韓国社会を騒然とさせた猟奇的な連続殺人事件の犯人が逮捕された。世間の注目が集まる中、裁判が開かれたが、裁判中も被告は常に冷たい薄ら笑いを浮かべ、反省の色はまったく見えなかった。そんな被告に対し、巷では死刑を求める声が高まる。韓国では1998年以降、死刑が執行されたことはなかったが、死刑制度が廃止されたわけではないため、当然のことながら被告には死刑判決が下された。死刑囚となった連続殺人犯は、自分に対して「殺人鬼!」と叫ぶ人々を蔑むかのような不適な笑いを浮かべながら拘置所に護送されていった。
報復感情が高まった世論を受け、韓国政府は実に12年ぶりに死刑を執行する決定を下した。連続殺人犯は異例とも言えるスピード執行だが、その他にも高齢の死刑囚も含む、10人に対して死刑が執行された・・・・・・というのは、今月から韓国で公開されている『執行者』という映画の中でのお話です。
韓国は実際には、自らもかつて死刑囚であった金大中大統領が就任して以来、死刑は執行されておらず、「実質的な死刑廃止国」とされています。人権派弁護士だった盧武鉉大統領も死刑制度を廃止することはできなかったものの、同政権下で死刑が執行されることはありませんでした。
しかし現在の李明博大統領は、候補者時代に「犯罪を予防するという国家としての義務を果たすため、死刑制度は維持しなければならない」とも明言しており、しかも死刑制度廃止の動きは沈滞していることから、映画の話が現実になる可能性がないわけではありません。
そしてこの映画のキーポイントの一つは「世論」でした。映画の中で法務大臣の死刑執行のサインが入った書類を持ってきた役人に対し、執行する側の刑務所の職員は「なぜ突然・・・」と問いかけます。その返事は「世論のこともありますから、政府としても態度で示さないと」でした。
日本でも、韓国でも、凶悪犯罪が起こるたびに出てくるのは「遺族感情(に対する世論の同情)」です。しかし犯罪者が死刑になったからといって、遺族の感情は癒されるのでしょうか。この映画では、被害者の姉が死刑囚となった殺人犯に面会するシーンがあります(制度的に、被害者遺族が死刑確定した加害者に面会できるのかは不明)。
そのシーンで彼女は「何度でも殺してやりたい。でも(そんなことをして)お前と同じになりたくはない」と言い放ちます。そのセリフには決して癒されることのない悲しみと怒り、そして諦めのようなものが込められています。
連続殺人犯は死刑執行の前日に自分の頚動脈を切って、自殺を試みますが、刑務所側はどうしても死刑を「執行」しなければならない立場のため、刑務所の医師に絶対に死なせてはならないと厳命します。連続殺人犯は死刑執行の瞬間まで悔恨の情を見せることはなく、世間に対する怨嗟の叫びをあげながら絞首されます(韓国の死刑方式は日本と同じく落下式の絞首刑)。
彼の顔に被せられた白い布には、自殺の痕から真っ赤な血がにじむ・・・もうこのようなシーンを見せられると、一体なんのために死刑が執行されるのか、一体どんな意味があるのか、わからなくなります。
最後の方で、食堂のおばちゃんがテレビで「死刑囚10人に執行」というニュースが流れるのを見ながら「こんな悪いやつら、さっさと殺しちゃえばいいのよ」とつぶやくシーンがあります。しかし、その10人の中には過去を悔いながら年老いた死刑囚もいました。そんな死刑囚を殺して世の中が良くなるのでしょうか。それに連続殺人を犯すような人間としての感覚が麻痺したような極悪人ならば、あっさり殺してしまうよりも、死ぬまで懺悔させる方がよっぽど残虐なんじゃないでしょうか。
この映画、日本で公開されるかどうかわかりませんが(内容が内容だし、韓流スターも出ていないので公開されない可能性が高いと思います)、機会があればぜひ見ていただきたい映画です。
