今日は本業が忙しいので、週末に翻訳しておいた『週刊朝鮮』の記事でお茶を濁しておきます。
コチラ(↓)の記事は『朝鮮日報』5月29日号の統一協会に関する特集記事ですが、『朝鮮日報』は昨日のエントリーにもありますように安倍壺三をヨイショするような週刊誌なので、統一協会に対するツッコミもほとんどありません。翻訳しながらも「ちぇっ、つまんねー」って感じでした。
それにしても、統一協会のこの莫大な資金はどこから調達されているのかナゾです。“献金”って一体、いくらなんでしょうかね?(そのへん、ツッコんでくれるマスコミがいないかなー)
[統一協会王国]世界各地で多様な事業展開
麗水観光団地・汝矣島ツインビル建設など1兆ウォン事業を次々と推進
製造業依存から龍平リゾート買収などレジャー・観光分野に事業拡張
統一協会の創始者である文鮮明(86)世界平和統一家庭連合総裁は、その人生で6回収監された。共産支配下の北朝鮮で2回、日本で2回、そして韓国とアメリカでそれぞれ1回だ。北朝鮮では1948年社会秩序混乱罪で懲役5年の宣告を受け、2年8ヶ月フンナム監獄に収監された。韓国では社会混乱罪などで3ヶ月間拘禁されたことがある。1973年アメリカに進出後、脱税容疑で拘束され、1年6ヶ月刑務所に収監された。統一協会の成長過程が平坦ではなかったことを示す記録だ。
イギリスBBC放送は1999年、「統一協会がブラジルに信者のための大規模な移住村を造成している」、「文鮮明教祖が故国である韓国とアメリカで適当な場所を見つけられなかったためブラジルに渡った」と報道した。統一協会は韓国のIMF経済危機により、系列企業が次々に不渡りを出すなどの困難に直面した。
しかし、京畿道加平郡宋山里一帯で展開している統一協会の大規模建設に見るように、最近、統一協会は天文学的な資金を元手に韓国にUターンしてきた。ここ数年間行われてきた統一協会の大々的な国内投資もこのような点で注目されてきた。
最近の国内投資のうちもっとも規模が大きな麗水(ヨス)華陽(ファヤン)地区開発は、文総裁が直接準備したプロジェクトとして知られている。文総裁は昨年6月麗水に赴いてキム・チュンソク麗水市長など地域の機関団体長10余名を招待し、事業構想を明らかにした。当時、参列者たちは統一協会側が提供したヘリで事業対象地域を見学した後、巨文島に移動し、船に乗って海上で文総裁から事業構想を聞いた。
当時、文総裁は「麗水地域への投資のために3億ドルを日本の銀行に預けており、地域の人たちの協力と行政的支援が円滑に進めば予定された観光開発事業を計画通り推進する」と明らかにした。文総裁は「麗水地域の協力が得られなければ日本の銀行に預けてある3億ドルでムアン(別の地名)にある800万坪の土地を購入する考え」だとし、「麗水をグループのメッカとして運用する」という発言もした。
このように文総裁が直接介入したためか、麗水プロジェクトは現在順調に進んでいる。政府は4月、麗水華陽地区に対する複合観光レジャー団地開発計画を承認した。華陽地区は全羅南道が指定した光陽港圈経済自由区域にも属しており、開発に対する行政的障害も相対的に少ない。華陽地区開発事業の施行者である統一協会の系列企業、(株)イルサンは将来この一帯302万坪に2015年まで1兆5031億ウォンを投資、華陽スポーツ・レジャー・観光団地を建設する計画だ。第一段階である2010年までにホテル6棟(876室)、コンドミニアム5カ所(632室)、ペンション2カ所(158室)、水族館公園とボートの係留場、華陽展望台などが計画されており、第二段階としては世界民俗村、ケーブルカーなどが完成する予定だ。
統一協会側は今年の末頃に1500億ウォン(約181億円)余りをかけて土地補償を始める方針であることを伝えた。この事業の財源は、(株)イルサンが会員権などを分譲して国内で5800億ウォンを、国外投資の誘致で7600億ウォンを調達する計画だ。このプロジェクトをめぐっては現地キリスト教界の反発の動きがあるにはあるが、大規模投資に対する現地の反応は、2012年の麗水世界博覧会誘致ともからんで弾力的だ。
