さて、
韓国の死刑制度はどうなっているんだろう?シリーズの最終回です。って、実はこのシリーズ、下記の通り他のブログからのリレーなんですけれどもね。
第1回「
とりあえず」
第2回「
お玉おばさんでもわかる政治のお話」
第3回「
とむ丸の夢」
第4回「
華氏451度」
第5回「
doll and peace」
第6回「
薫のハムニダ日記」
第7回「
とりあえず」(村野瀬玲奈)――リレーエントリのまとめ
第8回「
喜八ログ」――バダンテールの演説について
こっちに話題を振られたときは正直、アセりましたね。私はたまたま韓国に住んでいるわけですが、振ってきた方は明らかに韓国の死刑制度に関する話題を期待している。「韓国についてあれこれ知っているわけでもないのに、私が韓国の死刑制度について語らなければならんのかー!?」と。
あわててアレコレ調べてみましたが、身の丈以上のことはできませんでした。はい。他の方々は早々にまとめをされていますが、私なんか今日まで引きずってしまいましたし。でもこのテーマはたいへん勉強になりました。今は北朝鮮情勢などで死刑制度の議論などふっとんでしまいましたが、今後もこのテーマに注目していきたいと思います。
さて、大変遅くなってしまいましたが、こちらは2004年12月にユ・インテ議員を中心とした175人の国会議員が提出した「死刑廃止に関する特別法案」です。国民世論に受け入れられやすいように暫定的に終身刑の導入がはかられていますが、この法案に続いて2005年2月に提出された「検討報告書」によると、将来的に相対的終身刑へ変更することに含みを持たせています。
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死刑廃止に関する特別法案
(ユ・インテ議員代表発議)
発議年月日: 2004. 12. 9.
発議者: ユ・インテ議員(以下略/計175人)
提案理由
わが国の憲法第10条は「人間としての尊厳と価値」を明らかに宣言しており、このような人間としての尊厳と価値は生命権を前提としている。また、人間の生命は人間実存の根拠であるため、絶対的な価値を持っており、したがって他の目的のための手段になってもならず、他の価値との比較対象になってもならない。
それにもかかわらず国家が犯罪予防と鎮圧の手段として死刑制度を維持することは、国家社会の構成員である人間としての尊厳と価値を毀損するだけでなく、人間の存在自体を根本的に否定する結果になる。また、国家が生命の絶対的価値を前提として殺人行為を犯罪としていながら、一方では犯人の生命を剥奪することは、それ自体が矛盾である。
今日、刑罰の目的が犯罪人の改善と更正によって社会復帰を図ることだとすれば、死刑はこのような目的にまったく符合しない刑罰であるばかりでなく、たとえ刑罰の目的が応報と犯罪の予防だとしても生命を剥奪する刑罰である死刑はこのような目的達成に必要な程度を超えたものであり、目的の正当性、その手段としての適正性、被害の最少性、法益の均衡性などの諸原則に反する「残酷で非人道的な刑罰」だとの非難を免れることはできない。
また、死刑が犯罪者に対する一般予防的効果もないということは、今までの行刑経験や今日の犯罪的状況が鮮明にしており、世界的な趨勢も死刑制度自体を廃止する傾向にある。
従って、このような反人権的で非人道的な刑罰だといえる死刑を廃止することで国民の人権を保護・尊重する刑罰体系を樹立し、人権伸張国家として生まれ変わろうとしているのだ。
主要内容
イ. 刑法およびそれ以外の法律で規定されている刑罰のうち、死刑を廃止してこれを終身刑に代替する(案第2条)。
ロ. この法における“終身刑”とは、死亡まで刑務所内に拘置し、仮釈放できない終身懲役と終身禁固をいう(案第3条)。
死刑廃止に関する特別法案
第1条(目的)この法律は国家刑罰から死刑を廃止することで人間としての尊厳と価値を尊重し、犯罪者の人権保護および更生を志向する国家刑罰体系を樹立することを目的とする。
第2条(死刑の終身刑代替)刑法およびその他の法律で規定している刑罰のうち死刑を廃止し、これを終身刑に代替する。
第3条(終身刑の定義と種類)①終身刑とは死亡時まで刑務所内に拘置し、刑法による仮釈放はできない刑を言う。
②終身刑は終身懲役と終身禁固に分類する。
付則
第1条(施行日)この法律は公布した日から施行する。
第2条(経過措置)この法律の施行前に死刑の確定判決を受け、その執行がなされていない者は終身刑の確定判決を受けたものと見なす。
第3条(他の法律の改正)①行刑法を次のように改正する。
第13章の題目「死刑の執行および死亡」を「死亡」とし、第13条および第57条をそれぞれ削除する。第63条の「未決収容者と死刑が確定した者が」を「未決収容者が」とする。
②軍事法院法を次のように改正する。
第506条から第512条をそれぞれ削除する。
③刑法を次のように改正する。
第66条を削除する。
④刑事訴訟法を次のように改正する。
第463条から第469条をそれぞれ削除する。
⑤軍行刑法を次のように改正する。
第3条、第11条および第54条をそれぞれ削除し、第13章の題目「死刑執行と死体処理」を「死体処理」とする。