P.S. ちなみにこの映画の主人公は公務員試験に受かったばかりの新人刑務官で、死刑を執行する側の苦悩をメインに描いています。
* 参照 *韓国における死刑
日本民主党政権と外国人参政権/李鍾元長年の課題だった日本永住外国人の地方参政権問題は、果たして実現するのか?日本社会の大きな転機となる参政権実現が、最終段階を迎えている。以前から参政権付与に積極的だった民主党政権が誕生することで、現実的な可能性がにわかに高まったのは事実だ。
しかし最近、参政権付与法案をめぐって民主党が右往左往する姿を露呈しながら、展望を多少不透明にしている。若干の「騒動」の果てに、政府と民主党間の党政最高会議で、参政権法案に関しては今回の臨時国会には提出せず、今後の処理を小沢幹事長に一任するということにまとまった。推進派である小沢幹事長が「全権」を譲り受けた形となっているため、肯定的な部分もあるが、鳩山首相など政府が責任を小沢幹事長になすりつけた側面も小さくない。これからの焦点は、来年1月から始まる通常国会に民主党が法案を提出するのかに集まっている。韓国民主党の丁世均(チョン・セギュン)代表との会談で、小沢幹事長は「やがて片が付く」と言った。「いつか」あるいは「最終的には」とも翻訳できる、かなりあいまいな表現を使った。当初に推進しようとしていた議員立法ではなく、政府立法でする方がいいという見解も明らかにした。政府と与党がボールを投げ合い、責任をお互いに転嫁しているように見えもする。
今、民主党政権、特に小沢幹事長の最大の関心事は、来年7月の参議院選挙での勝利だ。中間評価の性格を持つこの選挙で単独過半数を獲得することになれば、民主党政権は安定基盤を備え、長期執権まで狙えるようになる。選挙が参政権問題に与える影響は両面どちらもある。重要な選挙を控え、外国人参政権のような世論が分裂して対立的な争点は、なるべく避けようという政治的計算と力学だ。鳩山首相をはじめとした民主党政権の指導部が、従来の積極推進論から慎重姿勢に後退しているのも同じ脈絡にある。
しかしもう一方で、今年の8月の総選挙でもうかがえたように、組織基盤が弱い民主党において、民団(在日本大韓民国民団)など在日の組織的・個人的支援が小さくない力になるという現実もある。あの総選挙では、特に民団が全国を対象に参政権付与に積極的な民主党候補を重点的に組織的支援を展開し、民主党の圧勝に一定の寄与をした。民主党としては来年の参議院選挙のためにも参政権問題に具体的な成果を提示する必要がある。選挙を直接担当することになる小沢幹事長の動きには、このようなジレンマが表れているともいえるだろう。
在日韓国・朝鮮人が大多数である永住外国人の地方参政権実現という観点から、現在の重要な政治的機会に直面している。8月の総選挙での当選者を対象にしたアンケートによると、現職衆議員の半数を超える53%が参政権付与に賛成している。与党民主党は、賛成が67%に達している。公明党、社民党、共産党はほとんど全員が賛成である一方、自民党は反対派が54%、賛成は7%に過ぎない。
政界の勢力分布という面では、展望は暗くない。しかし今回の臨時国会での法案提出が挫折した経緯からも見えたように、日本社会全体の世論はまだ成熟しておらず、反対や慎重論が根深いのも事実だ。マスコミもそれほど積極的な支持姿勢を見せていない。来年の通常国会に照準を合わせた立法措置を追求しながら、同時に日本社会内の肯定的な世論形成を体系的戦略として推進する必要がある。ここでは日韓の不幸な100年の歴史を総括しながら、新しい時代を迎えるという視点に立った韓国政府と社会の包括的な対日外交が果たす役割も少なくない。
李鍾元/立教大教授・国際政治
『ハンギョレ』 2009年11月13日
