2004年05月09日
■ 日曜の朝
ここまでずいぶんと長いシリーズになってしまったが、もう夜には
ロンドンに向けて帰らなきゃという日になってしまいました。
旅には終わりがあるのです。
最後の日くらい店の手伝いしなくてもいいから、KAORUは家で
のんび~り子供たちと遊んで過ごせ、とお義兄さんから言われ、
お言葉に甘えることにした。
って言うか、店におサルが2匹もおったらジャマ?
さて、その日は日曜日。
甥っ子も今日は幼稚園がお休み。
さ、おばちゃんと遊ぼうね~、と思ったら、
パパと一緒にお出かけするぅ~と泣き出した。
コラコラ。
おじちゃんという大ザルがパパと一緒に行くんだから、
君みたいな子ザルまで行ったら、パパが仕事できんでしょ。
パパはハイハイハイーっと、抱っこして、テキトーにあやして、
泣き止んだところでおもちゃの自動車にひょいっと乗っけて、
ドアをガシャーンと閉めて出かけて行ってしまいました。
置いてけぼりをくらった甥っ子は、ドアのところまで走って行って、
ドアノブにぶらさがって泣く、泣く。ウルサイ、ウルサイ。
でも、鍵は子供の背では、たわん高さのところにあるんよね。
ママから「パパはお仕事なの。いい加減にしなさい。」
と言われても、わんわん泣き続ける甥っ子。
ママは「もう知りません」と言って、アイロンがけをはじめた。
(子どもがチョロチョロしてない今がチャンスよね)
んで私も、いい子にしている姪っ子と遊ぶことにした。
今まで姪っ子のネタが少なかったが、彼女は本当にお利口さん。
何でもよく食べるし、おかたずけはするし、聞き分けはいいし、で
ネタにするスキがあまりないのです。
泣きわめく甥っ子との差は、性差や年齢差からくるのかしらん?
と、最初は思っていたのだが、現在4歳数ヶ月の大阪の姪っ子
(ウチの兄の娘)も、ネタが満載系だよな~。
これはきっと、個体差ね、という事で自分の中で納得した。
甥っ子は、その後も延々と30分もドアの前で泣き続けたが、
キャイキャイと楽しそうに遊んでいる妹とおばちゃんに少しず~つ
接近してきて、45分後にはついに合流した。
ふはぁ~、幼稚園が休みの日の朝はいつもこうなの?と思って
お義姉さんに聞いてみたら、
「いつもは、いい子にしてパパのお見送りするんだけど、ゆうべから
ちょっとカゼ気味だから、聞き分けが悪くなってるのよ。」
という事だった。
しんどい時ぐらい、おとなしゅうしとかんかい!
■ マルチリンガル養成講座
前にも書いたが、甥っ子・姪っ子はバイリンガルな環境下にある。
実際、まだツタナイながらも2ヶ国語をしゃべっている。
これから先、英語やアラビア語もマスターしちゃうんだろうなぁ。
私も彼らから言葉を教えてもらった。
フランス語では飛行機が「あびよ~ん」である。
ウルドゥーではポテトが「ある~」である。
………って、たったこれだけかい!
さて、日本では子供に英語をマスターさせようと、色々なビジネスが
やたらお盛んですが、実際、効果はどうなんでしょうねぇ。
親や環境がバイリンガルでなければ、本当のバイリンガルな子供は
育たんと思うんじゃが…。
子供に英語ペラペラになってほしいんだったら、親がマズだよね。
それが無理なら、家族丸ごと英語圏に移住する。
しかも、日本人学校には通わせない!
日本人コミュニティには住まない!
かつ、家庭内では親が日本語や日本文化をきっちり教える!
と、これぐらいの気合がないとダメだと思う。
などとエラソげに書いてしまったが、まだ見ぬわが子に、きっちり
日本語を教えられるんじゃろうか、このおかーちゃんは?
ま、わが子は“○国人”とかの狭い範疇にとらわれない、
“地球人”として育ってくれればいいのさっ。
(さっき“国際人”と書こうと思ったが、何か傲慢な響きがあるので
やめた。やっぱり、ぼくたち地球人さっ。)
ところで、私は甥っ子・姪っ子に話しかける時は、すべて日本語で
話しかけていた。
下手な英語で話しかけて、変なアクセントを覚えられてもね。
っていうか、どっちみち通じないし。
甥っ子が、私にミニカーをくれた。
私;「ありがとう。」
飛行機のおもちゃもくれた。
私;「ありがとう。」
クマのぬいぐるもくれた。
私;「ありがとう。」
でも、もう手がいっぱいなので、ミニカーを返した。
甥っ子;「ありがとう。」
……………!!!!!
