「プロテスタントの創造科学・インテリジェントデザインはカルト」
「進化論に対する恐れから出発
歴史と神との関係を断絶させよ」
科学と宗教の重畳地帯などを模索
»キム・ユンソン(上)韓神大教授、シン・ジェシク(写真中央)教授、チャン・デイク(下)同徳女子大教授
『宗教戦争』
シン・ジェシク、キム・ユンソン、チャン・デイク著/サイエンスボックス・22,000ウォン
宗教の賞味期限はもう切れてしまったのではないか?
三人の若い学者が一堂に会した。湖南神学大で組織神学、宗教と科学などを教え、教会の合同牧師としても働いているシン・ジェシク(写真中央)教授。現代宗教理論と文化理論を土台に韓国宗教史、世界神話、両性平等と宗教、科学と宗教などを教えるキム・ユンソン(上)韓神大教授。そして進化生物学と科学哲学、認知科学を学んできた科学哲学者として、科学と人文学透徹の道を求めているチャン・デイク(下)同徳女子大教授。
彼らは皆、科学書籍を熱心に読む。2003年に結成された「科学と宗教研究会」のメンバーだ。チャン教授は当然だが、二人の神学大教授の最新科学の知識もやはり水準が高い。そして皆、篤実なプロテスタント信者だ。キム教授とチャン教授は、韓国の主流保守キリスト教が信奉する
創造科学を先頭に立って伝播していた熱血信徒だった。ところが今、信徒として残ったのはシン教授だけだ。キム教授は、聖書の内容を文字通り信じる文字主義保守プロテスタント信徒だったが、年を重ねるにつれて自由主義的プロテスタントへ変わっていき、再び個別の宗教を超えて宗教の普遍性を求める宗教学者となり、ついには無神論に近い不可知論者に変わった。チャン教授はKAIST(韓国国立科学院)学部と大学院時代、創造科学信者だったが、今彼は代表的な進化論的無神論者になった。これに比べると、シン教授は進化論的有神論者だ。人類の歴史において疑う余地がなかった絶対的超越者、すなわち神の存立根拠を崩すことで、キリスト教を存亡の危機に追い立てたダーウィンの進化論と有神論の結合は、何か奇妙ではないか?
»『宗教戦争』
『宗教戦争』。この三人がやりとりした電子メールや座談などを集めたこの本は、進化生物学を土台に、宗教はもはや退場させるべき時が来たのではないかと問うチャン教授と、進化論をはじめとした現代科学の驚異的な成果を受容しながらも、科学の成果こそ実は宗教をより高い水準に引き上げるのに必須不可欠な要素だという有神論のシン教授の攻防が主要な柱になっている。
宗教のない世の中を想像してごらん/自爆テロ、911テロ、ロンドン爆破テロ/十字軍、魔女狩り、火薬陰謀事件/インディオ分離区域、イスラエル-パレスチナ戦争/セルビア・クロアチア・モスリム大虐殺…/などのない世の中を想像してごらん。
チャン教授が引用した
リチャード・ドーキンスの著書『神は妄想である-宗教との決別』の序文にあるジョン・レノンの『Imagine』のパロディだ。宗教に対する彼の信条を代弁している。
シン教授は「生命の多元主義」によってダーウィン以降の現代科学の成果を受容するジョン・ホート(John F. Haught)の「進化論的進学」、科学の相対的自律性を認めたキリスト教中心主義者ヴォルフハルト・パネンベルク(Wolfhart Pannenberg)などの考えを説破しながら、無神論的進化生物学という「宇宙的文字主義」や、聖書無誤謬を主張する創造科学・知的設計という「聖書的文字主義」の両極端な両方を排撃している。彼は、社会生物学の創始者
エドワード・ウィルソンが地球生態系を救うために保守的南浸礼教会側に協力を訴えた著書『The Creation』で一方的な生物学中心主義を読み取り、ドーキンスについても19世紀的パラダイムから抜け出せていないと批判した。キム教授も「科学こそは現代の絶対基準であり、価値であるため、どのような方式であれ、これに合わせなければ宗教が生き残れないという強迫的思考」に陥っているとして、「科学のイデオロギー化」を警戒している。彼は科学と宗教の間には無数の重畳地帯があると見ている。
「科学は宗教をどう見ているのか?」「宗教は科学をどう見ているのか?」をめぐって長大に繰り広げられた彼らの攻防は、ある地点で全員が合一した。アメリカ根本主義=福音主義保守教派が1920年代に創案した創造科学、そしてそれが挫折すると1990年代に出てきた類似版の
インテリジェントデザインに対する彼らの批判は辛らつだ。キム教授は韓国プロテスタントのほぼ全体が受け入れている創造科学とインテリジェントデザインは、科学ではなく信仰運動に過ぎないとし、シン教授はこれをカルト宗教運動、チャン教授は正否を問うことさえ不可能なカルト科学だと断定した。
彼らの意見では、創造科学は科学、特に進化論に対する被害者意識と恐れがその出発点となっている。進化論自体を拒否し、「創世記」の記録を無誤謬の科学だと主張することが創造科学論であり、それが敗退した後、進化論のみを除く現代科学の研究結果を受容し、神がそのあらゆるものを設計して一回性創造で終わったというのがインテリジェントデザインだ。シン教授は当初から完成した状態であり、時間が過ぎても変わるところがないというこのモデルに対して「キリスト教の神は時間の中で世界と関係をもつ力動的な神」という言葉で一蹴した。このモデルを受け入れた瞬間、神は歴史に加入できなくなり、キリスト教神学は終わりを迎える。これをアメリカから直輸入した韓国保守教会は、まだインテリジェントデザインさえ心穏やかに受け入れられずに創造科学を主張している段階だ。三人は、コミュニケーション不在と大金を呼んだ肥満症にあえぎ、無菌室で延命している韓国保守教会が、荒野に出て行かない限り、滅びるしかないと話した。
ハン・スンドン専任記者
『ハンギョレ』2009年06月22日