2004年02月27日
■ ここはおフランス?
座席は狭いし、リクライニングはできない。
全席禁煙のハズなのに、バスの中はタバコ臭い。
トイレのドアを誰かが開けると、バス中にトイレのにおいが充満する。
深夜に入国審査官が乗り込んできて、パスポートをチェックされた。
などと、不満タラタラの長距離バスでしたが、翌朝、起きてみると
おフランスらしき高速道路を走っていたのでした。
そしてほぼ時間通りの、おフランス時間で朝の6時40分くらいに
ターミナルらしきところに到着しました。
わらわらとバスを降りる人々。
その表情にはみな疲労が浮かんでいる。
われわれも荷物を取って、さぁ、出発だ。
ところで、お兄さんどこかな?
あれ?
……………ここはどこ?
お兄さんに電話で聞いたターミナル名は
『ぽすふぁばのーれ』(←彼氏が電話で聞いた限りでは)
だったが、それらしき表記はどこにもない。
ターミナルの表記は、もちろん100%フランス語オンリーだけど、
『ぽすふぇべのーれ』と読めそうな表記はドコにも見当たらんゾ。
ここはどこだ?
チケットを間違って買ったのか?と不安になり、チケットを確認するが、
そこには【ロンドン-パリ】としか書かれていない。
乗ってきたバスの運転手に聞こうとするも、すでにいない。
見渡せば、他の乗客たちも“ここはどこ?”状態でさまよっている。
下の階に下りて係員に聞いてみると、何とそこは
“G”ではじまるターミナル(発音はよく聞き取れんかった)だった。
一応、パリ市内らしいけど、なんで違う場所に降ろすのん?
『ぽすかんたーれ』と全然違うやん。
同じバスに乗っていた韓国人の女の子2人組に、韓国語で
「ここって一体、どこなんですか?」と聞いてみた。
すると、彼女たちの第一声は
「あ、韓国の方ですか?」だった。
心の中でガッツポーズをきめながら、
「いやぁー。日本人ですけどォ、韓国に留学中なんスよ。」
と、ニタつく私。(←完全にアヤしい)
ついに韓国人に間違われるほど、韓国語が上達したか。
結局、彼女たちも、チケットを買ったときに想定していた場所とは
違うターミナルらしい。
そして、ここがどこだかもわからないとのこと。
でもま、地下鉄の駅がすぐ外にあるので、そこから移動するとのこと。
がんばってね。幸運を祈る!
■ 同郷のよしみ?
いずれにしても、『ぽすたふぁおーれ』で待ちぼうけをくってるハズの
お兄さんに連絡を取らなければならない。
しかし、フランスのテレカはおろか、ユーロも持っていない私たち。
(ロンドンで両替しておけばよかったんですけどね。忘れてました。)
自分たちの無計画性は横においといて、
「とっととユーロを導入しやがれ、このジョンブル野郎がぁ!」
と、ドーバー海峡に向かって叫びたい心境だったが、海がどっちの方向に
あるのかもわからん。
そんなところに、彼氏が濃い顔の男性に英語で話しかけている。
「あのぉー、もしかして、パキスタンの方ですか?」
その後、うちとけてウルドゥー(パキスタン語)で事情を話し始める。
そして、その人は親切にもテレカを使わせてくれた。
ようやっと、お兄さんの携帯に連絡がとれた。
この時、すでに時間は7時半をまわっている。
今からそっちに向かうが、この時間帯は渋滞しているので、1時間くらい
かかるかも、とのことだった。
お兄さぁ~ん。早く来てぇ~。
■ 同じ空気を…
1時間も待たなければならないが、他にもすることが残っていた。
それは、ドイツへの道を探ることである。
インフォメーションがあったので、そこの金髪おねーちゃんに聞いてみる。
しかし、そのねーちゃんの返事は、かったりそーに
「料金のことは、あっちのチケット売り場で聞いて」だった。
「いや、チケットを買うのではなく、ただ値段を聞きたいだけで…」
とケンキョに食い下がっても、
「あっち!」(と言ったかどうかはフランス語だったのでわからんが)
という態度だった。
いったい、何のためのインフォメーション窓口やねん!
しぶしぶチケット売り場に並び、そこで聞いたドイツ(キール)への
往復チケットの値段は、129ユーロだった。
ひゃくにじゅうきゅうユーロ………。
え~っと、1ユーロが135円くらいか?
即座に計算できんけど、1万5千円くらい?
ロンドン-パリが55ポンド(約1万千円)だったから、陸続きのドイツ
だったら8千円くらいかなと、勝手に予想してたのにィ。
しかも、空席がある日はどれも中途半端。
ドイツにタッチしたら、その日に戻るとか、今日の夜にフランス発とか
ろくでもないのしかない。
ここからだったら周遊券が買えるらしいが、今さらねェ。
どうやら“EUのはみだしモン”国家イギリスをヨーロッパ旅行の起点に
したのが、そもそもの間違いだったようだ。
(彼氏的には、自分の住んでたトコをまっ先に見せたかったらしいが)
くくく…。
ここで、ドイツ行きを断念する。
彼氏のお父さんが亡くなられてからは、ドイツの叔父さんが保護者、
そしてフランスのお兄さんがプチ保護者のようなもんだから、ゼヒ
お会いしたかったのに。
そして、カーン様と同じ空気が吸いたかったのにィ。
(↑実は、これがホントの目的だったのか…?)
■ パリの中国人
そうして約1時間後、お兄さんが現れる。
お兄さん、オハツにお目にかかります。
実は、写真ではお目にかかったことあるんですけどね。
ヒゲがない分、弟よりも若く見えますね。
あ、わたくし、日出る国からやって参りました。
などと日本語では挨拶の言葉(?)が頭の中をかけめぐるが、
英語、その他の言語では何と言っていいかわからず、ただただ
笑って握手してゴマカス。
久々の再会に、ウルドゥーで何やら盛り上がる兄と弟。
まぁ、何はともあれ車に乗れやということになったが、外は大渋滞で
ちっとも車は進まず。
そこで、郊外で雑貨商を営むお兄さんが
「道はこの状態だから、ちょっと商品仕入れにいってもいい?」
と聞いてきた。
あ、もちろんっスよ。
こちらイソウロウになる身ですから、何も遠慮なさらずに、召使いの
ように、コキ使っていただいても結構ですから。
と、後半部分はテレパシーで送っておく。
そして到着したのは、卸売りの店が建ち並ぶ一区画。
それらの店を経営しているのは、みんな中国人だった。
まるでチャイナ・タウンのよう。
はわー、中国人はフランスにまで来て“MADE IN CHINA”を
売りまくっているわけかー。すげー。
と、感服してしまった。
しかし、お兄さんと中国商人が
「これを、この値段でどうだ?」
「ムッシュ~、勘弁して下さいよ。これじゃ原価割れっスよ。」
「原価がこんなに高いわけないだろ。」
などと、フランス語で交渉している図は、“ここは一体どこの国?”感が
タダよっていたぞ。
(注;私はおフランス語がまったくできないので、訳は勘です)
と、まぁこんな調子で、フランスの第一日目が始まった。
《このペースで大丈夫か?ぱーと5へ続く》