麗水プロジェクトと共に「もう一つの1兆ウォン(約1207億円)事業」として注目されてきた汝矣島(ヨイド)の統一協会の敷地に超高層ビルを建てるプロジェクトも現実化している。汝矣島の最後の貴重な土地と言われている統一駐車場の敷地(汝矣島洞22番地1万4000坪余り)に関して統一協会側は、昨年5月多国籍不動産開発会社であるスカイレーンと99年間長期賃貸方式の契約を結んだ。スカイレーンは昨年10月、将来この土地に総額1兆5000億(約1811億円)ウォンを投資し、70階規模の超高層ツインビルを建てるという「パークワン・プロジェクト」を発表した。当初、文総裁は各国の信者に1階分ずつ建設費用を負担させて超高層ビルを建てるという構想を持っていたという。
このほかにも統一協会は2007年まで京畿道金浦一帯に2億5000万~3億ドルを投資して総計5万坪規模のヘリコプター工場を建てる計画で土地を購入しており、2003年龍平(ヨンピョン)リゾート持分買収(91.5%)、2004年外国系ファンドを動員したソウル江南のセントラルシティ買収など2000年以後、韓国内で相次いで果敢な投資をしている。このような事業拡張の背景として統一協会がかつて製造業に重点をおいた失敗から脱皮し、将来は観光・レジャー・スポーツ分野など新しい事業に集中投資するという予測がされている。
文総裁をメシアとする独特の教理のため、キリスト教界から異端視されてきた統一協会は完成したビジネスという側面でも既成の宗教とは区分される。統一協会が保有する企業は世界各国に広がっている。国内の場合、IMF経済危機を経て韓国チタニウム、統一重工業など主要系列企業の所有権が他に渡ったが、先頃再買収した一和をはじめ、依然として20余りの事業体がある。麗水プロジェクトを引き受けた(株)イルサンなどは農園管理をしていたが、よく知られていない企業が多い。
統一協会は世界日報、アメリカのワシントン・タイムス、UPI通信などの報道機関も所有しており、城南一和、ブラジルのソロカバなどのプロサッカーチーム、リトルエンジェルス芸術団、ユニバーサル・バレエ団などの文化芸術団体、そしてアメリカのブリッジポート大学*、ソンファ芸術高など多数の学校も保有している。北朝鮮でも平和自動車などの会社を運営している統一協会は、アメリカと日本だけでも数百の事業体を保有していることで知られているが、正確な実像を外部に明らかにしたことはない。
アメリカのシカゴ・トリビューン紙は4月12日付けの一面トップ記事「特別取材:寿司と文牧師(Sushi and Rev. Moon)」で、あまり知られていない統一協会のアメリカ国内での事業を暴いた。この記事によると、文総裁はすでに30年余り前からアメリカで海産物取引が将来大きな利益をあげると見て「トゥルー・ワールド・グループ(True World Group)」という水産物会社を創設したという。この会社は文総裁の予想通り現在アメリカ全域のレストラン7000カ所に魚を供給している。「シカゴ・トリビューン」はこの記事で「海産物を好む人のうち、このことを知っている人はほとんどいないだろうが、口の中で溶けていくトロの刺身やうなぎの蒲焼を食べるとき、彼らはまさに文教祖の宗教活動を間接的に支援している」と書いた。この記事が出た後、アメリカ国内の読者はインターネットで「寿司を食べるべきか食べざるべきか」と論争を繰り広げた。
統一協会がこのようにビジネスに主力を注いでいる理由はやはり独特の教理と関連がある。統一協会は理念と理論にのみ没頭せず、行動することによって理念と理論を具現化しなければならないと強調している。平和を志向するのなら実際の平和のためのアクションを起こせということだ。パレスチナでキリスト教とイスラム教の仲介を自称していることや、北朝鮮で事業を運営していること、信者に人種を超越した家庭を作らせていることなどもこのアクションの一環だ。
統一協会は自分たちの推進する教育および報道事業、多様な企業活動なども自分たちの理念と理論を現実に具現化する道だと主張している。「来世志向的で霊的な宗教だけでは社会を変えることはできない。文化とスポーツを通じて平和理念を現実世界に根付かせなければならない」というのが統一協会関係者たちが強調する言葉だ。統一協会(鮮明平和サッカー財団)が200万ドルの優勝賞金をかけて2003年から開催しているピースカップサッカー大会が代表的な事例と言える。統一協会のナンバー2と言われるクァク・ジョンファン世界平和超宗教超国家連合会長は「統一協会が教団の維持、発展のために使う予算は総収入の10%未満」「90%以上を平和事業など外部活動に投入している」と言った。
