昨日のエントリーで韓国の新聞事情を書いてみましたが、「日本語版をやっていない『ハンギョレ新聞』を読んでみたい」とのご希望があったような(?)気がするので、またおせっかいにも翻訳してみました。
こちらは昨日7月6日の社説です。北朝鮮のミサイル発射について他の日本語版を運営している保守系3紙は、総じて「北朝鮮の脅威に対して(韓国)政府は及び腰だ。対応が遅い。だから盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権はダメなんだ、
キイキイ」という論調ですが、リベラル系の『ハンギョレ新聞』はどうも論調が違うようです。
北朝鮮のミサイル誤判と現実的対応
北朝鮮が昨日の早朝、日本海側に複数のミサイルを発射した。アメリカ本土まで飛ぶと言われている長距離ミサイルも一発含まれている。長距離ミサイル試験発射の動きがキャッチされた5月以降、韓国など6カ国協議の参加国が何度も警告したが、北朝鮮は聞き入れなかった。大変遺憾である。
北朝鮮がミサイル発射をアメリカの譲歩と交渉を引き出す手段として行ったのならば、明らかに誤った判断だ。ミサイルの脅威はジョージ・ブッシュ米行政府の選択の幅を狭める。ブッシュ行政府が日本海に落下する程度の長距離ミサイルに屈服すると期待するのも非現実的だ。アメリカの独立記念日を選んだことも衝撃の効果を与えるよりも米国内の世論悪化に寄与した。
脅威を与えて関心を引こうとするのは北朝鮮が過去に何度もしてきた典型的な崖っぷち戦術だ。この戦術は相手がその脅威を恐れ、態度を変えることを目標にしている。しかし、今はアメリカも日本も北朝鮮を恐れるよりも脅威を自国の政治的・軍事的目的に有利になるように利用している。ミサイル発射が逆効果になるしかない理由はこれだ。
打撃を受けたのはむしろ6カ国協議再開へ努力してきた韓国と中国だ。中国は先日、遼寧省瀋陽で非公式の6カ国協議を開くことを各国に提案した。韓国は6カ国協議の枠を柔軟に活用し、実質的には米朝交渉になるように各国と接触してきた。また、ミサイル発射は最近米国内で広がりつつある米朝直接対話を求める動きにも良くない影響を与えざるをえない。
ミサイル技術統制体制に入っていない北朝鮮がミサイルを開発することは自らの言葉通り主権行使であるのかもしれない。しかし、予告もなしに公海上にミサイルを発射し、周辺国を不安に陥れる権利はない。さらに北朝鮮は去年初頭に核兵器保有国であることを宣言までしている。
国連の北朝鮮代表部ハン・ソンヨル次席大使はミサイル発射直後、「外交官は軍隊がすることに関しては認知していない」と明らかにした。それが事実であれば、北朝鮮軍部がどれだけ自己中心的思考に陥っているかを示している。北朝鮮政権が交渉を通じて平和的に核ミサイル問題などを解決することを望んでいるなら、このような思考から抜け出さなければならない。しかしミサイル発射は北朝鮮が真摯に6カ国協議再開を望んでいるのかを疑わしくした。
韓国政府が北朝鮮のミサイル発射を非難するのは当然だ。しかしミサイル発射に対する責任を問うことと、事態がより悪化しないようにすることは別問題だ。日常的な経済協力と南北対話も安易に中断してはならない。朝鮮半島に関連する危機の最大の被害者はいつも韓国であるため、長期的な視野で見て安定的に状況を管理していく必要がある。
アメリカと日本が即刻、制裁と圧迫を強化する動きを見せていることも望ましくない。今回のミサイル発射は誤った判断であるが、アメリカの実質的な脅威になるものではない。スティーブン・ハドリー国家安保補佐官も「即時の脅威ではないが挑発行為」だと糾弾した。強硬な対応で衝突し、状況が破局へと向かうことは誰の益にもならない。北朝鮮が現実的な判断をできるようにするには、他の6カ国協議参加国がまず現実的になるべきだ。