先日、フランス帰りのある方からリベラシオン紙に載っていた
香ばしいニュースを翻訳していただきました。このニュースは
先見日記の8月29日のメールマガジンでも触れられていました。この件の要約ともいえるので、以下、そのメルマガに乗っていた部分を転載します。
*歴史問題で番組の差し止めを要望?(フランス/日本)
Hikari Productionsが制作した52分のドキュメンタリー番組『日本、過去の影』に関し、在仏日本大使館が放映中止を求めていたことが判明した。問題とされたのは竹島、靖国、教科書など。テレビ局側では「質問」を受けたが「制作者との議論」で解決したとコメント、放映は予定通りに行われた。(08/22 Liberation)
う~ん。その方に訳していただいたリベラシオンの記事によると、「
きわめて密かに」とか「
問いただし」といった
オドロオドロシイ表現 ニュアンスの違いがあったと思うのですが、ここでは単に「質問」ですか。
これが「われら」の産経新聞になると、論調がガラっと変わって、さらにパワーアップしちゃうようです。
仏メディアが誤った日本報道 大使館が抗議
(産経新聞/2006年8月23日)
間違っているのはフランスメディアの方で、それに対して日本大使館が「抗議」したということになっています。そのドキュメンタリー番組で「日本で軍国主義が復活しているかのような印象を与える構成になっている」ことがお気に召さなかったようです。
さらに、他の日付でもこのリベラシオン紙は「過去に関する虚偽を増殖させている」報道をしたとして、日本大使館は「抗議」をしたそうな。(おいおい、テレビ局だけじゃなくて、リベラシオンにも「抗議」したのかよ。)
でもこの産経新聞のフランス特派員、
別の記事でもお玉さんとこで話題になっていますからねぇ。信頼性はどうなんでしょ。
んで、このニュースは韓国の聯合ニュース(日本の共同通信とか時事通信のようなところ)からも8月30日付で報じられました。日本大使館のリベラシオン紙に対する抗議には触れていませんが、日本大使館によるドキュメンタリー番組に対する抗議と、フランス5のホームページの内容について報じています。
翻訳してみましたので、まずはこちらをお読みください。
日“独島は韓国の島”フランスの番組放映中止圧力
フランス5、日本の民族主義拡散・軍事再武装憂慮
フランスの公営テレビであるフランス5が18日に放送した、独島問題を含む日本の民族主義拡散・軍事再武装に関するドキュメンタリーが、日本当局から執拗な放映中止圧力を受けたことが伝えられた。
最近のフランス日刊紙リベラシオンの報道によると、駐仏日本大使館は“日本、過去の影”という52分の番組が放映されるまでの1ヶ月半の間、きわめて隠密な方法で放映中止を試みた。リベラシオンは「日本の外交官たちが竹島(韓国名:独島)に関する領土紛争や靖国神社問題、日本の教科書修正主義に関連していわゆる“過誤”があると主張し、フランス5に何度も電話をかけたり経営陣に書簡を送ったりした」と伝えた。
しかし、このドキュメンタリーは予定通り18日に放映された。
一方、フランス5TVのホームページはドキュメンタリーの内容を要約して紹介し、韓国と日本の独島紛争に関して言及。独島を韓国の島として表現し、竹島という名称を( )内に入れた。放送では韓国が特に独島の運命について憂慮しているが、日本が激しくこの島の領有権を主張していると伝えた。
フランス5はまた、日本の民族主義傾向が拡散して危惧すべき兆しが増幅しており、日本の歴史否定主義や修正主義が徐々に追従者を作り出していると憂慮した。フランス5は「最近、東京の歴史教科書から南京大虐殺のような戦争犯罪の事実がいとも簡単に消えていき、首相が戦争犯罪者に対して公式に敬意を表している」と指摘し、日本の平和憲法9条改正の試みなど、軍事大国化と再軍備の趨勢にも言及した。
これについて駐仏韓国大使館の関係者は、フランス5が独島問題と現在の日本の状況を客観的に報道したと評価したため、対応措置をとらなかったと明らかにした。
イ・ソンソプ特派員(パリ=聯合ニュース)

韓国の目線から見ると、日本大使館がフランスの放送局に「
執拗な」「
圧力を」「
きわめて隠密な方法で」「
何度も」加えて放送中止を試みたそうです。
そしてフランス5のホームページは韓国に同情的で、日本の最近の右傾化を憂慮していると。韓国大使館は客観的な報道だったから何もしなかったと。
なんだかもう、映画『羅生門』のようですなぁ。