日本民主党政権と外国人参政権/李鍾元
長年の課題だった日本永住外国人の地方参政権問題は、果たして実現するのか?日本社会の大きな転機となる参政権実現が、最終段階を迎えている。以前から参政権付与に積極的だった民主党政権が誕生することで、現実的な可能性がにわかに高まったのは事実だ。
しかし最近、参政権付与法案をめぐって民主党が右往左往する姿を露呈しながら、展望を多少不透明にしている。若干の「騒動」の果てに、政府と民主党間の党政最高会議で、参政権法案に関しては今回の臨時国会には提出せず、今後の処理を小沢幹事長に一任するということにまとまった。推進派である小沢幹事長が「全権」を譲り受けた形となっているため、肯定的な部分もあるが、鳩山首相など政府が責任を小沢幹事長になすりつけた側面も小さくない。これからの焦点は、来年1月から始まる通常国会に民主党が法案を提出するのかに集まっている。韓国民主党の丁世均(チョン・セギュン)代表との会談で、小沢幹事長は「やがて片が付く」と言った。「いつか」あるいは「最終的には」とも翻訳できる、かなりあいまいな表現を使った。当初に推進しようとしていた議員立法ではなく、政府立法でする方がいいという見解も明らかにした。政府と与党がボールを投げ合い、責任をお互いに転嫁しているように見えもする。
今、民主党政権、特に小沢幹事長の最大の関心事は、来年7月の参議院選挙での勝利だ。中間評価の性格を持つこの選挙で単独過半数を獲得することになれば、民主党政権は安定基盤を備え、長期執権まで狙えるようになる。選挙が参政権問題に与える影響は両面どちらもある。重要な選挙を控え、外国人参政権のような世論が分裂して対立的な争点は、なるべく避けようという政治的計算と力学だ。鳩山首相をはじめとした民主党政権の指導部が、従来の積極推進論から慎重姿勢に後退しているのも同じ脈絡にある。
しかしもう一方で、今年の8月の総選挙でもうかがえたように、組織基盤が弱い民主党において、民団(在日本大韓民国民団)など在日の組織的・個人的支援が小さくない力になるという現実もある。あの総選挙では、特に民団が全国を対象に参政権付与に積極的な民主党候補を重点的に組織的支援を展開し、民主党の圧勝に一定の寄与をした。民主党としては来年の参議院選挙のためにも参政権問題に具体的な成果を提示する必要がある。選挙を直接担当することになる小沢幹事長の動きには、このようなジレンマが表れているともいえるだろう。
在日韓国・朝鮮人が大多数である永住外国人の地方参政権実現という観点から、現在の重要な政治的機会に直面している。8月の総選挙での当選者を対象にしたアンケートによると、現職衆議員の半数を超える53%が参政権付与に賛成している。与党民主党は、賛成が67%に達している。公明党、社民党、共産党はほとんど全員が賛成である一方、自民党は反対派が54%、賛成は7%に過ぎない。
政界の勢力分布という面では、展望は暗くない。しかし今回の臨時国会での法案提出が挫折した経緯からも見えたように、日本社会全体の世論はまだ成熟しておらず、反対や慎重論が根深いのも事実だ。マスコミもそれほど積極的な支持姿勢を見せていない。来年の通常国会に照準を合わせた立法措置を追求しながら、同時に日本社会内の肯定的な世論形成を体系的戦略として推進する必要がある。ここでは日韓の不幸な100年の歴史を総括しながら、新しい時代を迎えるという視点に立った韓国政府と社会の包括的な対日外交が果たす役割も少なくない。
李鍾元/立教大教授・国際政治
『ハンギョレ』 2009年11月13日