どうやら小泉首相が8月15日に参拝を強行してくれたおかげで、靖国神社の参拝者が急増したらしい。
靖国神社:最多25万人の参拝者 これも“小泉効果”?
(毎日新聞/2006年8月15日)
うわお。写真(→)をみてビックリ。
私は人口たかだか100万ちょっとの街で育ちましたから、こんなに人がたくさん集まっていたら「なんのお祭りだ?」と思ってしまうのですが、これってマサに“お祭り”状態ですね。ほとんどはヤジウマ的根性で“行ってみた”って感じの人なんでしょうかね。若い人が多いし。
私は中学生のときに靖国神社に行ったことがありますが、なんせもう大昔なんで、どんなところだったか覚えていません。ただ“広かった”という記憶だけはあります。それにしても、まぁなんですしょう。いくら広いと言っても、そこに25万人ですか。小さな市の人口に匹敵しますね。
ま、このうち何人がお賽銭を投げたり、入場料を払って戦争博物館の遊就館に入ったかわかりませんが、
財政難の靖国神社にとっては一時的にせよ潤ったのではないでしょうか。
さらに遊就館で50分にもおよぶ“洗脳ビデオ”を見て“靖国史観”に洗脳された若者がいれば、さらにもうけものでしょう。(そういえば統一協会も街角で「手相の勉強中なんですけど…」と若者に声をかけ、ビデオセンターなる場所で“洗脳ビデオ”を見せて洗脳していますよね)
国の内外、各界からの反対意見にも耳を傾けることなく、8月15日の参拝を断行した小泉純一郎首相は見事リッパにカルト宗教である靖国神社の“権威付け”かつ“広告塔”の役割を果たしたようですね。
下の記事は韓国の聯合ニュースが終戦記念日の前日8月14日に報じた記事です。記事と言うよりは、韓国人にもわかりやすく説明している解説という感じですね。私も訳しながら参考になりました。それではどうぞ。
軍国主義の戦争神社“靖国”の実態
東京都心、皇居近くの九段下という坂道に鎮座している靖国神社。小泉純一郎首相の参拝に、日本内外の視線が集まっているこの神社の名称である“靖国”は、“国を平安にする”という意味だ。1879年に国家が神社を管理し、当時の明治天皇が後見した。
◇“戦争神社”靖国=この神社には日清戦争、日露戦争、満州事変、太平洋戦争など、開設以降、戦争で天皇のために亡くなった一般人を神として祀っている。戦没者総計246万人のうち、213万人が太平洋戦争の戦死者だ。日帝により強制連行され、命を失った韓国人も2万1000人合祀されている。
侵略戦争を指揮し、東京裁判で処刑された東条英機元首相など14名のA級戦犯は、1978年から合祀されている。連合国軍司令部(GHQ)は終戦後、国家神道を禁じ、この神社を単なる宗教法人に格下げした。しかし毎年、春と秋に大規模な慰霊祭を行っており、終戦記念日の8月15日には右派たちの巡礼聖地として浮上する。
靖国神社は名実共に“戦争神社”である。自殺特攻隊だったいわゆる“神風特攻隊”は「死んで靖国で会おう」と誓い合って出撃した。敗戦以前までは陸・海軍省が管理していた。神社の境内には、日本の近代陸軍を創設した大村益次郎の銅像と東京裁判当時、戦犯被告全員の無罪を主張したインド人、パル判事の碑石がある。
靖国神社の“軍国主義的”性格を証明する施設が本殿右側にある戦争博物館、“遊就館”の存在だ。遊就館は自殺攻撃を敢行した“カミカゼ”特攻隊員たちの遺品と遺書が展示されており、日本の戦争が強いられた自衛戦争であったことを主張する50分のドキュメンタリー映像が上映されている。
