日本でも先日封切された『グエムル 漢江の怪物』ですが、あれはスッゲーおもしろい映画です。今年みた映画の中では文句なく一番でしょう。
(ってか、今年見た映画が『SAYURI』だとか『ダ・ヴィンチ・コード』だとかのウンコ映画ばかりだったという理由もありますけどね・・・。そーいえば今週末から『ホテル・ルワンダ』が公開されるので、それを見たらまた順位は変わるかもしれませんが、とりあえず今のところ今年の一番です。)
『グエムル 漢江の怪物』は韓国では7月下旬に公開され、次々と興行記録を更新していった映画ですが、・・・スミマセン・・・、ワタクシ、今さらのように先週末に初めて見ました。この夏、何度か映画を見る機会があったのですが、席がなかったり(韓国の映画館は全席指定)、時間が合わなかったりで他の映画を見てしまったりしていました。
日本のみなさんに先駆けて見ていればガンガン、ネタバレできたのに。ちっ、韓国に住んでいるアドバンテージ(?)をちっとも活かせていないゼ。
んで、今さらネタバレやってもおもしろくないんで、ストーリーについてはあまり触れないことにしておきます。
この映画について、「CGがヘボい」という意見はよく聞かれますね。確かにハリウッドの超大作なんかに比べると、映像自体はかなり見劣りがするでしょう。
でもね、この怪物が出てくる間合いというか、タイミングというか、ものスゲー「フツー、ここで出るか!?」ってなトコで出てくるので、ハラハラしっぱなしなんですよ。この映画を一緒に見に行った中国小姐が、横でキャーキャー言ってましたモン。(ワシがオッちゃんなら、「ヨシヨシ、何でも買っちゃろう」という気分になっていたでしょう)
あんなヌイグルミくさい怪物が出てきた時点で、フツーその映画は荒唐無稽なものになってしまうのでしょうが、この映画にはそれをカバーして余りあるほどの迫力があります。
そして、韓国特有の
暑苦しいまでの家族愛が満載です。日本人の感覚だと、「父親や祖父は出てきても、叔父や叔母まではフツーは出てこんだろう?」と思ってしまいますが、この映画では大活躍しちゃいます。三親等も離れていると、“親戚”って考えちゃいますが、韓国では“家族”になっちゃうようです。
(ここで「ホレ、見ろ。
韓国は夫婦別姓だけど家族の絆は
暑苦しいほど強いゾ!」と言おうと思いましたが、しまった~!この映画には母親もヨメもばーちゃんも不在だった~!この映画に出てくる家族はみィんなパク姓だった~!)
この家族愛によって、ホロっとさせられるシーンも多いのですが、その涙も乾かないうちから笑わされてしまうという、ものすごいテンポの速い映画でもあります。
で、この映画は私の中では間違いなく“おもしろい映画”のカテゴリーに入るのですが、絶対にしてほしくないことがあります。
それは“
ハリウッドによるリメイク”。
考えただけでもイヤ~んな感じですが、実際にありそう~。
この映画のベースにあるものの一つは、韓国人(特に若い世代)の鬱積した“反米”や“反政府”とまではいかないまでも、アメリカや社会全般に対する不信感のようなものなんですよ。
そういったものをスッとばして、ただ金を使った迫力だけはある映像でリメイクしても、中身のうすっぺら~い映画になってしまうでしょう。
しかもこの映画のラストは、ハッピー・エンドではありません。同じくボン・ジュノ監督による『殺人の追憶』のような、なんともやるせない、でも世の中ってこんなもんなのかな、っていうような終わり方をしてしまいます。
そんなの「アメリカ人には無理でしょ?」ってなワケで、この映画のリメイクには大反対なのです。