■ ムカデの群れ
関西国際空港を出発した後、飛行機の下は延々とシベリアの荒野が
続いており、することもなくツマラン。
あいにく、新聞は休刊日だったため、読むもんもない。
仕方が無いので、飲む、食う、寝る、トイレ、をくりかえしていた。
約12時間後、ようやく英国と思われる島が見えてくる。
おっすげェ。ずーっとむこぉ~まで、平野が広がっている。
山地ばかりの日本や韓国にはこんな広い平野部はないよな。
はるばるヨーロッパまでやって来たゼ。
隣で彼氏が「キレイだろ」と自慢する。
(別にオマエのじゃないだろ)
しかし、飛行機の高度が下がるとともに見えてきたのは、家々の集落だった。
レンガ色の家が整然と並んでいない(うねってる)その様子は、まさしく
“ムカデの群れ”だった。なんだか、グロいぞ。
着陸後、バスに乗ってみてわかったけど、ロンドンの街は道が狭い。
片道2車線の道が多い。(メイン・ストリートなのに)
しかも、うねりまくっている。
こんな道に沿ってレンガの家が建ち並んでるからムカデの群れに見えたのね。
信号は多いし、年寄り、子供も多い。
こんな道路を“イラち”の韓国人が運転したら発狂するんじゃないのか?
それにしても、あんまり渋滞していないのが不思議だ。
■ ローテク空港
とにもかくにもヒースロー空港に着いたさ。
しかし………、
いま到着した客と、これから出発する客が、同じゲートにいるのはなぜ?
「動く歩道」が故障したまま「動かない歩道」になっているのはなぜ?
“NO ENTRY”と上に(ちっちゃく)表記しているわりには、ドア開けっ放して
“どうぞお入りください”状態になった所があるのはなぜ?
こんな疑問を抱くヒマもなく、
彼氏に「コッチ、コッチ」と連れて行かれるまま、ついて行った。
空港の建物は、継ぎ足ししまくったみたいで、まるで迷路のよう。
(彼氏がおらんかったら、迷ってたかも)
天井は低いし、めちゃくちゃボロい。
それに比べてアジアの空港はなんてキレイなんだ。
広島バスセンターの方が立派だよ。
そして入国審査へ
そこでは、なんと、一人ずつではなく、グループごとに入国審査していた。
家族で来た人は家族単位。
えっ、一人ずつじゃなくてもいいの?
さらに係官が
「滞在目的は?」だの「滞在日数は?」だの「職業は?」だの
「どこに泊まるの?」だのいちいち聞いてくる。
隣のブースでは、バックパッカーを気取った日本人がバカ正直に
「6ヶ月滞在」だの「無職」だの答えたために質問攻めにあっている。
(ザマーみろ)
でまかせでも「さいとしーいんぐ」とでも答えておけばいいのに。
それにしても、
旅行用会話集などに必ず載ってるけど、今までそんな質問されたこと
なかったので、必要ないと思ってたのに、ここではちゃんと聞いてくれるのね。
(でんも、答えたのはほとんど彼氏だけどさ)
日本でも韓国でも、機械でピっとやって、キーボードカタカタで、無言で
スタンプぽんなのに、ここでは“ピっ”も“カタカタ”もない。
そして、ポンしてもらったスタンプはいいかげんに押されたため、
どこの入管だか読めない。
日本人だから6ヶ月有効のハズだけど、いつまで有効かも見えない。
『イミ…(グレーションだろうなぁ)…(これが一番重要なのに)ヶ月』
『ヒー………(スロー空港でしょうね)…』
なんか、不法滞在しても、
「だっていつまで有効なのかわからなかったんですぅ」
と、すっトボけたら許されそうなイキオイである。
■ 超節約型英国交通利用法
さぁ、外に出たからには、今度はロンドン市内に行かなくてはならない。
しかーし、私たちは英国ポンドをもっていなかったのでありました。
彼氏が英国ポンドを韓国の銀行口座に外貨預金していたんだけど、
何度も言うようですが、出発前日(土曜日)に決定した旅行ですから、
それを引き出す時間もなかったのでございます。
で、私がたまたま学費用に準備していた日本円10万円が、
今回の旅行費用となったのです。(航空券はカードで購入)
でも、空港の両替はレートがよくないということで、とりあえず2千円だけ
(セコい)両替して、バスパスを買いました。
このバスパスとは、2ポンド50ペンス(500円くらい)で、1日中バスに
乗り放題というスグレもの。
地下鉄でロンドン市内まで行けば割高ですが、このバスパスで5回くらい
乗り換えて市内まで到達しました。
距離的に言えば、広島空港から広島市内くらいでしょうか。
それを乗り換え、乗換えで移動して行ったのです。
ところで、ロンドンのバスと言えば、アレですよ。
赤くて2階建てのアレ。
写真で見たまんまやー、と思っていたら、運転しているのは頭にターバンを
巻いたシーク教徒だったりして、ちょっぴりシュールだった。
その後、さらにイースト・ロンドンへとまたまた乗り換えまくり。
(距離的には広島市から東広島市くらいか?)
バスに乗ってるお客さんも、ロンドン市内から東へ行けば行くほど
白人率(?)が下がり、アフリカ系、アラブ系、アジア系の
比率が上がっていった。イギリスも移民の国なんだねぇ。
■ イースト・ロンドン
そうこうして、最初の目的地、イースト・ロンドンに着きました。
時間はもう夜の9時を過ぎていた。
そこは、ホントにイギリスか?というくらい、白人がいない。
立ち並ぶ店もアジア系、アラブ系ばっかり。
看板も「何語?」というのばっかり。
さて、何よりもまずはお宿(と言っても彼氏の知り合いの家)に
行かなければなりません。
ここで、「あれ?彼氏の実家じゃないの?」
と、お思いの方いらっしゃいます?
実は、彼氏のお父さんは、去年の6月に亡くなられて、お母さんは今
パキスタンにおられるのです。だから、ロンドンでは家なき子。
ウェールズに叔母さんがいるらしいけど、遠いし。
まぁ、でも知り合いとかいっぱいいるから大丈夫と彼氏は言うが、
何せ、しつこく言うようですが、事前に何の準備もしていない旅行
なので、何も事前に連絡すらしていないのです。
そんな行き当たりばったりで大丈夫なのか?
と、私は心の中で不安になる………。
一軒目。
電気真っ暗。
人のいる気配ナシ。
ピンポンするも反応ナシ。(←当たり前だ)
気を取り直して二軒目。
二階に電気がついている。
ホッとしてピンポンするが反応ナシ。
そこらへんの小石を拾って二階の窓に投げる。
ようやく家の主人のおじさんが出てくる。
あぁ、ありがとうおじさん。
一瞬、仏様に見えたよ。
(でも、そのおじさんもイスラム教徒だからアッラーですか?)
おじさんは、何の前触れもなく突然やってきた客人に驚きながらも
(スミマセン、ホントに唐突に)快く2階の一部屋に泊めてくれた。
彼氏は隣のおじさんの部屋で積もる四方山話を延々としていたが、
私はシャワーを使ったあとは、疲れがドッと来て溶ろけるように
いつの間にか寝てしまった。
こうして、(イースト)ロンドンの一夜は過ぎてったのでした。
《すいーとはどこへ?ぱーと3へ続く》