先日、ハンギョレ新聞による安倍晋三官房長官の特集がストップしていると書きましたが、ワタクシが間違っておりました。レイアウトが違っていたので気づかなかったのですが、8月21日と22日の両日に第四弾の「アメリカ式アジア主義」と第五弾の「試験台にのぼる政治力」が掲載されており、この特集は終了しておりました。失礼いたしました。
早速、急いで翻訳いたしましたので、こちらをご覧ください。
キモノを着たランボー? 中国牽制を先導
アメリカの視覚でアジア諸国を見る
ノ大統領とギクシャク「ハンナラ党が楽」
孤立を避けるために就任後は中韓との首脳会談
「親日的民主主義国家のインドやオーストラリアは、自由民主主義・人権・法の支配という普遍的価値を日本と共有している。日本・アメリカ・インド・オーストラリアの首脳や外相の会議を開き、特にアジアでの普遍的価値の共有のために貢献・協力を戦略的観点から協議していくことができれば、本当にすばらしいことだ」
安倍晋三官房長官が政権構想を描いた『美しい国へ』で披露したアジア観の核心部分だ。彼の言う“普遍的価値の共有”は、唯一の超大国アメリカが中東・アジア・アフリカなど地域に関係なく、新米的な国々を引き込むためにいつも使う論理だ。安倍が提携にもっとも力を注がなければならない対象としてあげたインドなどは、アメリカが中国を牽制して、アジアで影響力を維持するための戦略的パートナーだ。理念的な親米派である安倍が、アメリカと非常に似かよった視点でアジアを見ていることは、驚くようなことではない。
安倍がアメリカ式のアジア概念を導入したのは、一種の“防御論理”でもある。小泉純一郎政権がアジア外交に失敗しただとか、おろそかにしていたという非難を受けるたびに安倍は「日中、日韓関係のみが悪いだけだ。視野を狭めるな」という反駁をしてきた。
安倍は典型的な対中強硬論者として数えられている。膨張する社会主義大国である中国とのアジアの主導権をめぐる対決は不可避であり、アメリカなどと連帯して“対中包囲網”を構築しなければならないというのが基本認識だ。彼は外務省の中国通や、中国に融和的な政治家は「過剰に中国に気を使っている」と強い不快感を表している。過去、自民党外交部会では対中ODA(政府開発援助)の削減を強く要求した。
安倍は中国との友好関係が経済・安保の面で極めて重要だとしながらも、積極性を見せたことはない。彼は日中の摩擦による経済的悪影響を憂慮する経済界を意識し、“政経分離論”を打ち出した。この主張は中国の呼応可能性が皆無だという点から、関係悪化の責任を中国に転嫁するという攻勢の性格を帯びている。
韓国に対する安倍の認識はより複雑だ。彼の取り巻きは、安倍が韓国に好意的な感情をもっていると口をそろえる。安倍は最近、訪日した潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官と会談した席でも「妻もわからなくなるくらい、頻繁に韓国に行っている。母も韓国に観光旅行した」と親近感を強調した。
彼には中国を牽制するために韓国を日本側に引き寄せる必要がある。しかし韓国を戦略的協議対象にすることは、それほどやっかいだという意味だ。安倍と盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は理念的に“ギクシャク”しているということでもある。安部に近いある自民党議員は、「青瓦台や(与党の)ウリ党とは、違和感が強い」と話した。彼は「ウリ党の対北政策が変わるとは期待しない」「歴史や竹島(韓国名:独島)問題でも原理主義的なウリ党よりは(保守系野党の)ハンナラ党の方がはるかに話しやすい」と打ち明けた。日本では「ノ大統領は支持率が下がるのを防ぐために反日感情を刺激する大衆扇動家」という認識が蔓延している。このような認識は、自民党右派の間で特に強い。彼らはノ大統領の任期が終わることを指折り数えて待っている。
それでも安倍が政権をとれば、中韓との首脳会談推進などに出てくることは明らかだ。今のような外交的孤立は、新しく出発する政権とって負担にしかならない。世論の関係回復を望む声も強い。彼は「両国間問題を管理するためには首脳同士が会って対話することが何よりも重要だという認識を持っている」と強調した。今は安倍が目の前の障害物である靖国神社参拝について納得できる方法を打ち出すかが鍵となっている。
もう一つ目を引くのは“福田外相起用説”だ。安倍がアジア外交を重視する“反安倍”勢力の期待の星だった福田康夫元官房長官を外相に任命することで、関係改善意志を内外に知らしめる可能性があるということだ。提議があっても福田が応じるかは未知数だが、そのような動きを見せるだけでもメッセージの伝達は可能だ。
東京/パク・ジュンオン特派員
*うわあ~、安倍晋三官房長官と王毅駐日中国大使のキャプションを日本語訳して入れましたが、字が判読できないですね。(アセってやるとロクなもんじゃない)
また時間のあるときに直しますが、とりあえず、このようなキャプションが入っております。
安倍晋三官房長官と王毅駐日中国大使が8月8日、東京丸の内で開かれた民間団体主催の「東京 - 北京フォーラム」での応酬
(安倍)中国の関係者が頻繁に言う「日本の軍国主義の復活」は、日本人の想像を超えた、ありえない話だ。中国がわが国に対してちゃんと認識することが建設的な論議の出発点だ。二カ国の政治問題が経済関係に影響を与えてはならない。
(王毅)日中の政治関係はよくわかる理由で停滞した状態だが、このようなことは見たくない。歴史を正しく認識することが安定した日中関係を構築する原動力だ。問題をどのように処理するかは、結局、日本国民が自ら判断することだ。