6月15日の東京新聞に、こんな記事があります。
「
共謀罪 国連求めているのか - 条約批准の前提にも」
この記事よると、政府与党が共謀罪導入をしなければならない理由の一つとして掲げている「共謀罪を導入しないと国際組織犯罪防止条約に批准できない
キイキイ」という主張に、専門家から疑問符がついたというのです。「国連条約や国連が作成した立法ガイドの原文をきちんと読むと、共謀罪を創設せずに、現在の日本の刑法体系のままで条約を批准できるはず」だそうです。
その、立法ガイドの焦点となった部分はコレ↓です。
The options allow for effective action against organized criminal groups, without requiring the introduction of either notion - conspiracy or criminal association - in States that do not have the relevant legal concept.
で、その翻訳をめぐっては同記事から引用
条約は、第五条で共謀罪を求めているとされてきたが、条約の文言を、各国の法体系にどのように生かすかについては「立法ガイド」に記されている。(中略)
外務省の「仮訳」では、「これらのオプションは、関連する法的概念を有していない国において、共謀または犯罪の結社の概念のいずれかについては、その概念の導入を求めなくとも、組織的な犯罪集団に対する効果的な措置を取ることを可能とするものである」と翻訳されている。「共謀罪」か「犯罪の結社」(参加罪)の概念の「両方とも」を導入する必要はないけれど、どちらか一方は導入しなければならない、という政府・与党の主張は、これが論拠となっている。
しかし、喜田村弁護士は(中略)「平易に翻訳すると『この選択肢は、共謀または犯罪結社に関する法的概念を有しない国においても、これらの概念の導入を強制することなく、組織的犯罪集団に対する実効的な措置を可能にする』という意味だ。共謀罪などを導入している国もあるという記載は『そういう国もあります』という例示列挙にすぎず『そうせよ』という意味ではない」と指摘する。
う~ん、なんだか日本語自体がワケわからないのですが、(ハッタリで)英日翻訳も(タマに)している私としては、外務省の訳よりも、記事中の弁護士さんや翻訳家の訳(解釈)の方が正しいように思います。
それで、外務省のホームページに行ってみたのですが、ナントこの記事の出た翌日(笑)に、「
国際組織犯罪防止条約の「立法ガイド」における記述について」と題する解説が出ておりました。
4.政府は「立法ガイド」を誤って理解しているのではないのですか。
という質問に対しては、
① 「立法ガイド」についての政府の理解が誤っていることは全くないと考えています。
② なんたら~かんたら~、わかったようなわからんような説明。
③ また、念のため、「立法ガイド」を作成した国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)に対してご指摘のパラグラフの趣旨につき確認したところ、UNODCから、同パラグラフは共謀罪及び参加罪の双方とも必要でないことを意味するものではないとの回答を得ています。
だ、そうです。
③は要するに「クライアントさんがこう言ってるんだから、翻訳が間違ってるわけじゃないのよ!早く言う通りにしなさい!
キイキイ」ということのようです。
いや~、翻訳の仕事やってると、こういうことはよくあります。日本語のネイティブから見てヘンテコな日本語なのに、クライアント(非日本語ネイティブ)の要求により、ヘンな日本語にしなきゃいけないことって。ま、そんなときは、こちらもお仕事ですから、
魂 For Saleでクライアントの言う通りにしますけどね。
ま、仕事のうえでならいいんですよ。ヘンな日本語でその商品が日本に出回っても、それはクライアントが損するだけですからね。こっちゃぁ、言われた通りにするだけですわ。
でもね、法律のこととなると、それは一人一人の生活に関わってきますから、
魂 For Saleというわけにはいかんのんです。
と、いうわけですので、英語に堪能な方、法律に精通している方、絶妙なツッコミができる方、その他ソボクな疑問をお持ちの方など、よろしかったらご意見お聞かせください。