■ 世論調査はアテにならん!
選挙前になりますと、マスコミ各社から世論調査なるものが
発表されますが、これはハッキリ言ってアテになりません。
その理由として、大きく2つあげられます。
1)調査結果のデータ自体がアテにならん!
2)調査結果の発表によって有権者の投票行動が変わりうる!
ということです。
まず、1)からいってみましょうか。
え~、このコラムをお読みの方で、世論調査の対象になったことが
ある方はいらっしゃいますか?
私は調査をするバイトはしたことありますが、されたことはありません。
家族など身近な人でも対象者になったことがある者はいません。
はい、このように、
ご~く少ないサンプルからデータを出しているんですねぇ。
ま、統計学上はこれでもいいのかもしれませんが。
でも、対象者がちゃんと自分の意見を答えていなかったらどうでしょう?
私が学生時代にした某新聞社の世論調査では、事前に新聞社が
無作為抽出で調査対象になった人にハガキで
「○月○日~○日の間に当社の調査員が世論調査に伺います」
と知らせておいて、バイトがその人の家に行くという形態でした。
しかし、偶然にも新聞社にそうまでされてしまった調査対象者の方は、
選挙や政治にまぁ~~~ったく興味のない人だとしても、
雨にも負けず、夏の暑さにも負けずやってきたバイト調査員に対しては
「はい!政治に興味あります!投票には必ず行きますぅ!」
と答えてしまうものです。
だから、どの選挙の世論調査でも
「選挙に関心がある」や「投票に行く」という割合は80%くらいなのに、
実際の投票率は50%くらいになってしまうんですねぇ。
「どの政党を支持するか」とか、
「どの候補者に投票するか」という設問にしてもそうですよ。
元々、政治や選挙に興味のない人は
“どんな政党があるのか”、“誰が立候補しているのか”すら
知らなかったりします。
でも「答えとかないとカッコ悪いな~」という心理が働くので、
メディアでの露出度が高い
たまたま知っている政党や人をテキトーに答えたりします。
でも、こーゆー人たちは結局、投票に行かないから、
世論調査と選挙では違う結果が出てしまうのです。
電話による世論調査(最近はこっちの方が多いようです)もありますが、
これにも同じことが言えるでしょう。
それに、最近の一人暮らしの若者は携帯電話だけで、固定電話を
持っていないという人が増えています。
でも電話世論調査は、固定電話の番号で調査しているので、
そのような若者は調査対象に入ってないんですねぇ。
彼ら・彼女らだって20歳以上の日本国民なら選挙権はあるのに。
このように(他の世論調査ならまだしも、選挙に関しては)
世論調査なぞアテにならんのんです。
つぎに2)ですが、これは“アナウンスメント効果”と言われます。
たとえば、新聞の世論調査で「A党優勢、B党過半数割れか?」
下にちっちゃく「C党、D党苦戦」と出たとします。
すると、“バリバリ”A党支持者はもちろん調査結果に関係なく
A党に投票するでしょうけど、“なんとなく”A党支持者は
「A党は楽勝みたいだからいっか」と投票に行かなかったり、
少数政党のC党やD党に投票してしまうかもしれません。
それに対して、“バリバリ”B党支持者はもちろんのこと、
“なんとなく”B党支持者も「これじゃヤバい」ということで、
必ずB党に投票するでしょう。
それだけならまだいいが、B党は「フンドシを締めなおさねば」と
選挙運動もヒート・アップ、選挙カーは大音量、投票依頼の
電話はガンガンと、ますますウルサくなるかもしれません。
戸別訪問や、金品を配ったりなんかしたら違法行為です。
こんなことしてもA党やC党やD党支持者には逆効果でしょうけど、
“支持政党なし”層には有効かもしれません。
しかし、一番コワいのは、こんなアホな選挙運動を繰り返すことで、
“政治に関心ナシ”層がどんどん量産されていくことです。
ん?
