2004年09月13日
注)表題の玄界灘は日本語表記では玄“界”灘ですが、
韓国語の漢字表記では玄“海”灘となります。
げんかいなだ 【玄界灘】
九州北方、対馬海峡から響灘に至る海域。冬は季節風で荒れる。
(大辞林より)
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あんにょ~ん。
この前の週末はMT(ゼミ旅行の大学院版)に行っておりました。
こんな新学期が始まるやいなや唐突になぜ?
→こういった行事は教授の都合により左右されるものなので、
こんな時期になったのでした。
サボっちまおうかとも思ったが、
今学期、私は論文にかかりっきりで授業には出ない。
顔を出しとかないと忘れられてしまいそうなので出ることにした。
それに、今学期からの新入生のなかに、
モンゴル人と中国人(どちらも女の子)がいる。
これは留学生の先輩として薫陶でもタレておこうかと。ぐふふ。
さて、目的地は海の近くのペンション。
参加したのは教授陣が5名。
学生が20名とちょっと。
うち女子は6名。
うち“非”韓国人は私も含めて3名。
何台かの車に分乗して行くのだが、
留学生組はバラバラに配置されていた。
私はもう1年半もこの学校でモマれたから大丈夫だが、
彼女たちは車の中でイジメられてないかと少々不安になる。
↑みなさん親切なので実際にはイジメとかはないが、
外国人だから“珍しいペット”状態になることは必至。
***
さぁ、ペンションに着いた。
しかし夕食(酒)を始めるにはまだ早い。
んなもんだから、みんなで海岸に行った。
そして始まったのはビーチ・バレーならぬ“ビーチ・サッカー”。
照りつける秋の太陽。砂浜に埋まる足元。寄せては返す波。
教授陣はもちろん、女子たちも、みんなどこかに消えてった。
でもモンゴル少女が、私を見つめている。
「せんぱぁ~い、いっしょにサッカーしましょうよぉ~」
と、その黒い瞳は訴えているように見えた。
う…。
アジアはひと~つ。(by岡倉天心)
と、いうわけで、
数年前までは軍隊にいたような20代・30代の韓国男子と
大草原を駆け回ってた(←偏見?)ようなモンゴル少女に
まじってビーチ・サッカー…。
この、体力バカ共がぁ~!
(翌日、やはり筋肉痛でした)
***
日もどっぷり暮れ、ペンションにもどりテラスでバーベキュー。
当然、ここは韓国なので酒もセットになっている。
聞くところによると、
モンゴル少女も中国小姐も酒はあんまり飲めないらしい。
「飲むフリして捨てちゃえばいいさ」
と、先輩ヅラしてアドバイスする。
そうしていると、H教授からビールが入った紙コップがまわってくる。
韓国のマナーでは目上からの杯(?)は必ず受けなくてはならない。
ま、韓国の薄味なビールなんて楽勝さぁ~と、思っていたら…
…ん?…苦…熱…い?このビールぅ?
H教授はしっかり焼酎もブレンドしてくれていたのである。
いつまでも学生気質が抜けない困ったおっさんである。
そんななか、教授陣の中でも年若いK教授が中国小姐に
「高句麗問題についてどう思うか?」と質問している。
「個人にそういった質問するのはかわいそうですよ。」
「そうですよ、やめときましょうよー。」
と周りの席の学生は引き気味に制御。
「いや、彼女の個人的な意見を聞きたいんだよ。」
とヒートアップ気味のK教授。
「よく…、わかりません。」と中国小姐。
ていうかー、中国は“悠久の歴史超大国”のよゆーで
そんな瑣末な問題には関心がないのではないだろうか?