日本全国には52の“護国神社”がある。主に地域出身の戦没者を祀っているため、靖国のようにA級戦犯を合祀したところや合祀していないところがある。戦前は護国神社を内務省が、靖国神社を陸・海軍省が管理したが、戦後はすべて宗教法人になった。靖国神社を含む全国8万余りの神社のほとんどは神社本庁が管轄しているが、靖国神社だけは“全国護国神社の総本山”という性格のため、神社本庁に属していない。
◇財政難の靖国、政、官、学界が管理=靖国神社の収入は、企業や個人の寄付金などの奉納金と、賽銭や不動産収益などで構成されている。総予算は昨年対比で5%減った18億円。非公式の統計によると、神社の収入は1985年には32億円に達したが、今はその半分の水準に過ぎない。
戦没者遺族たちの高齢化と死亡により、全体収入の70-80%を占めている寄付金および賽銭収入が激減したことが原因だ。神社を支えている“崇敬奉賛会”の会員は2003年9万3000人から昨年は8万人に減少した。年会費3000円を支払っている会員は、毎月1000人ずつ減っている。
神社を代表する“崇敬者総代会”の定員は10名。三菱東京UFJ銀行の顧問や資生堂相談役、元皇族、元最高裁長官、東京産業大学教授など、政・財・官・学界などの保守派で構成されている。総代の任期は3年。神社の予算や決算のほかに、神社の運営方針、合祀者の承認など主要事項を満場一致で決定する。しかし日本遺族会長である古賀誠自民党元幹事長が最近、A級戦犯の分祀を主張し、総代会から脱退したため、現在総代は9名となっている。
神社の責任者である宮司は総代会に出席し、事実上の議長を務める。主に旧華族の中から選ばれる。現在の南部利昭宮司は9代目で、旧皇族団体の推薦で2004年9月に就任した。過去に広告代理店の“電通”に勤務したことがあり、不動産賃貸業を運営している。
◇“分祀論”の狙い…天皇参拝実現=日本政界でA級戦犯の分祀と非宗教法人化論が提起されている。次期総理候補の一人である麻生太郎外相の公式提起により、これをめぐる論争が広がっている。さらに遺族会長である古賀自民党元幹事長と安倍長官の最側近である中川秀直政調会長も加勢した。
問題は“分祀論”と“非宗教法人化論”の狙いだ。1985年に“8.15参拝”で中国の強力な反発に直面した中曽根康弘元総理は9日、「天皇が参拝できるようにすることが総理の仕事」だと強調した。この発言が示唆するように、日本の保守勢力の願いは天皇の戦没者追悼を実現させることだ。A級戦犯が合祀されている限り、天皇の参拝は不可能であるためだ。
このような理由で日本の一部のリベラル系知識人は、“分祀論”がむしろ時代錯誤であり、次期総理が靖国神社参拝をやめる“決断”を下してこの継承を義務化することだけが唯一の選択だと指摘している。
靖国神社の立場では“非宗教法人化”のためには崇敬者総代会が宗教法人解散を決定しなければならない。しかし“英霊”が認められない場合、一介の戦争記念館に転落することを遺族が憂慮しており、実現可能性は低い。
“分祀”は具体的に名前と本籍、階級、死亡日時と場所などを記録した奉安殿の“霊璽簿”という名簿からA級戦犯の名前を削除するればいいだけの話である。しかし、神社側は一度合祀された霊魂は、水のように“交ざり合う”ため、A級戦犯だけを別個に移すという概念は、神道には存在しないという独特の主張を展開し、極力反対している。
シン・ジホン特派員(東京=聯合ニュース)
*オマケ
今も韓国で健在の人たちが靖国神社に合祀されていたというニュースを拙ブログでとりあげたところ、「コメントがラブリー」と評判の良かった金希鍾(キム・ヒジョン)さんの意見が、こちらの毎日新聞の記事に掲載されていました。
小泉首相靖国参拝:61年目、騒然の朝 祈りの日、境内に賛否
(毎日新聞/2006年8月15日夕刊)