真実に接近しようとするジャーナリストが、自らの身の安全を守ることが難しくなっているというニュースです。今年、取材中に亡くなったジャーナリストの数は171人にのぼっており、その数は最悪だった去年の数字を11月の時点ですでに上回っているとのことです。
この時期になると、「今年の○○」といったニュースや「史上○番目の××」といった統計がよく出てきますが、この統計は実に暗澹たる気持ちにさせられます。
「今年の報道殉死者、安全度最悪-すでに171人死亡」
国際ニュース安全研究所発表
【ブリュッセル=聯合ニュース】イ・サンイン特派員=今年、記者などの報道殉死者数がすでに171人に至り、史上最多を記録するなど、今年が全世界のジャーナリストにとって最悪の年になると国際ニュース安全研究所(INSI)が29日に伝えた。
ブリュッセルにあるINSIの統計によると、今年に入ってジャーナリスト142人と取材支援要員29人など171人が報道業務で殉死しており、このうちの121人は殺害されている。
この死亡者数は、同団体がジャーナリストの被害状況に関する統計作業を始めた1990年初頭以来、今までの1年間の死亡者がもっとも多かった昨年の168人をすでに超えている。
国家別ではイラクが最多で、ジャーナリストにとってもっとも危険な場所であるという汚名から逃れられずにいる。2003年のイラク戦争勃発以来、ジャーナリストの死亡者数は235人に増加した。
これに次いでスリランカ6人、アフガニスタン、メキシコ、インド、フィリピンが各5人という結果だった。
言論機関や言論の自由関連団体、労組などの連合体であるINSIのクリス・クレマー会長は「このようにひどい統計結果は、ジャーナリストの安全が最悪の状況に陥っているという事実を表している」とし、「世界的にジャーナリストの保護措置がさらに強化される必要がある」と促した。
また、ロドニー・ファインダー理事は「新しいミレニアムが始まった2000年以来、ジャーナリストの死亡者数が毎年増加している」と憂慮を示した。
そして今年、取材中に亡くなったジャーナリストといえば、ビルマで亡くなられたこの方のことを忘れるわけにはいきません。これだけネットで世界中のニュースが流れている時代に、通信手段を遮断して大本営発表を垂れ流すミャンマー軍事政権。そして様々なしがらみでその政権を真っ向から批判しない各国政府・・・。はあぁ~。
アジア記者協会“今年の言論賞”
“ミャンマーのデモで殉職”長井健司氏
アジア記者協会(AJA、会長イ・サンギ)は29日、今年の9月にミャンマー民主化デモの取材中に殉職した日本APF通信の故・長井健司(50・写真)氏に第2回アジア記者協会“今年の言論賞”を追叙した。アジア記者協会はこの日の午後、ソウル・プレスセンターで開かれた2007アジア記者協会総会の開幕式で「銃弾に倒れる最期の瞬間までカメラを手放さず、真実を報道した彼の記者魂に賛辞を送るために選定した」と伝えた。長井健司氏は20年以上にわたってジャーナリストとして活動し、イラク、アフガニスタンなどの紛争地域で取材を重ねた。
ハンギョレ2007年11月29日