■ 本場の…?
どうにかこうにかレジ打ちやっていったが、ユーロにはやはり馴染めない。
1ユーロと2ユーロ硬貨は、ぱっと見がとてもよく似ている。
しかも、発行された国によって、裏面のデザインが違う。
(それでもユーロ圏内だったら、どこの国でも使える)
いち、にい、さんと確認しながら受け取ったり、渡したりするから
まるで“小学生のさんすう”状態。客から、クスっと笑われてしまう。
(チクショー、日本人は計算が得意なのに)
そうこうしていると、お兄さんが
「コバラすいた?」
と、2軒隣のアラブ料理店から、テイクアウトを持ってきた。
開けてみると、大量のラム(酒じゃなくて羊肉の方ね)のロースト!
…の下に、巨大なバゲッドが!
よ~く全体を見てみると、それは羊肉のサンドイッチなんだが、パンが
「もうカンベンして下さーい!」と言わんばかりに広げられ、羊肉が
はさまれると言うか、のっけられている。
さらに大量の(本場?)フレンチ・フライが添えられている。
あのぉー、サンドイッチの定義とは、パンに具を“はさむ”のでは?
これって、パンが180°(以上)開いてますケド?
新種のオープン・サンドっスか?
コバラがすいた時に食べるのは、もっと軽いモノでは…?
まぁ、まぁ、まぁ、というコトで、動けなくなるくらい大量の“おやつ”を
食べさされてしまった。これが本場のフォアグラ(←私がね)ですな。
(だったらそんなに食うなよ!)
■ 自立への道
バイト君、バイトちゃんたちの昼休み(2時間もだよ!)も終わり、なんだか
お客よりも店員が多い、という状態になってしまった。
もしかして、これは私らがいると、かえってジャマ?と思って、お店のまわりの
町内を2人で散策することにした。
いや~、いいねェ。フランスの町並みは。
小川ではマガモの一家が泳いでいる。
川べりの枯れ草の上でガチョウが昼寝している。
川沿いの小道を犬と一緒に散歩しているじーちゃんも何だかキマってる。
天気もいいし、なんとなく春のケハイが漂っている。
2人で「フランスいいねぇ~」とか言いながら、ぽへ~っと散歩していた。
しかし、ハタと自分たちはこの国の通貨を持っていない事に気づいた。
今もってるのは日本円と英国ポンドと韓国ウォンのみ。
ユーロがない!
これでは、ちょっと気取ってカフェでも入ってみようかとか、あの店のバゲットとこの店のチーズが美味しそうとか思っても、何もできんやん!
最初は、お兄さんに両替してもらおっかとも思ったが、忙しいお兄さんに
負担をかけてはいけないと思い、自分らで両替に挑戦することにした。
ちったぁ自立しなきゃ。
おや、“挑戦”や“自立”だなんて大ゲサな。
しかし、パリ市内だったらどうって事ないんだろうけど、ここは郊外だし。
それに、ホラ、フランス語がまったくできない2人ですから。
まずは銀行(らしき所)に入り、両替ができるか英語で聞いてみる。
しかし、
「ここではできません。」
というような事(多分)を、当然フランス語で言われてしまった。
英国ポンドでもだめだと。すぐお向かいの国なのにね。
あぁ、きっとココは“なんたら信用金庫”とかなんだろなぁと思い、ヒトマズ退散。
しかし、ここでの私らの考えはアマかった。
韓国だったらほとんどの金融機関(地方銀行とかでも)で米ドル、日本円、
英国ポンド、ユーロ、中国元などが両替できるので、その感覚でいた。
しかし、次の銀行(らしき所)でも断られた。
え~?このカンバン、パリ市内でもよく見かけたのに。
都市銀行とか、大手の銀行じゃないの?
「ここって、銀行ですよね?」という、大変おマヌケな質問をしてしまった。
「あったり前でしょう」と、ムッとする行員のおやじ。
その態度はすでに、“しっしっ!”とイワンばかりであった。
客の中に、英語を話す(意志を持っている)人が一人いた。
その人いわく、「外貨の両替なんて、市内に行かないとダメ」なんだとか。
へっ!?イギリスはすぐお向かいの国ですよ?お隣スイスフランもダメ?
