20XX年、教育基本法改○により教育現場が混乱したという想定で、アルフォンス・ドーデの名作、『最後の授業』をモチーフに書いてみました。
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「皆さん、私が授業をするのはこれが最後です。今後、学校では、“愛国心”だか“我が国と郷土を愛するホニャララな態度”だかなんだか先生にはよく理解できないのですが、まぁ、そんなのを教えなければいけなくなり、先生のような“反日的分子”は教えてはいけなくなりました。新しい
歴史教科書をつくる会 先生が明日見えます。今日は社会科の最後の授業です。
まず、先生が“反日的分子”を自認していることについて説明しましょう。思い起こせば2004年の春だったかなぁ。KシムラTケアキという広島選出の参議院議員がイラクで人質になった日本人に対してこの言葉を使ったんだな。先生、忘れっぽいからなんで日本人がイラクにいたのか思い出せないんだけど、確か、当時のイラクでは戦争も終わったし、独裁者もいなくなったしでフリーダムな国になってハッピー!って状況だったんだ。だからその人たちも安心して行ったんだと思うんだな。その頃の自衛隊は戦争をしてはいけないことになってたんだけど、その自衛隊が行ってたんだから非戦闘地域だったんだよ。
だったらファルージャでもカブールでも派兵しやがれってんだ。
あ、追加で説明しておくと、独裁者が…、あ、この独裁者っつーのはイラクをそれまで統治していたサダムってやつだ。アメリカのことじゃないぞ。で、その独裁者がイラクの国を大量破壊兵器でめちゃくちゃにしてしまったから、その復興のお手伝いに日本の自衛隊が派遣されていたんだな。え?なんでそのサダムが自分の国をめちゃくちゃにしたかって?そりゃ、“独裁者”だからさ。え?そもそも大量破壊兵器なんてイラクにあったのかって?
そんなこと私に聞いたってわかるわけない。あ、先生、コーフンして声が大きくなっちゃった。とにかく、ま、自衛隊は今でもイラクにいるわな。自衛隊の人たちは、いまでもイラクの復興のためにがんばっているんだ。だから反対するビラなんか配ったら捕まっちまうゾ。
そんなフリーダム・イラクで日本人が人質になっちゃったってのも、今考えるとおかしな話なんだけど、とにかくなっちゃったんだな。そこで、さっき言ったKシムラ議員の発言だ。これに対して「戦時中の“非国民”という言葉を想起させる」と言って批判した人がたくさんいたんだ。この戦時中っつーのは、第二次世界大戦の最中って意味だな。え?その戦争ではドコとドコが戦っていたかって?そりゃ、日本と中国に決まってるだろ。え?たった2カ国なのになんで“世界大戦”なのかって?まぁ、ヨーロッパの方ではドイツとフランスなんかが戦ってからな。ん?ドイツとフランスってどこだって?EU連邦の中にあるだろ。今は溶けてなくなっちゃったけどな。
ま、そんな先生のじいちゃんたちの世代の戦争当時を思い出させるような古臭い言葉を使うなんて、元
『お笑いマンガ道場』の司会 アナウンサーのくせに、ムキーっ!となった人がたくさんいたんだな。でも、先生、そのとき思ったんだ。「非国民ってヒビキがかっちょい~」って。だって、他の人がみんなマンセー!ってやってる中で、ごく少数で、「必死だな(藁」とかってピンポンダッシュするのが非国民じゃないか。だから先生、非国民はちょっと古臭いけど、反日的分子なら今っぽいのかなと思って、“反日的分子”を名乗るようになったんだ。
ん…?
いま入ってきたのはアルフォンスか?お前はアルザス・ロレーヌ地方を舞台にフランス語が禁止されちゃってカワイソーみたいな小説を書きやがって。実は、この地方はもともとドイツ語に近い言語を使っていて、フランス語は一部のブルジョアしか使ってなかったそうじゃないか。プロパガンダ小説だって説もあるぞ。でも1985年に排除されるまで小学校の国語の教科書にけっこう載ってたから、先生より上の世代の人たちはコロっとダマされちゃったぞ。ま、先生は国語の授業は
フランツ少年の頭の上にう○こ描いて遊んで まじめに受けなかったから、その内容なんてほとんど覚えてないけどな。おかげで今回、いっぱいググっちゃったじゃないか。そんなお前が最後の最後まで遅刻か。え?デモで忙しかったって?ま、今日の授業は最後だからな。早く席に着きなさい」
長くなっちゃったので ≪ つづく ≫
* 参考 *
アルフォンス・ドーデ「最後の授業」
Wikipedia「最後の授業」