[靖国キャンペーン]東アジアだけの問題ではない
靖国神社参拝を批判する米議会、コーネル大でシンポジウムも開催予定
▣ ギル・ユニョン記者
靖国神社は東アジアだけの問題なのか?死者を参拝する文化的違いのために遅れはしたが、アメリカなどの欧米社会でも、靖国神社の持つ退行的歴史認識に対する批判が起きている。キム・ウンシク靖国反対共同行動・韓国委員会事務局長は、「小泉首相が靖国神社に参拝したが、“参拝”を英語で表現すれば“visit”と訳すしかない」と語った。“参拝”や“強制合祀”などの含意を、“visit”という中立的な表現の中に込めることは不可能に近く、それだけに靖国神社は欧米人たちにとって難しく、近寄りがたい主題だった。
△2006年8月、東京に集まった靖国反対共同行動の関係者たちがこれからの闘争方法をめぐって記者会見を開いている。(写真/ハンギョレ=キム・ジョンヒョ記者)
しかし、状況は変わっている。注目するに値する最初の動きは2005年に現れた。2005年12月、国際危機監視機構は靖国神社に代替する第三の追悼施設をつくり、神社をめぐる葛藤を解決しなければならないとの意見を出した。
翌年の2006年9月14日、米下院の国際関係委員会では、靖国神社と遊就館の持つ歴史認識に対するより痛烈な批判が行われた。ヘンリー・ハイド国際関係委員長は、「日本はほぼすべての周辺国家と未清算のイシューを抱えており、アメリカの同盟国としてイギリスと同じような重要な役割を担当することは困難だ」と指摘した。「東京の遊就館が、日本の若い世代にアジアでの第二次世界大戦はアジア、太平洋の諸民族を欧米の帝国主義支配から解放させるために始めたと教えていることが問題にならないはずがない。私は韓国、フィリピン、シンガポール、ソロモン諸島を訪れ、人々と悲惨な記憶について話し合ったが、日本の皇軍が解放者だったという者はただ一人としていなかった。この博物館で教えている歴史は事実に基づいておらず、これをまず正さなければならない」
カリフォルニア州を選挙区とするラントス議員も似たような発言をした。彼は「日本の首相が靖国神社参拝を強行したことは、日本の“記憶喪失”を示すとんでもない事例」だと釘を刺した。「A級戦犯が合祀されている靖国神社を参拝することは、(ヒトラーの右腕だった)ヘルマン・ゲーリングや(アウシュビッツ収容所の所長だった)ルドルフ・フェルディナント・ヘースの墓前に花を捧げるようなものだ。新しい日本の首相にしてほしくないことは非常に単純だ。戦犯に弔意を示すことは倫理的破産行為であり、日本のような大国がするだけの価値があることではない」ソ・ウヨン民族問題研究所企画室長は、「7月30日の米下院“慰安婦決議案”もその延長線上で見なければならない」と語った。
靖国神社に対する欧米人の理解をさらに深化させる方法はないだろうか?靖国神社問題を解決するために韓国、台湾、沖縄の人々が集まって結成した靖国反対共同行動は、今年の11月8日に米ニューヨークのコロンビア大学で「人権・文明・平和の目で靖国神社を見る」という主題でシンポジウムを開くことになった。討論会の席でマーク・セルドン米コーネル大学教授は「米軍占領統治下での靖国神社」問題を、同校のソ・ジェジョン教授は「靖国神社の戦争博物館、遊就館に見られる反米主義に関する研究」を発表する。靖国神社に強制合祀された韓国人遺族たちが、日本政府と靖国神社を相手取って起こした訴訟を率いている内田雅敏弁護士は、「靖国神社をめぐる法的争点」を欧米人に紹介する予定だ。
ハンギョレ21 / 2007年09月06日 第676号