日本の政権交替と外交政策/李鍾元
麻生政権の運命が秒読みに入ったようだ。自民党政権が終わりを告げ、戦後日本の政治史上初の選挙による政権交代が実現する可能性も一層高まった。日本社会の大衆的世論を反映する民間テレビ番組で、現職首相の自民党政権に対するこのような失望感と不信感が露骨に表現されたことは記憶にあまりない。政権の末期症状だといえる現象が、至る所で見受けられる。
麻生首相としては、今週が自分の主導で大逆転攻勢をかける最後の機会でもあった。不利な状況にある
5日の静岡県知事選挙、12日の東京都議会選挙で相次いで敗北した場合、自民党内で首相の辞任と交代論が噴出する可能性が高いためだ。このような動きを抑制し、自分の指導力を確保するために、人気芸能人出身の政治家を含んだ改編と自民党指導部の交代を断行した後、国会解散と総選挙に突入するという計画だったようだ。しかし、元々大衆的人気を基盤に浮上した麻生首相は、自民党重鎮の抵抗を統制する政治力が脆弱で、人事権さえ思い通りに行使できない軟弱な総理総裁の実情のみをあらわにしたまま挫折してしまった。
「外交の麻生」を自負する麻生首相としては、自分の指導力を演出するための舞台装置もそれなりに準備してきたようだ。6月28日には今年に入って2回目の日韓首脳間のシャトル外交が東京で開かれ、続いて30日に北朝鮮の核の脅威と日米同盟強化を全面に打ち立てて、民主党の軟弱な姿勢を批判する外交演説を行った。7月8日からはイタリアで主要8カ国(G8)首脳会談が開催される。日韓首脳会談も、麻生政権の選挙戦略の一環として活用された。だが急いで設定された会談だったため、具体的で実質的な成果も特に見られなかった。
最近、保守右派の見解を代弁する新聞や雑誌に、民主党の外交政策を批判する記事が急激に増えはじめた。民主党の執権可能性がそれほど高くなったという証拠であり、民主党の外交政策が現在とは違う方向に展開されるかもしれないという危機感の反映だと言える。
民主党は、自民党出身の保守派と旧社会党系列の革新勢力、市民運動出身グループ、旧日本新党出身の新保守派グループなど、理念的・政治的にとても多様な構成の集合体だ。特に外交安保政策では、極と極が共存する状況であり、日本人拉致問題や対北制裁に関しては自民党よりも強硬な議員も少なくない。
しかし注目されるのは、鳩山代表、岡田幹事長、小沢選挙担当代表代行など、自民党出身の保守的政治家が、現在の日本外交を「対米一辺倒」と批判しながら、対アジア関係強化、非核平和外交などを軸にした新しい外交政策を模索しているという点だ。最近、民主党の政策文書や公約集には「対等な日米同盟体制」、東アジア共同体、東北アジア非核地帯構想などといった脱冷戦型の地域外交構想が野心的に提唱されており、日韓の懸案である過去の清算や、在日韓国人の地方参政権問題についても典型的な姿勢が際立っている。もちろん、このような外交政策は旧社会党時代から続いたものではあるが、これに局限せず、日本自らの国益に立脚した新しい外交目標で位置づけられた結果だと言える。選挙公約が具体的な政策に実現するまでは、多くの過程と難関が存在する。しかし、戦後初の選挙を通じた政権交代が、日本外交の戦略的転換の契機になる可能性が十分にある。朝鮮半島と東北アジア情勢に与える影響という観点からも、もっと積極的な関心と対応が必要だ。
李鍾元/立教大教授・国際政治