さあ、安倍政権の支持率低調のさなか、参議院選挙が目前に迫りました。これから投票日に向けて、どのような“対北イベント”あるいは“北朝鮮は怖いわ報道”が行われるのでしょうか。とりあえず在韓広島人としては、来週か再来週あたりに在外投票をすませ、生あたたかく見守っていこうと思います。
以下は7月5日のハンギョレ新聞の記事です。この記事に掲載された安倍晋三と、その背後にボ~と浮かんだアッキーの写真はブキミです(←ちゃんと警告しましたからね)。それではどうぞ。
“北バッシング”一本道を歩んで孤立-岐路に立つ日本
対北制裁から1年の転換期を迎え
»安倍内閣支持率
拉致問題にメリットなく、北朝鮮の核問題対話路線に焦燥感
日本のマスコミも憂慮-29日の参議院選挙が変数
北朝鮮の核問題における六カ国協議の2・13合意により氷解した朝鮮半島周辺の情勢から日朝関係だけが取り残されている。日本の対北朝鮮制裁のためだ。これを本格化した北朝鮮のミサイル発射1周年を迎え、対北制裁が曲がり角に差し掛かっている。対北制裁を主導した安倍晋三政権が選挙を目前にしながらも人気が凋落しているうえ、最近の朝鮮半島周辺情勢における雪解けの雰囲気の中で外交的に孤立しているためだ。
対北制裁の先頭に立っていた日本=昨年7月5日、北朝鮮が弾道ミサイル・テポドン2号などを含む7発のミサイルを日本海に相次いで発射し、安倍晋三官房長官(当時)を中心とした日本政府は絶好の機会を迎えたかのように即刻、強硬制裁を展開した。ミサイル発射当日、即刻万景峰号の入港禁止などを発表し、それに続いて国連安保理決議文の採択も主導した。
3カ月後の10月、北朝鮮が核実験まで強行すると安倍首相は国連安保理決議に基づく経済制裁を行うばかりでなく、二度におよぶ北朝鮮製品の輸入および北朝鮮国籍保有者の入国、
奢侈品輸出禁止など別途の制裁措置をとった。さらに北朝鮮の脅威を口実にアメリカと共同開発中のミサイル防衛(MD)体制導入を急ぎ、憲法で禁止されている集団的自衛権(同盟国が攻撃を受けた場合、自国への攻撃と見なして反撃する権利)の行使に着手するなど、軍事的膨張の動きが露骨になった。
2・13以降、孤立した日本=北朝鮮の核実験後、ジョージ・ブッシュ行政府は対北圧力から対話へ方向転換を試みたが、日本は依然として従来の強硬路線を進んだ。バンコデルタアジア(BDA)問題解決後は2・13合意内容が着々と現実化している中、日本としても対北強硬路線を憂慮する声が高まっている。安倍政権に友好的な『読売新聞』は5日、「対北制裁、圧迫路線に停滞感」という題の記事で拉致および核問題の解決で日本の外交力が試されていると指摘した。対北制裁の主目的である拉致問題解決に対して強硬圧迫路線では、何のメリットも見出せないためだ。
クリストファー・ヒル米国務次官補が先月21日、南北朝鮮・米・中の4者が「朝鮮半島の恒久平和体制合意」に向かうことを打ち出すと、安倍首相はいきり立った。拉致問題が完全に後回しにされるかもしれないという憂慮のためだ。北朝鮮も4日、『朝鮮中央通信』の報道を通じて「日本が六カ国協議に参加するということは、どの観点から見ても不安定要因」であると主張した。塩崎恭久官房長官は4日、記者会見で北朝鮮が寧辺の核施設を閉鎖する前に重油の一部をまず受け取ることを米政府が同意すると、「まず核施設の閉鎖が確実に行われなければならない」と焦燥感を表した。
『日本経済新聞』は5日、「日本政府の一部では北朝鮮との対話路線を鮮明にするアメリカに不信感をつのらせはじめた」と報道した。対北朝鮮専門家である鈴木典幸ラヂオプレス理事は、『ハンギョレ』との電話によるインタビューで「日本政府の圧力路線は北朝鮮の核問題を交渉のテーブルに上げるには寄与したが、拉致問題解決の役には立たなかった。日本政府の対北外交政策は、バランス感覚が欠けていた。拉致問題は対話を通じて解決していくしかない」と指摘した。
分水嶺はいつ?=今月29日に行われる参議院選挙の結果は、日本政府の対北政策における変化の分水嶺になると見られている。内閣支持率が30%以下にまでなった安部政権が惨敗して退陣した場合、新政府は対北政策を変えざるを得ない。安倍首相が辛うじて政権を維持したとしても、以前のように対北強硬政策をとり続ける指導力や求心力を確保することは容易ではないだろう。
東京/キム・ドヒョン特派員