華氏911
2004年07月29日
あんにょ~ん。
見てきましたっ!話題の『華氏911』をっ!
こちら韓国では、日本よりも一足早く、
今月の22日から劇場公開されているのです。
うらやましぃ!と思う方、いらっしゃるでしょ。
日本での全国公開は8月下旬からだそうですが、
「8月まで待てないっ!」という方は、
韓国旅行のついでに見ることができます。
私が行ったのは明洞(ミョンドン)のシネコンで、
料金は7000ウォン(約700円)でした。
この料金は場所や時間によって、若干、高くなったりします。
韓国の映画館は全席指定なんですが、
私が映画館に着いたときは、上映時間まで2時間弱もあるのに
残りはわずか60席でした。
夏休みとは言え、平日の昼間っからヒマな若者が多いんですね。
ま、私のことですけど…。
客層は時間帯のせいもあってか、20代・30代ばっかり。
私が見た限りでは、40代以上の人って、4人だけでした。
しかも、いずれも20歳前後くらいの息子さんor娘さん連れでした。
なんだか韓国の反米感情が強い世代をそのまま反映してますね。
ちなみにこの映画は、
アメリカではR指定(18歳未満は保護者の同伴要)だそうですが、
韓国では15歳未満が観覧禁止になっています。
日本ではどうなるんでしょうか?
この映画の内容は、どっかのアホの短い言葉を借りて表現すれば
「感動したっ!」です。
でもだからと言って、目新しい内容はありません。
各方面からネタばれがドンドコ配信されていますしね。
それに、この映画によって911テロやアフガニスタン攻撃、
イラク戦争の全容が明らかになるわけでもありません。
この映画はドキュメンタリーですからネタばれも何も、
これまでの日々のニュースがネタです。
ただし、テレビや新聞には出てこない米兵の棺はもちろん、
米兵やイラク人の死体、手足を失った米兵、
傷ついて血を流すイラクの人々が次々と映し出されます。
私は最近、CNNなどの味気な~いニュースであっても
イラクの人が映っただけで涙腺にスイッチが入ってしまうのですが、
この映画にはそんな私に“お涙ちょうだい攻撃”をしかけてくる
シーンがたっくさんありました。
でもそのすぐ後に、必ずあの国のおエライさんたちの
っしょ~もな~い演説などのシーンが組み込まれているので、
“お涙”がすっと引いていくんですけども。
そしてやはりマイケル・ムーアの映画ですから
笑えるシーン(とツッコミ)も期待を裏切らず満載です。
しかし、「これがあのアメリカ様のおエライさんかよ」
と考えると、お涙もちょちょ切れてしまいそうです。
さて、この映画、かの地アメリカでは賛否両論の大論争に
なっているそうですが、こちら韓国では社会全体で見れば
それほど大きな話題にはなっていません。
先に書いたように、この映画を見に来ているのは、元々、
反米意識が強い若い世代がほとんどだからです。
ネット上の話題も、若い人が中心になって作っている感じです。
ま、アメリカ万歳!な人はハナっからこの映画を見ないでしょうしね。
それでなくても行き過ぎた反米感情がアメリカさんを刺激して、
韓国の不利益になるんじゃないかと政府はビクビクしていますから、
このくらいの“住み分け”がハッキリしてるくらいが
丁度いいんじゃないかと個人的には思いますが。
それに、あったり前のことですが、
どうせ韓国人にはアメリカの選挙権などありませんし。
ロビー活動などの影響力も弱いし。
(日本同様、アメリカの51番目の州などと揶揄されてる割には
このへんが悲しいところですね)
でも一旦、この映画を見に来た人たちの反応は、
なかなか正直ものでした。
笑えるシーンでは笑い、凄惨なシーンにはすすり泣き、
私の隣に座っていた女の子のグループはことあるごとに
「ひどい」「そんな」「なんで」を連発していました。
(もっとも平均的な韓国人の映画の見方は、
必ずツッコミを入れながら見るというものですが…)
この映画は感動の涙を流せるような映画でもなければ、
腹の底からスッキリ笑い飛ばせるような映画でもありません。
ただ、いろいろ考えさせられます。
日頃からおカミの言う事を無批判に受け入れていたり、
日常の生活にただ流されていたり、
誰かさんの受け売りで何かを批判している人には、
この映画はいいんじゃないでしょうか。
個人的にはこんな映画を、日本でも作ってほしいなと思います。
まぁ、「パロディーを承諾しない」無粋な政党が
ずっと与党をやってるような国では無理でしょうけどね。
薫