任者であるジェフリー・ミラー所長が署名した原本だとロイター通信が14日に報道した。アメリカ市民自由連合(ACLU)は「これまでの公式発表と違い、唯一収監者に接近できる国際赤十字の職員との面談さえ許可されていないことは、米行政府の道義性に対する深い憂慮をもたらす」と指摘した。
これについてグアンタナモ収容所は「該当の教範は2003年当時のものであり、その後多くの内容が大幅に改善された」と発表した。グアンタナモ収容所は人権団体などから人権侵害が横行しているという非難を絶え間なく受けてきた。
キム・スンベ記者
(ハンギョレ 2007年11月15日)
「グアンタナモ収容所の閉鎖、進展なし」
ロバート・ゲーツ米国防長官はテロ容疑者を収監しているキューバ・グアンタナモ米軍収容所の閉鎖推進派ほとんど進展がないと明らかにしました。
ゲーツ長官は米国防省で開かれた年末記者会見で、釈放された収監者に対してどのような措置をとらなければならないかに関する問題のみならず、クアンタナモ収容所の閉鎖問題に関する様々な法律的問題に直面しているとし、「いくつかの法律的憂慮のために、あまり進展のない状態」だと伝えました。
またゲーツ長官はアルカイダがパキスタンとの国境地帯に再び集結してパキスタン政府と軍に対する攻勢に出はじめたとし、これに伴って国防省では訓練と装備を提供してパキスタン政府の反政府勢力制圧能力を高める方向で模索していると語りました。
さらに「国境地帯のいくつかの地域ではアルカイダが勢力を再び拡大させているが、まだアフガニスタンでは大きな問題にはなっていない」と説明しました。
(YTNニュース 2007年12月22日)