鳩山外交と日朝交渉/李鍾元鳩山民主党政権が日朝交渉の再開に向けて助走を始めた。最近、日本政府は政権交代後初めて開かれた臨時国会で、当初の方針を変更して北朝鮮の貨物検査特別措置法案を提出しないことを決定した。国連安保理の制裁決議を実行するために、前任の麻生政権の頃から進められていたもので、民主党も総選挙のマニフェスト(政権公約)では立法化推進を打ち出していた。執権以降、民主党新政権の対応が注目されるなか、以前の自民党政権とは違って「圧力」よりは「対話」を重視するという姿勢を具体的に表明したものだ。
先週、北京で開かれた日中韓首脳会談でも、鳩山首相の融和的な発言が耳目を集めた。中国の温家宝首相から金正日国防委員長との会談内容に関して詳しい説明を聞いた鳩山首相は、「日朝関係を改善したいという金正日総書記の意向も伝え聞いた。その言葉を信じたい」と積極的な姿勢を見せた。また、「二者会談が決して六カ国協議と矛盾するものではないという温家宝首相の発言に同意する。北朝鮮に具体的な行動を促すための段階としての二者会談は意義がある」という発言は、米朝二者会談の容認であるだけでなく、日朝の接触に向けた布石だとも解釈された。
日朝間の会談は、民主党政権発足直後から始まった。鳩山内閣が成立した翌日の9月17日、北朝鮮の『平壌放送』の論説は「日朝両国が平壌宣言を尊重し、これを遵守履行していくならば、両国間の懸案は遅滞なく解決し、関係正常化に向かう肯定的な成果を得るだろう」と提案した。これに答えるかのように鳩山首相は9月24日、国連総会の演説で「平壌宣言に則り、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を誠意をもって清算して国交正常化を図っていく」という方針を鮮明にしながら、「北朝鮮による前向きかつ誠意ある行動があれば、日本としても前向きに対応する用意がある」と表明した。具体的には昨年に合意した拉致問題の再調査の「開始」が「日朝関係進展の糸口」になると指摘し、繰り返し北朝鮮の具体的かつ誠意ある行動を促した。
昨年8月、福田政権末期に日朝両国は拉致問題の再調査と日本の部分的な制裁解除を同時に実施して日朝交渉を再開することに同意した。しかし、その直後福田首相が突然辞任し、後任の麻生首相が強硬姿勢に旋回したことで、合意した内容の実行が霧散したのだ。既存合意を復活させ、再起動することは外交交渉上それほど難しいことではない。だが問題は、北朝鮮が再調査の結果として提示する「成果」が果たしてどんなものなのかという点だ。昨年、福田首相が最後まで合意に躊躇し、日本政府内に慎重論が絶えなかった理由もここにあった。もし当時から推測されていた通り、北朝鮮が死亡者に関する説得力のある追加情報と共に、新たな拉致生存者の存在と帰還まで含む具体的な行動を提示するならば、日本民主党政権としても世論に対して「外交的成果」を主張しながら日朝交渉を本格化することができるだろう。現在、水面下で進められていると伝えられている日朝の接触でも、これが最大の争点であることは容易に見当がつく。
発足から1ヶ月が過ぎた民主党政権は、予想よりは安定した様子で高い支持を得ている。長期政権に照準を合わせることになる来年夏の参議院選挙に勝つために、児童手当、農家直接補償など支持基盤確保を狙った政策も相次いで施行態勢に入っている。ここに日本世論の関心が集まっている拉致問題を「進展」させることができれば、国内政治的にも大きな資産になる。日朝交渉の動向を見ながら、日本民主党政権も積極的な対北朝鮮政策の時期を見計らっている。
李鍾元/立教大教授・国際政治
(『ハンギョレ』2009年10月16日)