私;「あ、ありがとう!?」
甥っ子;「ありがとう。」
……………ぅぉぉぉおおおおお!!!
(↑初めて water という単語を認識したヘレン・ケラーのごとく)
お義姉さぁ~~~ん、この子、天才ですよ!
日本語で「ありがとう。」って言ったぁ~!
しかも、発音も完璧。
ツレアイの「アリガトゴザイマス」みたいなガイジン発音じゃない。
言うタイミングもバッチリ。
すげぇ~~~~~!
恐るべし、子供の学習能力。
■ お宅拝見
さて、甥っ子の機嫌もなおった事だし、幼稚園のお友達のウチに
遊びに行きましょう、という事になった。
そのお友達もパキスタン系移民のご家族なんだそうな。
ちなみに、甥っ子の幼稚園のクラスは28人中、パキスタン系の
子供が3人いる。
同じマンションの違う棟に住んでいるそのお友達のお宅に行くと、
そこのママさんから、やはりパキスタン式の挨拶(ハグハグ)をされて
またフリーズしてしまった。
だから、日本人はスキンシップが苦手なんだってば!
ここのお宅に来馴れている甥っ子・姪っ子は、到着するやいなや
キャイキャイと遊び始めた。
このお宅には、3歳(甥っ子と同じクラス)と1歳の男の子がいる。
そして、ママさんのお腹の中には、4ヶ月の未来のいのちが。
でもこの珍しい客人を迎え、テキパキと台所仕事をこなし、濃厚な
ミルクティーとお茶菓子を出してくれた。
あれ?イメージしてた妊婦と違う。
そう言えばお義姉さんも、ツワリはたいしたことなかったと言ってたな。
「パキスタンには、ツワリにいい食べ物でもあるんですか?」
と、ブシツケな質問をしてみた。
いやぁ~、後学のためにも、これは聞いておこうかと。
でも、ママさんとお義姉さんからは、困ったような笑顔を返されただけ
であった………。
さて、遊びまわる子供たちと一緒に私も戯れていると、ママさんから
「アナタ、子供が好きなのねぇ。」と言われた。
そして、お義姉さんが、畳み掛けるように
「KAORUは、子供がとぉっても好きなのよねー。」と言った。
………………………ギクっ!
4月6日(火)のこーのの小話を読んでドキリとしたが、私は元々、
子供は“大”がつくほどキライであった。
5月5日(水)の小話も読んでてドキリとしたが、子供なんかよりも
大きな犬を飼いたいと思っていた。
それが、それが、で、ある。
どうしちゃったんでしょうかねぇ~。
いつ子供を産もうかなぁ、などと考えている。
そのためにも学業は一旦…、などと考えている。
(その前に、ちゃんと籍入れろや)
恐るべし、子供の笑顔。で、ある。
■ 手がデカイの…
お友達の家で色々とご馳走になってからオイトマした。
家に戻ると、お義姉さんが、
「KAORUにこれあげる。」と箱を出してきた。
あけてみると、中にはキンキラキンのバングルがジャラジャラ。
えっ、いいんですか?こんなにたくさん?
「いいのよ。アナタのこと気に入ったから。」ですと。
…じーん。
ヨメとして認められたってことね(と、勝手に解釈)。
早速、つけてみようとしたが、あれ?キツイ。
無理やり押し込んでいると、ガラス製のバングルが一つ、
パリッと不吉な音をたてて割れちゃいました。
そう、私は手がデカイのです。
……………。
っホ、ホラ、でも、よく言うじゃないですか、
「足の大きな子は鳶(職)に、
手の大きな子は左官(屋)にしろ」って。
…って、こんなコトを言うのはウチの父(大工)だけ?
お義姉さんは、
「い、いいのよ…。」と、
苦笑いを浮かべて私を洗面台に連れて行き、石鹸水を使いながら
残りのバングルをつけてくれたのでした。
最後の最後でも、やっぱり「不肖のヨメ」であった。
《次回は最終回(のつもり)・ぱーと13へ続く》