基軸通貨の米ドルだったとしてもダメ?じゃ、日本円は?
→ダメらしい。
どうやら、通貨統合してからのフランスは、ますます自信過剰ギミらしい。
(ドイツマルクのおかげのクセに…。)
仕方がないので、外のATMで
「カードがこのまま戻ってこんかったらどーしょー」
とビクビクしながら(しかも標示はすべてフランス語)、最少額の20ユーロほどキャッシングした。
後日ネットで確認したら、手数料58円とられていた。ちっ。
■ あんてぃー!
その日の夕食後、家族みんなで近くの(と言っても車で15分くらい)
カルフールという巨大ショッピングセンターに行った。
いやー、デカいよ。段原のサティを横に10倍広げたくらいか?
時間が遅いので、専門店のショッピングモールはもう閉まっていたけど、
スーパーマーケットの部門はまだやっていた。
棚と棚との間隔がものすごく広いし、1品目あたりの種類と商品数が
やたらと多い。商品自体もこれまたデカい。
映画とかで見る“外国のス~パ~”って感じ。
巨大なショッピングカートに、甥っ子と姪っ子を放り込んで…
と、思ったら、甥っ子は自力で脱出。
そして、ナント、私の手を握ってくるじゃ、ありませんか。
ふははははは。
見たか、KAORUアンティー(おばちゃん)の魅力を。
ついにコトバの壁を越えて、甥っ子を飼いなら…、じゃない、攻略したぞ。
さぁ、どーするよ。AWAISおじちゃんよ。
KAORUおばちゃんはネ、おじちゃんとパパとママが英語(甥っ子にとっては
外国語)で何か大事なおハナシしている間、さらにわけのわかんない
コトバ(日本語)でおウタを歌ってくれたんだゾ。
『っよさくは木ィを切るぅ~♪』って。
(↑なんで、よりによって“与作”なんでしょうか?)
それに、愛と勇気しか友達がいない孤独のヒーローを描いてくれたし。
(あっ、あっ、アンパンマ~ン、みィ~んな~のなっかぁまっ。
あ・い・と、ゆぅーきだけぇ(!)がとぉもだっちさ~♪)
どうやら捨て身のギャグが、ガキにはウケたらしい。
■ 忙しい朝
翌朝も、早起きした。
今日こそ甥っ子を幼稚園に連れて行くのだ。
しかし、彼氏は今日もお寝坊サン。まだ時差ボケ?
それとも、昨日の夜もオトナ4人で“インドの高倉健”の続き(あのあとは
息子やヨメとの葛藤などがあり、橋田壽賀子ドラマっぽくなった)を見ながら
“耐久レース”をしてしまったから?
それでも、無理やりたたき起こす。
出かける前に
「幼稚園の先生にこのファイルを渡して、出席簿に○して、カバンを名前が
書いてある所に置いて、ジャケットと手袋を脱がせて…」
と、お兄さんから説明を受けた。
さあ出発。
甥っ子はいつもはパパにお車で幼稚園まで送ってもらうのだが、今日は
おじちゃん・おばちゃんとお手々つないでランランランである。
今日もアンティーの手を握ってきて、ういィヤツである。ふはは。
幼稚園についた。
先生にファイルを渡す。
あれ?でも、昨日の先生と違う。
いやぁー、今日は「ジャポンのZENのココロについて教えて」
とかって聞かれたらどうしようとドキドキしてたのに。ちぇっ。
それにつけても、幼稚園に着いてからの甥っ子は愛想がない。
もう教室の中まっしぐら。
私が呼んでも返事しない。
そんなにお友達とが楽しいのかよ。
と、アンティーは少しはぶてる。
帰る前に、他のクラスの教室ものぞく。
年長さんになると、お絵かき一つ見ても、表現力が大きく向上している。
しゃべっている言葉もなんだか長くて、言葉のキャッチボールっぽい。
きっと、あの子も次に会う時にはこうなってるんだろうなぁと思う。
まぁ、そんな感じで“2004年2月13日”は幕開けた。
《お次は何?ぱーと9へ続く》