日本政治の「革命的変化」/李鍾元日本の総選挙が明日に迫った。戦後日本の政治史上、初めて国民の直接選挙により政権交代が行われるという「歴史的事件」の日でもある。民主党の勝利は、ほぼ既成事実として受け入れられているという感じだ。最近の朝鮮半島情勢の講演をするために訪れた島根県のある集会でも、民主党の勝利を前提にした「鳩山政権」の外相などの主要閣僚や外交政策の展望に関する質問が相次いだ。ある地方新聞が主催した集まりで、自民党を支持してきた地方の有志が主な構成員だったため、「民主党政権」の方向性に対する憂慮が支配的だった。長年にわたって地域社会に君臨し、地方政界を牛耳ってきた保守層が、突然、目の前に現れた「政権交代」の巨大な波に対して感じる困惑や不安、そして諦念をあちこちで確認することができた。
先週、選挙運動が公式に始まった直後、マスコミ各社で実施された世論調査や情勢分析は、一様に「民主党圧勝」を予測した。総議席数480のうち、300から330議席を占めるという驚異的な内容だった。現在の議席数115議席の3倍近い大躍進であり、改憲のラインを超える巨大与党が出現することになる。一方、自民党は現在の300議席から100議席以下のほぼ崩壊に近い水準の大敗が予想されている。専門家たちが当惑するほど巨大な「政権交代」台風だ。選挙期間中、世論調査の「アナウンス(発表)効果」も今回の選挙で「バランス」(均衡)でない「バンドワゴン」(偏勝)現象が顕著だった。「民主党の圧勝」という報道が、民主党の支持を一層加速化しているのだ。日本社会特有の「大勢順応(偏勝)主義」という指摘もあるが、それほど自民党政治に対する累積した不満が大きいということを示している。昨日、発表されたマスコミ各社の選挙直前情勢調査でも、「民主党300議席以上」の勢いは衰える兆しを見せていない。
鳩山民主党代表は、今回の選挙の意義について「革命的目的を持つ政権交代」と宣言した。日本の政治家が「革命」という用語を使うことはとても異例なことだ。日本の国民は急激な変化を嫌い、安定と安心感を求めるということは、ほぼ常識化している。日本は歴史的に「革命」と称される事件が存在しない、世界史的にも珍しい国でもある。明治維新のような事実上の官製革命も、「革命」ではなく「伝統への回帰」として説明される。鳩山代表自身が「革命」の内容について体系的な説明をしていないが、単純な政治的表現に終わるのではなく、日本社会の巨大な枠の変化、すなわちパラダイムの転換を志向しようとしているのは事実だ。
抽象的だと批判されることが多いが、鳩山代表は「友愛」あるいは「友愛革命」という概念を自分のビジョンとして提示している。祖父である鳩山一郎元首相から受け継いだものだそうだ。その源をたどればフランス革命の「博愛」につながる。これは社会共同体の横の連帯を強調する価値だと言えるだろう。鳩山一郎元首相はこれを資本主義と市場経済の弊害を修正する、健全な保守主義の一つの土台とした。今回の選挙で自民党が苦戦している背景には、小泉政権以降、強行された市場原理の新自由主義の改革が生んだ社会経済的格差や、これに対する反発が決定的に作用している。鳩山代表の「友愛革命」論は、旧社会党系列の社会民主主義とも脈を通ずる側面がある。アメリカのオバマ政権に続き、日本「民主党政権」の誕生は、一世を風靡した市場原理至上の新自由主義に代置する新しい政治経済の日本モデルを模索する一歩として記録されるだろう。
李鍾元/立教大教授・国際政治
(『ハンギョレ』2009年08月28日)
Daumの次はどこへ?『ハンギョレ21』[2009.07.24第770号]
[特集]「左右のバランス」をとるために『プレシアン』、『ビュース・アンド・ニュース』を排除し、アゴラViewのインターフェイスを使いにくくするなど、氾濫する外部圧力に苦肉の策▣イ・テヒ
