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安倍首相の訪韓と歴史認識/李鍾元 安倍首相の韓国・中国訪問が電撃的に推進されている。水面下で交渉が進められてはいたが、予想よりも早い動きだ。発足したばかりの安倍政権は最初から大きな外交的成果をあげた。国民的人気は高いが指導力や実行力の不安という弱点を抱えていた安倍首相としては、行動力と手腕を遺憾なく誇示したわけだ。10月にすぐ補欠選挙がせまっており、来年から統一地方選挙、参議院選挙と政治の季節を迎える。国内政治の課題として目に見える成果をすぐに挙げられる展望が見えない安倍政権にとって、とても大きな“プレゼント”となった。問題は首脳会談再開に同意した韓国と中国が、果たして何を得て、その原則と実利はどこにあるのかという点だ。まずここに注目しなければならないだろう。 もっとも大きな障害だった靖国神社参拝問題が、どのように処理されるのかはまだ未知数だ。特に参拝中止を求めてきた中国の原則的立場がどのようになったのか、日中間にどのような“妥協”が成立したのか、さまざまな観測があるが、ふたを開けなければわからないことだ。 安倍首相は現在まで“曖昧性の戦略”で正面突破するという構えだ。参拝の事実を認めも否定もせず、曖昧な態度をとることで自らの信念と参拝推進派に基本的な配慮をすると同時に、外交的争点化を回避するという戦略だ。靖国問題ばかりでなく、理念的課題との関連でも曖昧な態度が目に付く。首相として初めて行った所信表明演説も、日ごろの国家主義、復古主義的な“所信”を隠したまま、抽象的な美辞麗句と妥協的な言葉に終始した無味乾燥な内容だった。安倍政権を維持するための最大の関門である来年7月の参議院選挙までは“安全運転”をするつもりのようだ。 “曖昧性の戦略”だけで靖国問題に外交的妥協をしようという動きが、韓国と中国政府にあるとすれば、これは正しい判断ではない。もちろん靖国問題を外交的争点にして首脳会談を中断するなどの劇薬処方は、韓国や中国にもさまざまな負担をもたらすことは事実だ。また、外部からの批判だけでは日本国内に“外圧”に対する単純な論理の反発を招いて問題の本質をぼかす側面もある。 しかし、これまでの外交的批判により、靖国神社が抱えている問題性が日本国内および国際的に認識されるようになったことは大きな成果だ。靖国に代わる追悼施設の建立など具体的な代案についても社会的関心と議論が広がってきた。安易な外交的妥協は、このような努力が水泡に帰す可能性も含んでいる。韓国や中国の外交における原則的な姿勢の一貫性という面でも、靖国問題については根本的な解決策を志向する方向性を明確にする必要がある。歴史問題を外交カードとして振りかざすことをことは望ましくないが、原則をおいそれと変えることも正しいとは言えない。 さらに大きな問題は、歴史問題に対する日本政府の基本文書である1995年の“村山談話”に対する安倍首相自身の認識が極めて曖昧模糊であり、事実上これを否認する言動が目立つということだ。「植民地支配と侵略に対する謝罪と反省」を明文化した村山談話は、冷戦終結後の新しい状況で日本がアジア各国と「未来志向の関係構築」を推進する土台だった。1998年の日韓パートナーシップ宣言もこれを基礎としたものだ。 日韓および日中間の首脳外交復活が、お互いの戦術的計算による便宜的レベルに左右される場合、日中韓の安定的な関係構築は期待しにくい。不透明な地域情勢の中で信頼構築のために最小限の歴史認識の土台を築く会談になることを期待しよう。 李鍾元 立教大学教授・国際政治