と心の中で思うわたくし。
(なんか、このあたりから記憶がとぎれがちなのでご了承を。)
だんだんイイ気持ちになって飲んでいると、
私の目の前の席にN氏がニッコリと笑って座る。
このN氏、博士課程だが私と同い年の御仁である。
ルックスはヨン様をカリメロ・カットにして北朝鮮オタク(?)にした感じ。
そんな御仁がいきなりヤスクニについて議論をふっかけてきた。
後輩たちは「あちゃ~っ。またこの二人の論争が始まったよ。」
てな感じで、そこには張り詰めた空気が流れたのである。
(ここで“また”というのは、前学期の酒の席でも二人で歴史論争を
やっちゃってたのねぇ。だからってN氏と仲が悪いわけじゃないのよぅ。
5月にあったN氏の結婚式には出てやったしィ。)
さっきまで中国小姐に高句麗問題をふっかけてたK教授も
「この席でそんな話題はやめとけ」オーラを発している。
しか~し、ふっかけられた議論は受けて立とうではないか。
もうN氏だってすでに酔っ払っちゃってるしィ~。
私もさっき、モンゴル絡みでチンギス・ハンの話題が出たときに
「チンギス・ハンは実は日本人の源義経なんですよ!」
と、ギャグかましたかったのに、タイミングを逃していたしィ~。
ところが、ヤスクニ議論が進めば進むほど、
「国のために死んでいった軍人を悼むことには理解する」とN氏。
「じゃ、国のせーで殺された一般市民はどうすんだよ」と私。
ん~?
N氏、韓国人。
私、日本人。
N氏、首相の靖国参拝を条件付で容認。
私、K泉がすることはことごとく気にくわん。
外国に出ると、誰もがナショナリストになると言われているが、
酒が入ってますます“反日的分子”になるわたくし。
「日本に昔っから伝わる神道ってのはなぁ…、もともとぉ…。
だけど国家神道っつーのはぁ…、明治になってからぁ…」
(↑
梅原猛あたりの受け売りで~す。オリジナリティありまへん。)
とクダまきまくりでございました。
話題は他にも歴史問題や領土問題に及んだハズだが、
なんかあんまりよく覚えていない…。
なんとなく覚えているのは…、
あぁ、そうそう、伊藤博文を暗殺した安重根の話題。
私が「日本では本によっては安重根のことを“テロリスト”と
表記してあるのもある」と言うと、激怒したN氏。
いかに安重根が韓国にとって“救国の英雄”であるかを
とうとうと熱説される。
あ、その話の流れで、閔妃暗殺につても話題に出たな。
(しかし、韓国語では「閔妃」と言ってはいけない。
これでは何人もいるお妃のうちの一人のようである。
ちゃんと「明成皇后」と言わないと韓国では通じない。)
で、その皇后を殺したのは三浦っていう日本人なんだけどね。
でも何だか最後のほうは私がムキになって、
「そんなん、歴史のアイロニーじゃい!
ナポレオンだって、国や時代によって評価が違わい!」
と、叫んでたような…。
ついでに涙ぐむ後輩に、コップすりきれ一杯の焼酎を無理やり
「年の差が何歳あると思ってるんだ!」と飲ませていたような…。
(↑韓国は徹底した年功序列社会ですから…)
なんか、フワフワと楽しかった感覚だけが残ってるんだけど…。
気が付けば、午前3時。
みな酔いつぶれて部屋で寝ている。
最後まで残っていたのは5人だけだった。
「酒ばっかで小腹がすいたねー」
と、N氏が野菜の入ったスープを作ってくれた。
「酒のあとは、こんなのがウマイよねー」と食っていると、
N氏がもっと食えと私の口にガンガン押し込んできた。
あれは韓国人特有の“恨(ハン)”だったんだろうか?
それとも、………“愛”?
***
翌朝、後輩たちは二日酔いにも関わらず、
ケナゲに昨晩の宴の後片付けと朝食の準備をしていた。
「いや~、ご苦労。」などと先輩のよゆーでぽへ~っとしていると、
N氏が私を引っ張り、そのペンション内のカフェに連れて行かれた。
(N氏に今さら告られても困るのよねぇ。N氏だって新婚さんだしィ。)
美しい景色を眺めながらの目覚めのコーヒー。
コーヒーの味はイマイチだけど、外の景色はサイコー。
いや~、い~ね~。う~ん、マンダム。
しかし、N氏から最初に発せられた言葉は
『早く結婚しろ』 だった。
ちくしょー、結婚した韓国男子なんかキライだぁ。
薫