1954年ソウル城東区北学洞で「世界基督教神霊協会」として始まった統一協会は多くの波紋と葛藤を引き起こしながらも無視できない勢いで成長してきた。統一協会側は現在世界190ヶ国余りに宣教師を送っており、150万人余りの熱心な信者がいると主張しているが、正確な信者数は明らかにしていない。
誕生してから半世紀を経た現在の統一協会は、事実、宗教とは多少違った姿を見せている。事業運営など現実志向的な姿もそうだが、教理でも宗教的色彩がかなり消されている。統一協会は40周年を迎えた1994年に正式名称を「世界平和統一家庭連合」に変えた。教会ではなく家庭に重心を置き、家庭が人間救済の出発点であるという「真の家庭実践運動」を展開しはじめた。統一協会は2004年の総選挙を前に天宙平和統一家庭党(家庭党)を立ち上げもした。選挙に直接関与はしないが、家庭党を通じて一般人に政治・社会教育をするという趣旨だった。
「家庭が天国の最小単位」だと主張する統一協会は、世界平和具現という現実的目標も追求してきた。「国連に代わる世界平和機構を構想する」「世界平和超宗教超国家連合」という団体をつくり、毎年各国の現職および元首脳を招請して「世界平和のための首脳会談」も開いている。
文総裁は2005年からは天宙平和連合を結成、現実世界の平和だけではなく霊的世界の平和まで追求している。
2004年6月、アメリカの新聞はワシントンDCの上院ビルで開かれた統一協会の「平和の王」戴冠式行事を報道した。デニー・デイビス下院議員**(イリノイ州)が文総裁夫婦に王冠を渡し、文総裁は演説で「5大宗教の創始者と霊的世界の多くの指導者、例えば共産主義の指導者であるマルクスとレーニン、ヒトラーのような独裁者も私の教えによって心を入れ替え、新しい人として再びよみがえった」と話したという。一般人としては当惑するような話であるが、統一協会側ではこの話が新しい運動の始まりだと見ている。クァク・ジョンファン会長は「地上には家庭連合があるが、宇宙には天宙連合が必要で、この二つを結合させてこそ世界が平和になる」と天宙平和連合を創設した理由を説明した。
昨年9月ニューヨークのリンカーンセンターで天宙平和連合の創設式を開いた文総裁はその後、アメリカ12都市と韓国の12都市をはじめ、世界120ヶ国をまわって天宙平和連合運動を展開した。自家用飛行機を利用し、ある国で行事を終えるとすぐに別の国に移動する強行軍だったという。統一協会の関係者たちは、当時の日程を根拠に高齢の文総裁がまだ健康と体力には問題がないと強調している。文総裁の旅行日程は昨年12月イルサン国際展示場(KINTEX)で民団と朝鮮総連系など在日韓国・朝鮮人1万人余りと以北5道民の指導者、嶺・湖南の指導者など5万人余りを集めて天宙平和連合の役割と南北統一に関する演説をすることで締めくくった。
統一協会が完成したビジネスを繰り広げ、その勢いを維持する背景にはもちろん信者の献金がある。これは統一協会の強大な外資動員能力の秘訣でもある。統一協会側は具体的な外資動員方法について明らかにすることを避けているが、国内に入国した信者が出した献金も無視できない比率であることが知られている。一年に韓国内に入国した統一協会信者だけでも30万人を越えると言われ、韓国人と結婚して入国している日本人女性信者だけでも1万人***を越える。統一協会の信者は独特の宗教儀式である「先祖解怨式」や合同結婚式の際に献金をしている。
*ヘボイですが、日本語サイトがあるところがアヤシイです。また「学部生の約19%、大学院生の約35%が留学生」ってとこもかなりアヤシイです。“留学生”というよりは“信者”?
**売国政治家はアメリカにもいるようですね。イリノイ州選出のデニー・デイビス下院議員、覚えておきましょう。
***韓国に住んでいる日本人信者の正確な数はわかっておらず、記事よって人数がまちまちですが、この記事ではとりあえず「1万人を超える」となっています。
****この記事には写真が3枚掲載されていますが、これもキモチ悪いので転載はしていません。それぞれの写真のキャプションは次の通り(↓)です。
▲ 文鮮明総裁夫妻が合同結婚式を主管している。
▲ 昨年7月「ピースカップ・コリア」前夜祭でクァク・ジョンファン組織委員長が歓迎の辞を述べた。
▲ 汝矣島統一協会所有地に建設予定の70階ツインビルの鳥瞰図。