あんにょ~ん。
果物屋でミカンを買って家で食べようとしたら、懐かしの冷凍ミカンになっていたりとか、牛乳買おうと思ってお店の冷蔵庫開けたら、外気より冷蔵庫の空気の方があったかかったりとかいう冬は終わり、春めいてまいりました。ソウル。
さて、韓国では去年から『野人時代』という戦前戦後のヤクザを主人公にしたドラマがめちゃくちゃ流行っていました。
どのくらい流行っていたかというと、ドラマが放映される月曜と火曜の夜は、街中の男たちが、残業も、接待も、お付き合いもそっちのけで家に速攻で帰ってしまって、飲食店が開店休業状態と言われるくらい。
しかし、なぜ「流行っていた」と過去形を使っているかというと、そのドラマが終わったわけではなく、人気と視聴率が落ちてきたからなのです。
去年の年末の忘年会シーズンとかでも、月火はシぃ~ンと静まりかえっていたのに、最近は、月火の夜に出かけても、街はいつも通りにぎわっております。
インターネットやテレビの広告でも、そのドラマをパロったのが多かったのに、最近はちっとも見なくなってしまいました。
かく言う私も、以前はそのドラマが始まる夜の10時までには、何があっても家に帰っていたのに、最近は忙しさにかまけて、ちっとも見ておりません。
では、なぜにそのドラマが面白くなくなってしまったのでしょう?
主人公役の俳優が、青年期から壮年期に入って交代したというのもあるけれども、なんといっても、ドラマの時代背景が、ガラっと変わってしまいました。
人気があったころは、日本の植民地時代。
最初は近所のチンピラ相手だったのに、組織がガンガンおっきくなって、しまいにゃー日本のやくざ(でも演じてるのは韓国人俳優)とライバルになったりして。
私が日本語の勉強会に通ってるチョンノ警察署も、ドラマの中で一役(?)買ってて、日本人の刑事(やっぱり韓国人がやってるんだけどね)が主人公や韓国人を迫害しまくったりとか、ついに大日本帝国の憲兵まで出たりとか。
そーゆー悪徳日本人を相手に、主人公が大活躍しちゃうモンだから、韓国人のカタルシスがぶぁ~っとなっちゃってたんでしょうなぁ。人気があった理由は。私なんかは、韓国人俳優が演じるミョ~な日本人に大爆笑しとったんじゃけどね。(おっと失礼)
それで、今年の1月の中旬くらいに日本の敗戦シーンになって、今現在は朝鮮半島がイデオロギーで分断されて、朝鮮戦争に向かうまでの時代をやっとるんよ。1947年くらいかな?ま、最近あまり見とらんのんじゃけど。
で、主人公の幼なじみが共産主義に走ったりして、涙の別れとかあったけど、なんだか盛り上がりに欠ける。
なんでか?
主人公は、自分の父親(反日独立運動家だった)を殺したのは日本人ではなく、共産党員だったという秘密を知り、共産主義者と敵対するけど、なんか違う。悪の大日本帝国に、レジスタンスばりに対抗してた主人公が、そんな個人的な理由で共産主義を敵視しても、なんだかセコイ感じがするのは私だけではないハズ。
それに、アメリカとソ連によって、同じ民族同士が分断“され”て、戦わ“された”歴史がある韓国人にとって、この時代のドラマを見るのは、あまりにも痛いぞ。
現在の世界でも、「あー言やぁー、こーゆー」式に(そういう人が某宗教団体にもいましたね)、何が何でもっつーて、戦争が始まってしまいましたしの。
無理矢理、めちゃくちゃな戦争に突入した現実を見ながら、その次は、この半島で武器を握ら“され”て、また同じ民族同士で戦わ“される”のではという不安感と、どないしても戦争は始まってしもぉたんかいのぉという無力感がたちこめてます。最近の韓国。
じゃけぇ、やっぱりこのドラマ(と現在のニュース)を見ていると、「いつか来た道」と思わざるをえんのんよ。
あぁぁぁ~。
大日本帝国相手にドンパチやってた主人公はキラキラと輝いていたのに、最近の『野人時代』はなんだかツマランよ。
だって、撤退した日本軍からカッパらったダイナマイトで、学生とか労働者あがりの共産主義者たちをぶっ放すって、ちょっと野蛮じゃございませんこと?ま、主人公はヤクザだし、タイトルが『野人時代』だからイイんかもしれんけど、なんだか弱いもんイジメに見えてしまう。
以前は、主人公の最大のライバル、『ハヤシオヤブン』が出てきたら、キャーキャーゆって、彼氏からは「カーン選手はもういいの?」とツッコまれたもんですが。
で、そのハヤシの義妹の『ナミコ』さんに、日本人(役)のチンピラが
「カワエィーネー。サッケノミマショッヨー」
(韓国語字幕;噂通り美人だな。酒でも一杯どうだ?)
とカラんだ挙げ句、主人公にボコられたりして、夜も眠れんくらい笑わしてくれたのに。
主人公を子供時代からずっとイジメてきた『ミワ警部』も、日本の敗戦と共に、
「テンノーヘッカ、バンジャーイ。ダイッニッポンテーコック、バンジャーイ。」
(でもセリフは棒読み)
と言いながら、ピストル自殺しちゃったし。あぁ、惜しい人を亡くしました。
(おっと、日帝の末裔として不謹慎な発言ですね)
今ではアメリカ人の役をインド人(韓国ではちょっと有名な外タレ。日本のサンコンさんのような存在か?)がやってたり、明らかにお前の英語の発音はネイティブじゃないだろうという外人(ロシア人?)がやっているけども、私にとってはオモロクない。
まるでラオウが死んだ後の『北斗の拳』を見ているようじゃわい。
「巨星落つ…か。」by海のリハク
薫