日本の政権交替と「検風」/李鍾元
総選挙を控えた日本の政界に時ならぬ突風が吹き荒れ、一寸先も見えない状況だ。遅くとも今年の9月までには実施される総選挙で、執権可能性が有力視されていた第1野党民主党の小沢代表の核心秘書が選挙資金規正法違反の疑いで電撃逮捕されたからだ。小沢代表は元々自民党田中派の「系統」を引き継いだ政治家で、建設業界を基盤とした金権政治の典型としてあげられてきたのも事実だ。巨額の政治資金を確保してきた能力が「大物政治家」という位相の基盤であると同時に、小沢代表の政治的弱点でもあると指摘されてきた。伝統的手法の政治家として、民主党の選挙における勝利に貢献できるが、政治資金をめぐる不透明性のために総理のような公職に就くには弱点があまりにも多すぎるという見解が、以前から少なくなかった。
しかし、同時に今回の捜査のタイミングや手法などにも異例な点が少なくなく、検察捜査の政治的背景や意図がもう一つの争点として浮上している。今回問題になったのも、秘密献金や収賄のような直接的な不法行為ではなく、特定企業から受けた献金を別個の政治団体の献金であるように分散偽装した一種の脱法行為だ。日本の政界にまだ根深く残る政治資金授受の構造的問題の一つの段面であり、小沢代表だけの明白な不法献金だと判断するのは困難だという見解が多い。今までは、このような迂回献金が問題になった場合には政治資金の返還や記載変更措置がとられる程度が一般的だったそうだ。その上、数年前から持続的に行われた政治献金に対して、総選挙を控えた時点で議員秘書の電撃逮捕という強硬捜査をしたことは、非常に異例なことだといわれている。小沢代表と民主党指導部が検察の「国策捜査」「政治的標的捜査」だと反発しているのは当然だと言えるが、日本のメディアや世論にも検察捜査の正当性に疑問を呈する論調が少なくない。その背景には選挙を通じた政権交代に対する期待感と共に、「国民の選択」が政権と官僚機構の力によって源泉封鎖されることに対する警戒感が伺える。
今回の事件直後に実施された主要新聞社の世論調査結果は、依然として日本国民の多数が選挙を通じた政権交代を支持しているという事実を逆説的に示している。3月6日と7日にわたって実施された『毎日新聞』の調査によると、応答者の57%が小沢代表は責任をとって党首を辞任すべきだとした。しかし、「次の総選挙でどの政党が勝つことを望むか」という設問に対しては、「自民党」29%に対して「民主党」は40%に達した。「誰が総理に相応しいか」という質問に対しても「小沢」(13%)が「麻生」(10%)を僅差で上回った。このような傾向は、他の調査でもほとんど共通していた。「小沢代表は退かなければならないが、民主党による政権交代を期待している」ということが無気力な状態にある政治界を眺める日本国民の複雑な心境のようだ。
状況は依然として流動的だ。「標的捜査」という批判を受けている検察は、捜査の対象を自民党の有力議員にまで拡大させる動きを見せている。内部に多様な勢力を抱えている民主党が、小沢代表辞任以降に団結した姿で選挙戦に挑めるかは未知数だ。「検風」に続き、「北風」も一つの変数になるかもしれない。北朝鮮の「人工衛星」発射が波乱を巻き起こすことになれば、対北強硬路線の麻生政権としては国内政治的な立地を強化する契機となりうるだろう。日本の国内政治状況は、朝鮮半島情勢とも密接な相関関係を持っているという点で、注目する必要がある。
李鍾元/立教大学教授・国際政治
『ハンギョレ』 2009年03月13日