»Daumの次はどこへ?写真『ハンギョレ21』キム・ジョンヒョ記者7月1日、インターネット・ポータル、DaumのメディアDaumから2つのメディアが消えた。進歩的なネットメディアとしてあげられる『プレシアン』と『ビュース・アンド・ニュース』だ。翌日2日、『朝鮮ドットコム』には「Daum、ニュースサービスから『プレシアン』の記事を除外」という記事が出た。『朝鮮ドットコム』は、Daumが「1日からニュースサービスであるメディアDaumに『プレシアン』で作ったコンテンツをあげていない」と明らかにしたと報道した。
『プレシアン』が抜けた日、『ハンギョレ21』の記者と会ったDaumのある高位関係者は、「少なくない政治的圧力があった」と断言した。その翌日の7月3日、『プレシアン』のパク・インギュ代表とDaumのチェ某メディア本部長がソウルのあるレストランで会談した。2人は『京郷新聞』の先輩・後輩の関係で、普段からよく会っている間柄だ。パク・インギュ代表の話だ。
Daum側、「トラフィック寄与度が低い」「その席で私が「『プレシアン』が抜けたことが政治的圧力のせいなのか?」と聞くと、チェ本部長は「そうではない」と言った。だから「政治的圧力の有無については後で明らかになるはずだから、ニュースコンテンツとして『プレシアン』の弱点があるなら指摘してくれ」と言った。チェ本部長が「『プレシアン』の記者は事実と意見が混在していて、意見の方が強くて負担だ」と言った。また、「去年の8月以降、メディアDaumから朝・中・東が抜けてから『プレシアン』などの進歩的見解を持つメディアに比べ、保守的なメディアが少なく、政治的バランスをとることも容易ではない」と言った」
パク・インギュ代表は「チェ本部長は政治的バランスをとるという趣旨で下された決定だと言ったが、陰に陽に政治的圧力を感じた結果、『プレシアン』を抜いたのだと思う」と付け加えた。
Daum側は政治的圧力説を否認した。メディアDaumを担当しているチェ本部長は、『ハンギョレ21』との電話インタビューで「パク・インギュ代表に会ったときも十分に説明をしたが、他で解析されていることとは違って今回の決定に政治的理由があるわけはない」、「Daumの内部基準に合わせて決定した事案について、政治的な解析が出てくることには納得がいかない」と話した。チョン・ジウン広報チーム長も「メディアDaumと各メディア間のメディア提携方式に対する価値測定の結果、『プレシアン』と『ビュース・アンド・ニュース』のトラフィック寄与度が低いという評価が出たため、契約を解約することになった」と明らかにした。Daumの対外協力本部も「青瓦台や政府が民間企業に対して、特定メディアを排除しろと圧力をかけることはできない」と断言した。
内部事情は違った。Daumのある役員は、「政府・与党側から保守と進歩のバランスをとる必要があるため、メディアDaumに『ニューデイリー』を載せろという要請を受けたことがある」と語った。実際にDaumは『ニューデイリー』を新しいコンテンツ供給メディアとして登録するかを議論し、留保したと伝えられた。現在、メディアDaumに保守的インターーネットメディアとしては『デイリアン』だけが登録されている。あるメディア担当記者は、「『ニューデイリー』は2007年の大統領選挙の過程で『デイリアン』から分かれてできた」「『デイリアン』が「親朴槿恵」的な性格が強くて、『ニューデイリー』は「親李明博」的な性格が強いと見ればいいだろう」と語った。政府・与党から『ニューデイリー』のコンテンツを供給するようにしてくれと要請されたことは「親李系メディア」を支援しようという意図もあると解釈できる。Daumの他の関係者は「政府から持続的にメディアDaumの政治的バランスをとれと圧力的な要請がきていた」、「結局、インターネットメディアでは進歩的メディアとして『オー・マイ・ニュース』、保守的メディアとして『デイリアン』のみを残し、『プレシアン』と『ビュース・アンド・ニュース』を抜くことになった」のだと明らかにした。
