2004年02月29日
■ 食卓の風景
お兄さんと彼氏が戻ってきて、楽しい夕食がはじまった。
メインディッシュはひき肉と豆のカレー。
おいっしいよぉ~。
しかし、チャパティを手でちぎって適度な量のカレーをつけて食べるという
“素手のマナー”が私は苦手である。
ちぎったチャパティがデカすぎて口からはみ出しそうになったり、
つけたカレーが多すぎて手がベタベタになったりで、まるで“幼児”。
それに引きかえ、兄嫁さんは、とっても優雅に食べる。
ま、この人はあらゆる所作がみんな優美なんだけどサ。
ウエストだって、めちゃくちゃ細いし。
(誰だ、パキスタンの女は結婚するとみんな太ると言ったヤツは?)
↓コイツで~す
食事をしながら、隣に座っていた彼氏にチャパティ作りに失敗した件を
お兄さんにはわからんように韓国語でこっそりと言う。
しかし、ヤツはそれを即座にお兄さんにチクってしまった。
ウケながら、お兄さんは
「お前ら、普段は何食ってるんだ?」と、ツッコミを入れてきた。
その横でクスりんと笑う、兄嫁さん。
あ、いや、そりゃ日本料理っスよ。
日本の主食は“steamed rice” でしてェ。
それに、チャパティの担当はコイツ(隣)なんっスよぉ~。
(お前もちゃんとフォロー入れやがれ!)
■ ところで例のブツは?
食事がおわったところで、“おみやげお披露目会”をはじめた。
甥っ子・姪っ子には靴下。
お兄さん・兄嫁さんにはマフラー。
そして、ドイツの叔父さん用に準備していたポロシャツを、お兄さんに
ということにして渡す。
もらった靴下を両手に握って、きゃいきゃい走りまわる甥っ子と姪っ子。
とにもかくにも、喜んでもらってやれやれ。
ところでド・イ・ツといえば…。
イースト・ロンドンのおじさんから預かった、例のカワイクない人形!?
お兄さんに、巨大なボストンバッグの経緯を説明しはじめる弟。
中から一体を取り出してみるお兄さん。
「兄貴の店で売ってみたら?」と弟は提案してみるも、お兄さんはそれを
無言のままカバンの中にもどしてしまった。
(フランスじゃ、絶対に売れんって)
それ以来、例のカバンはお兄さんちのリビングの隅っこに放置された。
きっとまた2年後くらいにドイツに渡るであろう。
■ …モジャ?
その後、フルーツなどをつまみながら、お兄さんたちの結婚式の写真を
見せてもらった。
4年前にパキスタンでされたそうだけど、その時、彼氏はスコットランドかどっかイギリスの田舎にいたらしく、仕事で出席できなかったらしい。
他にも外国にいる親戚とかは出席できなかった人が多かったらしい。
それでも、親類縁者のみなの衆がワラワラと写っている。
何でもパキスタンの結婚式というのは、新郎側の家で1晩やって、次の日は新婦側の家、その次の日はまた新郎の家、そのまた次の日は新婦の家と、4日4晩、華燭の宴を連チャンでやるらしい。
ふへー。
赤い花嫁衣裳に身を包み、キンキラキン(=ゴールド)のアクセサリーを
全身に纏った兄嫁さんは、とってもキレイだった。
しかし、もっと圧巻だったのは、お兄さん。
紙切れで作った全身蓑みたいなのを着ている。
よく見れば、それは全部お札。マネーだよ。マネー。
もうオヒネリや万札のレイなんて目じゃないよ。
全身ミノムシのようになっている。
て言うか、まるでお札でつくった白い“バーバ=モジャ”。
(もしかして、アメリカのドル札?)
杉良さまもビックリ。
はあぁ~。うっとり…。
■ オ・ト・ナの時間
夜もどっぷり更けてきたので、子供たちはもうオネムの時間。
甥っ子・姪っ子を寝かしつけて、あとは大人同士で語り合いましょうや。
(しかし、そこで酒が出てこないのが、やはりイスラム教徒)
そうして、“DVD鑑賞会”がはじまる。
鑑賞したのは「なんたらかんたら」というインド映画。
兄嫁さんの趣味らしい。
主人公を演じるのは、インドの国民的俳優。
ふ~ん。インドの高倉健ねぇ。
映画では、そのインドの高倉健の誕生パーティで、家族や召使いたちに
囲まれ、歌えや踊れの図が展開される。
…あのー、なんでインド映画って、みんな『踊るマハラジャ』なんですか?
映画はそれなりに面白いのだが、何せイギリスからの長旅で疲労が…。
どんどこど~んと、まぶたが重くなってくる。
インドの高倉健が踊りながら歌う歌が、子守唄のように聞こえてきた。
しかし、実はここにいる4人、みんな今日一日の労働で疲れている。
(私一人、何も貢献できていないのだが…)
特に、お兄さんは朝早くからお迎えに来てくれたりしたし。
とばされるジョークの冴えもだんだん鈍り、会話も少なくなってくる。
しかし、久しぶりの家族の再会だし、次にこうやって集まるのも何年後に
なるやらわからない。
誰かが「そろそろ寝ようよ」と言い出すのを待っているが、自分からは
言いたくないという状態が続く。
この貴重な時間が、なんだか“耐久レース”の様相を呈してきた。
ところが、クロコダイルのぬいぐるみを枕にしていたお兄さんが、最初に
うたた寝をはじめた。
それを目ざとくチェックした彼氏が
「兄貴も疲れてるみたいだし、そろそろ寝ようか」
と自分のコトは棚に上げて提案。
こうして“インドの高倉健”鑑賞会はオヒラキになった。
そして「お前ら、この部屋で寝ろ」と案内されたのは、お兄さん夫婦が
普段つかっているベッドルームであった。
え、マズいっスよ。こんな部屋を使わせてもらっちゃあ。
私ら、リビングのソファーでも、台所のすみっこ(こんなトコに寝られたら
かえって迷惑)でも構わんのに。
「いーから、使え」と、子供部屋に消えていくお兄さん夫婦。
突然なだれ込んできた弟夫婦(?)は、このようにお兄さんたちから
アツイおもてなしを受けたのでした。
《ついに長期シリーズ化?ぱーと7へ続く》