「結局、追い出されるのか」ウトロの眠れない夜
強制徴用村“ウトロ”、明日売買時限

京都府宇治市伊勢田町ウトロ51番地。日帝時代に軍の飛行場建設に強制動員された朝鮮人65世帯203人が66年間、暮らしてきた。これらの同胞たちは、差別と貧困の中で帰化を拒否しながら守ってきた“植民史の象徴”ウトロ地区が消える瞬間に立っている。土地の所有者である西日本殖産が定めた土地売買時限が、残すところわずか一日となったためだ。韓国の市民が力を合わせて土地購入資金を5億ウォン(約6130万円)以上集めたが、土地所有者が求める金額には遠く及ばない。
故郷の慶州(キョンジュ)を離れ、ここで暮らしているキム・スエ(88)さんは「土地所有者が無理やり出て行けというのなら、私はもう死ぬしかない。あとどれだけ生きられることか。まったくどうしていいのかわからない」とため息をついた。この地域に一番長く住んでいるムン・グァンジャ(87)さんは「この20年間、強制退去問題で一日一日を不安におびえながら暮らしてきた」と回想し、飛行場建設の際に動員されて亡くなった夫のイ・スンギルさんの写真を呆然と眺めた。
ウトロ/キム・ボンギュ記者(ハンギョレ新聞 2007年8月30日)