すみませ~ん。今日は本業が立て込んでてブログが更新できませ~ん。
と、思っていたら、イヴロ~ニュさんから翻訳が届いていました。感謝感謝です。
こちらはドイツの『フォーカス』という週刊誌の9月20日付の記事からです。イヴロ~ニュさんいわく「日本の同名誌よりもずっと高級らしい(^^;)」とのことです。さらにこの記事に関しては「在日ドイツ人の通信員が書いたようですが、景気と安保についてはやや認識不足があるものの、大した突っ込み方です。」との評価をされています。
では読んでみましょう。どうぞ。
《「日本版ブッシュ」が権力を握る》
『フォーカス』オンライン通信員:マルティン・ケーリンク
〔写真〕日本の首相・小泉が任期を終えた。安倍が後継となることになっている。
日本の右翼強硬派・安倍晋三が来週、伝説的改革者・小泉純一郎と交替して首相となる。
安倍晋三が腕を高く挙げると、ホールを埋めた人々が「万歳」と歓呼する--「末永く生きよ」という意味である。圧倒的多数により日本の与党・自由民主党(自民党)はこの現内閣官房長官を新しい総裁に選出した。投票数七〇三のうち安倍が獲得したのは四六四票である。これをもって九月二六日、安倍は弱冠五二歳で国会により小泉首相の後継に選出されるであろう。小泉は党規約に従い、五年半の任期を終えて政府と党の指導の座から退くのである。次いで、安倍がこの六五年間で最年少の首相となる。
安倍とは?
英国の「タイム」誌の先週号は、安倍晋三の人物像を問いかけた。新自由主義に立脚する強力な改革者か、短命な妥協する政治家か、それとも危険な国家主義者か? どうやら、そのどれもを少しずつ持ち合わせているというのが最も真実に近い答えのようである。
「安倍は小泉と同様、米大統領ジョージ・W・ブッシュのように新自由主義的政治経済理論を反動的な国家主義と結合させるニュー・ライトに属する。したがって、彼らを受け入れることは、改革のみならず、同時に国家主義的な外交政策を受け入れることでもある」中野晃一上智大学教授(政治学)談。
政治王朝の子孫
ブッシュと同様、安倍は古い政治王朝の出である。ブッシュの場合は父ブッシュが国をつかさどったが、安倍の場合それに相当するのは半世紀前の祖父・岸信介であった。そして、安倍の父・晋太郎は八〇年代に外相を務めたが、当時の首相候補ともみなされていた。
だが、カリスマ性のある父や祖父の重い遺産を引き継ぐためには、系図と贔屓だけでこと足りるであろうか? 小泉と比較すれば、安倍は青二才である。九三年にして始めて国会議員となって以来、これまでに安倍が就いた閣僚級の職は内閣官房長官のみである。したがって、安倍は自民党内に独自の派閥をほとんど持たない。
小泉の重い遺産
こうした重みの欠如は、安倍の改革の勢いにブレーキをかけ、それどころかひょっとすれば安倍を早期に失脚させるという不吉な予言もある。それは小泉がこの後継者に対して極端に高いハードルを設定していたためである。すなわち、小泉は在任中に日本を経済危機からほとんど戦後最長の好景気へと導いたのである。
だが、まさに安倍の就任とともに、景気が下降して党内の反改革派が勢力を得るおそれがある。同時に安倍は、小泉が丸投げした実に困難な国内問題の修復に着手する必要がある。すなわち、社会保障制度の改革と、消費税の引き上げによる赤字国家予算の立て直しである。
そして、外交政策について選挙者が安倍に期待するのは、戦争を賛美する靖国神社の参拝で小泉が破壊した中国・韓国との関係を再建することである。
安倍は何をするか?
安倍はその極端に幅広くかつ曖昧な公約の中で、あらゆる層に対して何がしかの約束をしている。ただし、具体的な方策や優先順位は示していない。安倍は、国内経済については「成長志向型政策」の実施を図っている。そこでは谷垣財務相のように増税の必要性を強調する代わりに、安倍は選挙戦術として国家の歳費節約を第一に置く。「他の経済問題では安倍氏が小泉氏の改革日程に従うことを期待する」と述べるのは、東京のJPモルガン証券会社カレンシー・ストラテジストである。
国家主義の伴奏音楽
いずれにせよ、安倍が内政・外交の両面で日本を極端に右傾化させることは保証付きである。安倍は六〇年来初の憲法改正に方向を定めており、これによって純粋に国土防衛に定められていた「自衛隊」を完全な軍隊にしようと図っている。安倍が目指すのは、従来は片務的だった米国との安全保障同盟を双務的な軍事同盟に拡大するところにある。また教育政策について、安倍は教育水準の向上とならんで愛国教育を法的に規定することを図っている。
外交政策ではこれまでのところ、安倍はブッシュ大統領と同様、危機において見せるあからさまに国家主義的なポーズから自身の人気をつくり出している。火曜日には、北朝鮮に対する新たな経済制裁措置を実施して、中国からの批判を招いた。日本の主要な評論家の一人は、安倍が日本を危険な道へ導きうるという警告をすでに発している。同評論家によれば、「安倍は国家について語るが、平和のことは何も言わない。平和について語らずに国家の誇りを強調するのは戦前の論理だ」。
【フォーカス=オンライン:2006年9月20日付】
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(イヴロ~ニュさん談)
この記事に付いていた(ネットでの)コメントが笑えます:
「ブッシュは1人いれば……もう十分以上だ」。