…おっと、話が“アナウンスメント効果”からそれてしまいました。
また世論調査の与える影響に話をもどしましょう。
え~、ですから上記のような世論調査が発表されると、
「A党にしようかB党にしようか」と悩んでいる人などは
B党に同情して投票したり、
“なんとなく”C党、D党支持者は
「C党(D党)に投票して死票(落選者への票)になるよりは」と
A党やB党に投票したりするかもしれません。
このように、世論調査結果は有権者の投票行動を“変える”
こともあるんですねぇ。
ですから、ここ韓国では大統領選挙前に世論調査を発表することは
法律で禁止されています。
(ま、発表が禁止されてるだけで、世論調査自体は合法なので
各陣営やマスコミは独自に世論調査を行ってはいますが…。)
え~、ですから有権者のみなさんは世論調査の結果に左右されず、
自分の信念で「これ!」と思う政党や候補者に投票してください。
棄権するなんて、もってのホカです。
■ 意外に高い参議院の壁
参議院選挙の楽しみ方の一つに、
『イロモノ・キワモノ政党の政見放送を見る』
というのがあります。
っえ?そう思うのは私だけですか?
………。ま、聞いてください。
参議院選挙には、奇想天外な政党や党派がでてきたりします。
今思い出したのは「日本愛酢党」と「UFO党」です。
いや、マジですよ。かつてこんな党があったんですってば。
それが、NHKの政見放送で
「酢は体にいいのです!」とか
「これからは宇宙との交流の時代です!」など、
小さいんだか、大きいんだか、よくわからないことを
大マジメに(そう、彼らは本気です)演説していたのです。
さらに、“笑っちゃうくらい”右巻きな政党などもあり、
「議席をすでに持ってる政党とかは、
真面目に政見放送するのがバカバカしくならんじゃろうか?」
などと心配してしまったものです。
あぁ、しかし、こんな“ささやかな”楽しみも、なくなってしまいました。
今回の参院選へ立候補した党派は8つ、候補者数は320人です。
政党数は、ピーク時の5分の1にまでへっています。
私が見たところ今回の“笑える”政党は、かろうじて1つでしょうか。
そのHPを見ると…
『自衛隊の皆さん、行先が違います。
「イラク」ではなく「北朝鮮」です。』と、あります。
………はい、笑えませんでしたね。
まさか、自衛隊を北朝鮮にも派遣して、
また水道工事でもさせるツモリなんでしょうか?
違うでしょ?あぁ、こわい。こわい。
ま、かつてはオウム真理教が参院選に出たこともありましたから、
そんなエセ政党(?)が当選しないように阻止するのも有権者の
役目なのであります。
ところで、なぜこんなに参議院へ挑戦する政党や人が減ったのでしょう。
衆議院で小選挙区制が導入され、小政党には不利になってしまった
ということが大きな要因ですが、他にも資金力を持たない組織には
不利な制度があります。
それは「供託金」です。
これは立候補する際に、選挙管理委員会に収めなければならない
お金です。供託金は、その候補者の得票数が一定の数に達すると
返金されますが、達しない場合は没収されます。
そんな恐ろしいお金が「供託金」なんです。
これが92年に引き上げられてから、立候補が減少傾向にあります。
いくらかと言うと、
選挙区の場合300万円、比例区の場合600万円です。
選挙区でズブの素人が当選するのはかなり困難ですが、
比例区がろっぴゃくまんえんって…。
ビンボー人は選挙に出るなってことでしょうか?
イエイエ、これは売名行為などのために出馬したりなんかする
“なんちゃって”立候補を防止するための制度です。
それにしたって高いですね。
韓国にも供託金制度はありますが、日本円で約150万円です。
で、イギリス、カナダでは約10万円、オーストラリアは約5万円、
フランスにいたっては95年に廃止されました。
アメリカはちょっとデータがみつかりませんが、
この前のカリフォルニア州知事選に100人以上が立候補してたので、
国会議員の供託金もそんなに高くはないんじゃないでしょうか。
こうして見ると、供託金は日本だけが極端に、
ついで韓国が飛びぬけて高いですねぇ。
日本人と韓国人だけは、供託金を高くしないと
“なんちゃって”立候補が増えてしまう国民性なのでしょうか?
それはナゾです。
《選挙にGO!その4へつづく》