[この人]731部隊の蛮行を暴く「謝罪の歌」
「悪魔の飽食」韓国公演、日本市民合唱団の持永伯子
»プロデューサー持永拍子(67)
「アウシュビッツ収容所でも数多くのユダヤ人が亡くなりましたが、生存者がいるので世の中にちゃんと伝わっています。でも日本軍731部隊の生存者は1人もいないため、誰も話ができないのです。私たちはそのようなことを伝えたいと思います」
日本政府、生存者なく生体実験「知らぬ顔」
「謝罪の意味」無料公演-老斤里慰霊祭参加
200人で構成された日本人合唱団が、長い間埋もれていた731部隊の話を扱った混声合唱曲「悪魔の飽食」公演のために来月、韓国を訪れる。広報のために先に韓国に来たプロデューサーの持永拍子(67/写真)氏は、「音楽を通じて731部隊で犠牲になった韓国人たちの魂を慰め、35年間の日帝支配も謝罪したい」と話した。
第2次世界大戦当事、日本軍の731部隊は中国黒龍江省パルピンで中国・ロシア・朝鮮人など3000人余りを対象に細菌戦のための人間生体実験を行った。しかし731部隊の関係者たちは、研究結果を米軍に渡すという条件で東京戦犯裁判所の起訴を免れ、戦後日本はずっと731部隊の生体実験を否認してきた。
「悪魔の飽食」は1981年に発行されたノンフィクション『悪魔の飽食』(森村誠一著)を基に作られた合唱曲だ。この本は731部隊の実像を告発し、300万部も売れ、84年には神戸市役所センター合唱団の嘱託により、合唱曲(池辺晋一郎作曲)の形で蘇った。しかし、日本社会が右傾化する中、2回目の公演は10年後の90年に日中友好協会創立40周年記念行事で行われた。その後、日本の敗戦から50年目の95年から「悪魔の飽食」の全国縦断コンサートが始まり、今まで日本の20都市で公演を終えた。
持永氏は「曲の内容に対する拒否感が強いので、合唱団を構成するのが難しく、全国縦断公演をする時は次の公演地に事前に行って市民たちで合唱団をつくり、6ヶ月間練習してから舞台に上がった」と話した。
来月26日午後1時にソウル教育文化会館で開かれる今回の公演では、「悪魔の飽食」だけでなく、911テロ事件を扱った混声合唱曲「正義の基準」、「わだつみ」の演奏、原作者森村氏の談話なども行われる予定だ。公演は来月28日午後7時に清州芸術の殿堂でも行われる。特に清州公演は、この合唱団員として活動していたある教授が、老斤里虐殺事件に関するシンポジウムに参加したことをきっかけに実現した。この前日の27日に、第11回老斤里事件
*合同慰霊祭にも参加し、追悼公演をすることにした。
公演は合唱団員たちの自費で行われ、入場料は無料だ。持永氏は「日本では入場用を受け取るが、外国公演は謝罪の意味と共に多くの方々が来てほしいということから、無料で行っている」と説明した。
文章.・写真/キム・ミンギョン記者
* 老斤里良民虐殺事件
1950年7月、米軍が忠清北道永同郡の黄澗面老斤里にある鉄橋の下で、韓国人の良民300人以上を射殺した事件。