現在、韓国の国会はメディア関連法案をめぐって紛糾しております。この法案が通ってしまうと大手新聞社や大企業が放送メディアに進出することが可能になってしまうため、野党がそれに対して猛烈に反対しているわけです。
でも考えてみると、日本のテレビ局というのはほとんど大手新聞社の系列なんですね。それもかなり昔から。もしかすると、李明博政権が進めようとしているメディア政策というのは、韓国メディアを日本のようにしてしまおうということなのかもしれません。
こちらはハンギョレの東京特派員が日本の放送局の構造について、韓国の読者にわかりやすく解説した記事です。どうぞ。
「1公営多民営」な日本の放送局
5つの民法のうち3つは「新聞社の系列」
政府の目を気にして娯楽性報道競争
»テレビ朝日本社の全景。
日本のテレビ放送は、構造的に胎生的限界を有している。放送事業者の免許権を総務省が扱い、放送局の設立から放送法改正まで主導するため、放送局としては政府の目を気にせざるをえない。日本も敗戦直後、かつて電波管理委員会という独立行政機関で免許の許可などを管掌していたが、1952年に郵政省(現在の総務省)の政府傘下に関連業務が引き渡された。
»フジテレビ本社の全景。
当初から放送法に新聞の放送進出規制がなかった日本では、1957年に田中角栄郵政相(当事)が新聞社にテレビ放送事業を許可して以降、雨後の竹の子のように新聞-テレビ放送の兼営が広がった。公営放送のNHKと5つの民営体制という1公営多民営体制が固定化したのだ。民法の場合、『朝日新聞』-『テレビ朝日』、『読売新聞』-『日本テレビ』、『日本経済新聞』-『テレビ東京』など3社が新聞社を大株主としている。放送局の規模が拡大しながら『フジテレビ』が親会社だった『産経新聞』の株式を39.99%保有するなど、関係の逆転現象も起こっている。『テレビ朝日』は昨年、239億円を『朝日新聞』に出資した。同志社大学の浅野健一教授は、「兼営により世論の多様性が毀損されている」として、新聞の支配力の下にある1公営多民営体制の問題点を指摘した。
大株主である新聞社が、系列放送局の編成や報道内容に直接関与することは多くはないが、「天下り」社長や、自社の記者が系列の放送局の番組に出演することなどによって影響力を行使している。最近、『テレビ朝日』の社長に創業以来初めて放送局出身者が任命されたが、それが話題になるほど天下り社長は慣例化している。
民営放送局は最近、総選挙を控えた重要な時点で芸能人出身の知事の政治的発言を詳細に競って報道するなど、本末転倒の興味本位な報道で視線を集めたりもした。先の2005年の総選挙のときは小泉純一郎首相(当事)が主唱した「郵政民営化に賛成か、反対か」という選挙イシューに関連したニュースを中継放送さながらに報道し、自民党圧勝に「貢献」した。
特に、「信じようと信じまいと」というふうな北朝鮮関連の報道は、日本の民放の専売特許だ。『テレビ朝日』は先月、金正日委員長の後継者として注目されている三男の金正雲の偽写真を「特ダネ報道」し、大恥をかいた。しかし、報道局長など幹部3人を口頭警告するだけという手ぬるい懲戒に終わった。日本人拉致被害者家族会の蓮池透・元事務局長は、先月、『ハンギョレ』とのインタビューで「日本の放送局は北朝鮮関連の報道を芸能娯楽レベルで扱っている。免許権を持っている政府の目を気にしている側面もある」と皮肉った。
東京/キム・ドヒョン特派員
『ハンギョレ』2009年07月13日
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