日本政治の「革命的変化」/李鍾元
日本の総選挙が明日に迫った。戦後日本の政治史上、初めて国民の直接選挙により政権交代が行われるという「歴史的事件」の日でもある。民主党の勝利は、ほぼ既成事実として受け入れられているという感じだ。最近の朝鮮半島情勢の講演をするために訪れた島根県のある集会でも、民主党の勝利を前提にした「鳩山政権」の外相などの主要閣僚や外交政策の展望に関する質問が相次いだ。ある地方新聞が主催した集まりで、自民党を支持してきた地方の有志が主な構成員だったため、「民主党政権」の方向性に対する憂慮が支配的だった。長年にわたって地域社会に君臨し、地方政界を牛耳ってきた保守層が、突然、目の前に現れた「政権交代」の巨大な波に対して感じる困惑や不安、そして諦念をあちこちで確認することができた。
先週、選挙運動が公式に始まった直後、マスコミ各社で実施された世論調査や情勢分析は、一様に「民主党圧勝」を予測した。総議席数480のうち、300から330議席を占めるという驚異的な内容だった。現在の議席数115議席の3倍近い大躍進であり、改憲のラインを超える巨大与党が出現することになる。一方、自民党は現在の300議席から100議席以下のほぼ崩壊に近い水準の大敗が予想されている。専門家たちが当惑するほど巨大な「政権交代」台風だ。選挙期間中、世論調査の「アナウンス(発表)効果」も今回の選挙で「バランス」(均衡)でない「バンドワゴン」(偏勝)現象が顕著だった。「民主党の圧勝」という報道が、民主党の支持を一層加速化しているのだ。日本社会特有の「大勢順応(偏勝)主義」という指摘もあるが、それほど自民党政治に対する累積した不満が大きいということを示している。昨日、発表されたマスコミ各社の選挙直前情勢調査でも、「民主党300議席以上」の勢いは衰える兆しを見せていない。
鳩山民主党代表は、今回の選挙の意義について「革命的目的を持つ政権交代」と宣言した。日本の政治家が「革命」という用語を使うことはとても異例なことだ。日本の国民は急激な変化を嫌い、安定と安心感を求めるということは、ほぼ常識化している。日本は歴史的に「革命」と称される事件が存在しない、世界史的にも珍しい国でもある。明治維新のような事実上の官製革命も、「革命」ではなく「伝統への回帰」として説明される。鳩山代表自身が「革命」の内容について体系的な説明をしていないが、単純な政治的表現に終わるのではなく、日本社会の巨大な枠の変化、すなわちパラダイムの転換を志向しようとしているのは事実だ。
抽象的だと批判されることが多いが、鳩山代表は「友愛」あるいは「友愛革命」という概念を自分のビジョンとして提示している。祖父である鳩山一郎元首相から受け継いだものだそうだ。その源をたどればフランス革命の「博愛」につながる。これは社会共同体の横の連帯を強調する価値だと言えるだろう。鳩山一郎元首相はこれを資本主義と市場経済の弊害を修正する、健全な保守主義の一つの土台とした。今回の選挙で自民党が苦戦している背景には、小泉政権以降、強行された市場原理の新自由主義の改革が生んだ社会経済的格差や、これに対する反発が決定的に作用している。鳩山代表の「友愛革命」論は、旧社会党系列の社会民主主義とも脈を通ずる側面がある。アメリカのオバマ政権に続き、日本「民主党政権」の誕生は、一世を風靡した市場原理至上の新自由主義に代置する新しい政治経済の日本モデルを模索する一歩として記録されるだろう。
李鍾元/立教大教授・国際政治
(『ハンギョレ』2009年08月28日)