»メディアDaumにニュースを供給するメディアの名簿(上)。7月から『プレシアン』と『ビュース・アンド・ニュース』はここから除外された。去年の狂牛病政局で、抵抗的なネチズンの空間となったアゴラ(左下)とview(旧ブロガーニュース)は、政府と与党の集中的な弾圧の対象だ。「朝・中・東」コンテンツの供給を拒否しながらバランスを「政治的バランスをとれ」という要求は、常に最近の状況を無視した論理が起きないことがない。メディアDaumに進歩的言論が多く残ることになった理由は、「朝・中・東」がコンテンツ供給を拒否したからだ。『朝鮮日報』を中心に『中央日報』、『東亜日報』、『韓国経済』などは、昨年7月に一斉にDaumとの関係を終わらせた。DaumアゴラとDaumカフェを中心に活動する「言消主」(言論消費者主権国民キャンペーン)が行った朝・中・東の広告主の不買運動が、決定的な契機だった。『朝鮮日報』は昨年9月には「Daumが相当期間、我々の著作物を大量に無断で使用し、損害額が少なくとも90億ウォンにいたる」とし、その一部である10億5700万ウォンを支給しろと損害賠償請求訴訟を起こした。
トラフィックを理由に『デイリアン』は残しておき、『プレシアン』を除くことは現実でも合っていない。『プレシアン』はインターネットポータルであるNaverには「オープンテスト」メディアとして登録されている。Naverは最初の画面のニュース編集権を「オープンテスト」という形式で各メディアに引き渡した。オープンテストに登録されたメディアは、全部で35だ。Daumが残した『デイリアン』は、ここに含まれていない。
Daumの役職員は、昨年の牛肉政局以降、陰に陽に外部的圧力が氾濫していると口をそろえた。Daumのある高位関係者は、「キム・チョルグン青瓦台国民疎通秘書官が、メディアDaumを担当しているチェ某本部長にしょっちゅう電話している」、「青瓦台の電話が活発なコミュニケーションである場合もあるが、圧力として感じるのではないか」と話した。キム・チョルグン秘書官は、2006年から2年間、Daumの副社長として勤務した。チェ本部長は「同じ職場で一緒に働いていた者同士だから、普段から電話で話せるのだ」、「圧力として感じるような電話はなかった」と話した。キム・チョルギュン秘書官も「親しい間柄だから、電話を心置きなく話せるんじゃないんですか?」、「会話の内容は極めて私的な内容」だと話した。
Daumの他の関係者は「昨年の中旬から検察や警察からチェ某メディア本部長にしょっちゅう電話がかかってくる。特定掲示板に対する抗議と遮断要請をしたらしい」、「午前1~2時に電話がかかってきたことも何度もある」と話した。チェ本部長も人に話せない事情に気を病んでいるという説明だ。Daumのある元役員も「警察庁のサイバー捜査隊をはじめ、警察レベルでDaumアゴラを監視する要員だけでも70人を越える時期があったそうだ」、「これらが24時間アゴラにあげられる書き込みを検閲する役割を果たした」と伝えた。これらは警察に対する名誉毀損の疑いがある書き込みを見つけ出す一方、特定の政府部署や与党議員を批判する書き込みがあればこれを当事者に通知する役割を果たしたという証言もある。Daumの関係者は「メディア本部で与党の実勢国会議員室から「警察から連絡があったが、あれこれ問題があるので該当の書き込みをすぐに遮断してくれ」という電話がかかってきたことがある」、「警察でこのようなこともするのかと思った」と漏らした。
