週末ですから(職場以外ではあまりパソコン画面みたくないのよん)、翻訳ストックしていたものを載せてお茶を濁しておきます。
以下の文章は、北朝鮮のミサイル発射から1週間も経っていない7月11日にハンギョレ新聞に掲載された李鍾元(イ・ジョンウォン)立教大学教授の寄稿文です。まだ日本がアメリカの威を借りて
キイキイいっていた頃ですね。いや~、ちゃんとリアルタイムに翻訳しておけばよかった。もったいない。
北朝鮮ミサイル発射と日中“新冷戦”/李鍾元
北朝鮮のミサイル発射を契機に日中間の葛藤が増幅している。日本が主導した国連安保理制裁決議案は北朝鮮が対象だが、事実上中国を圧迫するものでもある。靖国神社参拝問題で守勢に追い込まれ、その余波で安保理常任理事国進出にも挫折した経験を持つ日本は、外交的反撃をしかけたかのように強く中国を攻め立てている。日本はアメリカ・ネオコンの代表格であるボルトン国連大使と連携しながら電光石火のごとく強硬基調の制裁案を打ち出した。日本国内の慎重論を抑えて総理官邸、特に安倍官房長官が主導していると伝えられた。
国連憲章7条を根拠にした決議案が通過すれば日本を含む国連加盟国は北朝鮮に対して経済制裁だけでなく、究極的には軍事行動も可能になる。「ミサイルと関連物資、技術と資金の移転を阻止するのに必要な措置」すなわち北朝鮮船舶に対する検索など事実上の海上封鎖は、具体的実行可能性が少なくない。
当初、日本を後押しすると思われていたアメリカが、少しばかり態度を変えた。制裁決議に反対しつつ北朝鮮の説得にあたった中国の要請を受け入れ、決議案表決を延期したのだ。中国に時間的余裕を与えずに表決を強行しようとした日本は、やむを得ずアメリカの“説得”を受け入れた。強硬な対応を主導した安倍長官と麻生外相に直接電話をしたのは、スティーブン・ハドリー大統領補佐官とコンドリーザ・ライス国務長官だったそうだ。ライス長官が率いる国務省中国との戦略的協調も重視する一方、チェイニー副大統領やボルトン国連大使、ラムズフェルド国防長官などの軍部は日本の新保守派と近い。アメリカ国内の政策対立とも連動しながら、これからの東北アジア秩序の主導権をうかがうパワーゲームが熾烈に展開されている。
現在、平壌で行われている中朝協議に耳目が集まっている。ヒル国務次官補が中国に伝達した内容がどのようなものであり、そこに北朝鮮が同意して公式であろうと非公式であろうと6カ国協議が再開されるかによって、これからの状況が大きく変わってくる。「6カ国協議に復帰すればすべての問題を討議することができ、米朝両者の対話も可能」だということが現在まで伝えられているアメリカの立場だ。「すべての問題」に金融制裁が含まれているかが焦点だ。今回のミサイル発射からもうかがえるように、北朝鮮は金融制裁が体制危機に直結する可能性があるという判断から、その解体を「譲歩できない線」に設定し、全面的な対決政策を覚悟する方向に行っているようだ。
中国の要請で安保理の表決が延期された状況で、北朝鮮の説得に失敗した場合、中国外交は大きな打撃を受ける。表決で拒否権を行使することも難しくなる。だからといって棄権や欠席をした場合、それは中国・胡錦涛政権の朝鮮半島外交の破綻、中国の外交的無能力を示すことになり、東アジアで外交的影響力低下というより大きな負担を抱えることになる。依然として中国が決議案に対して単独ででも拒否権を行使する可能性がある。台湾海峡でのミサイル発射により台湾に脅威を与えた経験のある中国としては、ミサイル発射を“平和に対する脅威”として認定し、制裁対象として規定する国連決議案は、自分たちに返ってくるブーメランになりかねない。ここ数年間、進行している日米同盟強化は“中国の軍事的拡大と不透明性”を対象にしたものだ。
北朝鮮をめぐる対立は日中間の“新冷戦”を加速させている。北朝鮮の強硬派の視点からは、このような地域対立が短期的には生存戦略に有利だと判断することもできる。しかし、東北アジアに新しい分断線を引く新冷戦の構図は、朝鮮半島全体の利益になりえない。北朝鮮は“外交的妥結”に立ち戻らなければならない。
李鍾元 立教大学教授・国際政治