2002年11月25日
あんにょ~ん。
今回はちょっとまじめに、来月おこなわれる大統領選挙についてレポートします。
いやぁ~、来月だというのに、ちっとも盛り上がってません。
ソウルの街の雰囲気。人々の気合。
まだ、今年の春先くらいは盛り上がっていたんですけどね。
W杯の熱気で、一気に吹き飛ばされてしまいました。
そういえば、W杯期間中に行われた統一地方選挙も、平日をわざわざ公休日にしてまで投票をよびかけたのに、投票率は40%代だったしなぁ。
都市部では30%代がほとんどだったとか。
若年層を中心とした政治離れって、万国共通なのね。
さて、大統領選挙。
韓国は大統領制で、大統領の任期は5年。1回限り。
昔、何年も大統領やってた独裁者がいたからこうなったのです。
それで今回の本命は、5年前の選挙で金大中さんと競り合って負けた李会昌(イフェチャン;67)氏だと言われております。
しかし、「カマキリ」のようなお顔のこの方、バリバリの保守派でございます。
このカマキリさんには息子が二人いるんですが、二人とも体重が48キロ以下で兵役を免除されました。一人は身長が170センチ代後半なのに、です。
「おまえの息子はアフリカの飢餓難民か」という、国際コードにひっかかりそうなツッコミを国民から入れられ、前回の大統領選挙で惜敗しました。
そう、韓国の成人男性は、みぃんな軍隊に行かなければならないのです。
しかも、その軍隊生活2年とちょっとの間、1ヶ月に1万ウォン(1000円)
という、近頃の小学生のお小遣いよりも少ない月給(?)で、地獄のような日々を送らなければならないのです。裕福でエリートなカマキリさんが、息子を軍隊に行かせないようにしたのは、当然の行為でしょう。
カマキリさんは最近、貧乏神のような前大統領(デパートがテロでもないのに崩れたり、北の国で偉大なあのお方が死んでしまったり、あげくの果てにはIMF危機を招いたり、任期中にろくなことがありませんでした)や、暗殺された独裁者の娘(と言ってもすでにオバハン。弟は麻薬中毒)と握手したりして、人気取りに必死です。
そんな、『大物がいなくなった』と言われつつある韓国の政界ですが、対抗馬がいないわけではありません。鄭夢準(チョンモンジュン;51)氏と盧武鉉(ノムヒョン;56)氏二人が有力な対抗馬です。
鄭夢準氏は、現代財閥の創始者の六男。「おぼっちゃま」です。
W杯の組織委員長で、韓国代表チームがW杯で勝ち進むとともに、人気も急上昇。
でも、熱しやすく冷めやすい国民性のためか、もともと無所属の国会議員で、政治的バックグラウンドがないためか、最近は人気低迷気味。
このおぼっちゃまと対照的なのが盧武鉉氏。
おウチが貧乏で、高卒だけど独学で司法試験に合格した庶民派。
近所の「おっちゃん」のような威圧感のない風貌で、一時はブームを巻き起こしました。しかし、現政権と近い位置にいるだけあって、金大中大統領の息子のスキャンダル以降、やっぱり人気低迷。
そんな「おぼっちゃま」と「おっちゃん」が、『カマキリさんにだけは負けられないゾ!』と、今回、くっついてしまいました。
要するに、二人とも大統領選挙に出たら、票の取り合いになって相討ちしちゃうから、ここはどっちかが辞退しようというのです。
二人でTV公開討論したあとに世論調査して、勝った方が大統領候補になるという、日本の密室政治からは考えられない単純な方法で、一本化が決まりました。
前評判では「おぼっちゃま有利」でした。
私から見ても、おっちゃんは話し上手とは言い難く、やっぱりおぼっちゃまに決まっちゃうのかなぁと、なんとなく思っておりました。
しかし、討論でテーマが教育問題になると、おっちゃんは、
「私は、高校しか卒業していませんが…」
経済格差がテーマになると、
「私は、貧乏な農家のセガレですが…」
老人問題になると
「私のイナカの両親は…」
などと、自分のバックグラウンドを前置きしてから話しはじめるので、めちゃくちゃ話に説得力があるのです。
それに比べ、おぼっちゃまは時間オーバーしながら必死にしゃべるものの「所詮、アンタはおぼっちゃまでしょうが」と、ツッコまれれば吹き飛んでしまうような軽さが漂っていたのです。
結局、世論調査の結果、おっちゃんが統一候補に選ばれました。
敗れたおぼっちゃまも、これからはおっちゃんのために協力することを表明。
しかし、もともと政治理念も政策も生まれも育ちも違う二人なのに、ホントに協力してやっていけるんでしょうか?
さてさて、本番の選挙は12月19日。どうなりますやら。
私個人としては、日本と未来思考のお付き合いができる人に大統領になってほしいものです。
薫