»ソウル瑞草洞にあるポータルDaum本社2階のカフェテリアで、あるネチズンがインターネットに没頭している。写真『ハンギョレ21』キム・ジョンヒョ記者Daum法務チームの関係者は、「最近はDaumカフェにあげられている著作権違反コンテンツや猥褻物に対する警察の押収捜査要請が大幅に増えた」とし、「今月の頭から施行された改正著作権法で強化された処罰条項のため、萎縮する雰囲気があるのも事実」だと語った。7月3日から施行された改正著作権法の核心は、「インターネットの三振即アウト制」だ。映画、ドラマ、音楽などを著作権者の許可なしに大量に流布するインターネット掲示板を、文化体育観光部長官が3回警告した後、最大6ヶ月まで停止させることができるようにした制度だ。
Daumに入社して7年目のある職員は、「Daum内部でも抵抗すべきという人たちと、角が立たないように協力すべきという人たちに分かれている」、「平均年齢が30代前半のDaumの役職員にとって、政府の圧力は大きな負担になるのも事実」だと話した。
Daum関係者は「去年の牛肉政局の中心にあったアゴラ掲示板の露出度を減らすために、メインページ下段にあったメニューを閉じ、批判的正確が強かった「ブロガーニュース」も「View」に名前を変えてインターフェイスも使いにくくした」、「その結果、アゴラの場合、ページビューが15~20%ほど減った」と漏らした。苦肉の策だ。
これだけではない。対外協力チームのある職員は、「盧武鉉前大統領の逝去当時、追慕掲示板に書き込みを残すにはログインをした後でタイトルをつけ、本文を書くようになった」、「当事、ライバルのNaverはログインしなくてもすぐに追慕の書き込みができた」と話した。この職員は「追慕掲示板のトラフィックもいろいろな所で分析し、実際よりも少なくアクセスしたように設計した」、「その結果、Naverの追慕掲示板のトラフィックに比べて5分の1程度しか出なかった」と言った。政治的に敏感な領域のトラフィックは、意図的に減らしたという説明だ。
「ブラインド」制度の不合理性ポータルDaumに対する外部圧力は、Daumの政治性を殺している。創業者であるイ・ジェウン代表は、「多(다)」と「音(음)」の漢字合成語である「多音」をDaumの名前の由来とした。「いろいろ多様な音」を集めるという意味だ。1995年の創業から14年間、「多様性」を天命として考えてきた企業に、「画一性」を求めることが起こっている。Daumの済州島移転は、多様性を求める性格を表わした。Daumは「ソウルへ、ソウルへ」と叫ぶ主流の流れに逆らい、2004年にメディア本部を中心に、済州島へ移転した。イ・ジェウン代表も、ソク・ジョンフン・メディア本部長(共に当事)も自宅を済州島に移し、済州定着に対する意志を示した。済州市梧登洞にあるDaumの「グローバル・メディア本部」では、200人余りのDaumの職員が働いている。
政府からの外圧の対象になったアゴラとブロガーニュース(現在の名称は「View」)は、TVパットと共にDaumが済州島で作った3大作品だと自評してきた。Daumは現在、カフェやブログ、アゴラ掲示板の書き込みに対して外部から異議や抗議がきた場合、すぐにアクセス制限をしている。「ブラインド」制度と呼ばれるこのアクセス制限措置をされた書き込みは、30日間、内容を見ることができなくなる。著者も同じようなものだ。Daumの法律チーム関係者は「ブラインドとなった書き込みは、書いた人が放送通信委員会から「名誉毀損ではない」と判断された場合、アクセス制限を解除している」、「しかし、放送通信委員会が個人からはこのような要請をされることがほとんどないため、事実上、ブラインドを解除できる方法はない」と話した。この関係者は「書き込みをした人は、遮断されたことに対して不満もあるだろうが、名誉毀損されたと考える当事者も不満があるもの」だとし、「Daumはその均衡点を見つけるために努力している」と話した。
右側に追いやる外部の圧力のせいで、その「均衡点」がむしろ崩れているのではないだろうか。
イ・テヒ記者